10月か。
 これから雨の度に寒くなっていきますな。
 冬服ウォーズに突入しますが。
 最近自分にどんな服やボトムスが似合うのかわからなくなってきた。
 むしろ似合う物なんてあるのか!?
 と言う心境。
 散歩やバイトで使用しているアシックスの運動用靴もへこたれてきていて、新しいの買わないとなー。
 たぶん不調は季節の変わり目による気候の変化が大きいのだろう。
 で、昨日今日とそうだけど、天候も悪い。
 気温の変化で自律神経が狂う上に雨の日は景色も暗くなるので、尚更輪をかけて。湿度と気圧の変化で肉体面にも影響が出る。
 と言うことで早速対策。さっさと部屋の明かりをつける。
 まだちょっと暑いんだけど、体温調節と言うことで、ハーフパンツから丈長パンツに穿き替える。
 この間ユニクロで買ったばかり。
 ユニクロ臭がする。
 ちょっとお疲れモード。
 なんでやろ。
 野菜ジュースだったりして。原因。
 わからんけど。
「おくりびと」と「グエムル-漢江の怪物-」がテレビでやっていたので、簡単な個人的感想を。

「おくりびと」に関しては、騒がれているほどずば抜けて良い作品だったかと言うと、自分としてはそこまでの印象は抱かなかった。いや、語弊があるかな。良作だったことは間違いない。
 テンポも良いし、緩急も効いていた。ユーモアがある一方でしっとりさせるところはさせる。全体的に優しさがあり、愛情に溢れ、考えさせるところは考えさせる。でも「死」というテーマを扱いながら、全体的に軽妙なタッチで深刻すぎず、とても観やすかったと言える。
 そう、観やすかった、のだ。
 なぜこの映画にそれほど強い印象を抱かなかったかというと、この見やすさが影響しているのかもしれない。つまり、お腹一杯になるような映画ではない。へとへとになる映画ではない。腹八分目で舌鼓を打つような、心地良い余韻を残して終わる映画だったからなのかな、と考えた。
 ただそれにしても、劇中に主人公が職業のことで偏見というか、侮蔑的な言葉を散々浴びていたり、見下げられたりしていたのだけど、これが個人的にはさっぱりわからなかった。
 それほど死者を扱う仕事というのは軽蔑されるような物なのだろうか?
 確かに3Kだし、体面や空気的に言うことがはばかられるのもわからなくはない。神道的な穢れの意識も潜在的には多少はあるのだろうし、地方の田舎でならそう言ったことが特別視されることもあるだろう。また、あの仕事自体あまりメジャーではないだろうし。
 ただそれにしたってあの言われようはないんじゃないかという気はした。
 主人公はそこに葛藤を抱く。「死」や自分の人生という物を考えることになる大きな問題なのだ。だが、観ていて、周囲の人間の反応と自分の意識にやや温度差があり、違和感を覚えてしまったため、なぜこんなことになるんだという思いばかりが先立ってしまった。
 あるいはあえてそうすることによって、観客に「ここを考えてください」と言っているのかもしれない。そう、見せているのかもしれない。

「グエムル」については途中からの視聴。
 プロモーションやタイトルからは、もっとこう、ゴジラのようなエンターテインメント性の高いものかと思っていた。しかし実際はそういう感じではなく、どちらかというと在韓米軍(あるいは米軍その物の)批判や人間ドラマ(?)を中心とした作品だった。
 怪物はあくまでも作品を動かす要素に過ぎず、魅力があるかと言われるとそれほど感じなかった。
 韓国では大ヒットしたそうだが、そう言った米軍への不満があることもヒットの要因の一つにあるのではないか。
 作品全体としてみたときには、コミカルな要素があったり、グエムルを探し出すために行動しているときの緊迫した感じなど、惹きつけられる要素は大いにあったが、一方でアンバランスさも感じた。
 冗長と取れるカットが散見される一方で、淡泊且つ説明が省かれすぎているんじゃないかと思えるシーンもあり。また、不必要な展開じゃないかと思える部分もある。脚本の問題もあるし、監督自身の問題もあるのだと思う。
 アクション重視の作品と思ってみると肩すかしを食うのではないだろうか。
 プロモーションも難しかったかもしれない。(最も、客を呼ぶためだけだったら怪獣のシーンを使えば楽なんだろうけど)
 細かいところで損をしているような映画だと感じた。

 この2つの作品はテレビで観たのであり、合間合間にCMを挟んでいる。
 また、冒頭などを見逃したりもしているし、そういう意味では、参考記録程度に留めたい。
 今日は暑かった。
 汗をかなり掻いた。
 以前は汗とかあまり掻きたくない方だったが、最近はどんどん出てくれという感じ。
 体の中の余計なもんを出してるような感覚がいいのかも。
 アトピーでステロイド塗ってるときは朝、起き抜けに水で顔を洗うなんてことは怖くて出来なかったが(その後の乾燥、プチリバウンドが怖かったから)、最近はその時の怖さもぬけ、ようやく習慣になってきた。
 健康っていいっすね。ほんと。
 以前録画していた「緊急!世界サミット たけしJAPAN」をようやく見たのだけど、論理力に欠けるようなやり取りが見られたりした。
 もちろん白熱した議論で冷静に言い合うのは難しいのだけど。

 客観的に見る分には、自分の論理力チェックにはなるかな。

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 時間が差し迫らないと重い腰を上げない性質が出て、ようやく角川のブックカバープレゼントに応募した。
 当初の予定通り「赤富士」と「スヌーピー」のブックカバー。
 未読の本ばかりが増えていく……。
 ベランダに芋虫(青虫?)がいた。
 余りにも原色が鮮やかで、魅入ってしまった。何だか作り物みたいだなーと思って息を吹きかけると、ちゃんと反応する。
 作り物に見えたのは、模様がちょっと適当だったからだろうな。
 節毎に黒か茶色の横のラインが入っていて、ラインの合間合間に赤色の点がある。これが、きっちりしてないんだ。途中で途切れてたり、空白があったりする。
 食玩に付いてきたら、「おいおい塗りが雑だろ」と言ってしまいたくなるような感じだった。

 これって警戒色なのか、鳥の目を誤魔化すためなのか、なんなんだろうな。
 あえて調べようとは思わないが。
 本屋では比較的本を早く読むことが出来る。自宅だと遅くなる。
 この違いはなんなのかと考えてみた。
 たぶん、本屋では必要な箇所しか読んでいないのだろう、と言う答えに至った。
 購入判断や、立ち読みという状況などがあり、本屋では必要としている箇所以外は割合流し読みの度合いが強いのかなと。
 家では、その本のエッセンスを全て吸収しようと言うくらいの意気込みで読むため、必然的に遅くなる。一文、一語、いちいちじっくり目を凝らして読むので。
 齋藤孝さんが著作で述べている2割読書法というのは結局、自分の本屋での読み方に近いのだろうなという気はする。
 流し読みと言っても、要するに必要な箇所かどうかの判断はしているわけですが。
 この感覚で本を読んでみてどうなるか、試してみたい。
 帰宅後、母を病院へ送る。
 付き添いに必須の「本」を忘れてしまったため、院内の売店を物色、購入。
 するも、シリーズ物の真ん中くらいの巻を買ってしまってあえなく撃沈。睡眠。
 4月の半ばから書き始めた野球専用ブログですが、なんとか9月までほぼ継続して書くことが出来ました。
 ただ、半年間継続してみて、野球ブログに取られる時間が大きいことがネックだと感じました。
 来シーズン継続するかどうかを含めて考えないといけないと思います。
 基本的には更新は継続する物の、内容を縮小する方向で考えたいと思います。
 まああくまで個人的な楽しみというか、知識の確保でやっていることであり、義務と感じられたり、手間と思ってしまったら、ちょっとそれこそが問題なんだろうし。

 で、リアル日記(手書き日記)の方。
 こっちも今現在、その日あったことを時系列に記しているだけで、かなり無味乾燥なことになっているので、改善しようかなと考えています。
 現在使っている3年通用版の方にその日の主要な出来事や思ったことなどを記して、新たに単年用の日記(手帳)を購入し、そちらに出来事を記していく方向で。
 その日の時間毎に記せる手帳があるので。
 ただ、情報が分断されたりするし、冊子の数が増えてかさばるしでどうしようか考え中。
 avengers in sci-fi の新譜が12月2日に発売されるそうな!
 今年一番のビッグニュース!
 しかも発売はビクター(の関連レーベル)から。ビクターと言えばくるり、バックホーン、キセル、国庫……。
 素晴らしい(?)です!

 さて、11月末あたりには「よつばと!」の最新刊、10月末には「それ町」の最新刊が控えてるので、もう毎月うはうはです。

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「たかじんのそこまで言って委員会」で、麻生太郎元首相の発言でもまっとうなことがあった、というようなことが言われていた。
 個人的にもそうだなあと思うことがあって、例えば後期高齢者に関して、健康を顧みない生活の結果病気になる人がいて、その結果、その治療に関係のない人が医療費を払うことになることを指摘していた点。
 もちろんやむを得ない理由で病気にかかる人もいるわけでその人のことをとやかく言うつもりはないが、一方で、毎日飲んで食って寝て、好きなことをして健康に気を使わない人がいるのも事実。
 そのツケとして病気になり、その治療費を払うのが国民のお金になるわけだ。
 一見病人の負担を軽くする目的としての医療費、医療制度というと聞こえはいいが、どうして病気になったのかという点を考えると、病人側にももうちょっと頑張れよと言いたくなるところはある。
 歳だから体を動かすのがきつくて、とか、年寄りに無理をさせるなとか、それは一種の甘えではないだろうか。実際体の機能が低下するのは事実だろうが、それを言い訳にして抗おうとしない、自分の健康を維持しようとしないのならば、自業自得。
 自分で蒔いた種なのだから、自己負担する必要もあるだろうと思う。

 年金暮らしでなんとか生計を立てているという場合には負担になるし、ちゃんと健康管理をしている人、その結果どうしようもなく健康を損ねてしまう人など、色々な状況があるから、それらを踏まえず、総理大臣という立場で発言してしまったことは、確かに問題があったと思う。
 叩かれそうだなと言うのは、なんとなくわかりそうなものだが。
 ここのところずっと「服を買う服を買う服を買う」と心の中で念じ続け、寝ても覚めても、仕事の合間もずっとそう言う状態だったにもかかわらず、昨日今日一昨日と物色した服屋で何も買わずに、本屋で「星の王子さま」を買ってしまっているというちぐはぐなことになっています。

 まあでもなぜ買わなかったのかといえば「これ、本当に欲しいのか?」という疑問があったためであり、そこで自制できたことが大きかった。
 いつもの強迫観念に囚われた状態ならば「まあ、買っとくか」と絶対に買ってしまって、後で「無駄なモン買った」と言って嘆くパターンになっていたから。

 それはさておき本屋に行くと、いつも思うことがある。
 それは自分の知識の無さ、基礎の無さ。
 例えば洋書の古典小説や詩篇、作劇などを読むと、キリスト教の知識が必要になってくる。
 経営や金融の本は経理・経済的な知識が必要だし、宇宙や科学の本などは理数系の知識が必要になってくる。日本の古典では当然古語や漢字の知識が必要になってくるわけで、手に取る本ではことごとく何かしらの専門的知識を要求される。
 本屋ではまざまざとそう言った知識の無さを思い知らされるのだ。
 本屋にいると刺激的で楽しい一方で、こてんぱんに打ちのめされる。
 そのうち、自分は今何を読みたいのか、何を読むべきか、何が必要なのか、と言ったことがわからなくなってくる。
 あれも欲しいこれも欲しいが、あれもこれもまだ手に取るべき本ではない、となってくる。もっと別の本を読むべきだと。
 高校の同級生達(プチ同窓会のメンバー)で日帰り旅行の話が出ていて、自分は今回断った。
 まあ理由は色々あるんだけど、それとは別に、正直な話、自分がいなくても全然問題ないだろうという判断だった。いや、実際問題は全くないと思う。
 集団の中で特別目立つような存在でもないし、会話を盛り上げるのも不得手なので。メンバーも充分、旅行をする分には足りていると思うし。
 ただ、今回に限ってなぜか熱心に誘って貰うことになって、それは予想外だったし、ありがたい話だった。
 残念だけど、とりあえず今回は遠慮した。
 次回があれば、その時は、是非。

サマーウォーズ

2009年9月17日 映画
  ネタバレがありますので注意。

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 強固なセキュリティを背景に世界中の人々や行政機関、地方自治体が参加するインターネット上の仮想世界OZが成立している世界。
 夏休み。
 物理部に所属する小磯健二は友人とOZのメンテナンス作業をするアルバイトを行うことになっていた。そこへ学校の先輩でありアイドル的存在の篠原夏希がやってきて、アルバイトを提案される。それは、夏希の田舎の本家へと一緒に来て欲しいという物だった。
 引き受けたものの、実はそれは夏希のフィアンセのふりをするという内容で健二は動揺する。名家である陣内一族の面々が続々と集まる中、押し切られる形で承諾したが、そんな折に世界を巻き込む大事件が進行していた。
 田舎に集まった一家と健二は、いつの間にかその事件の中心へと関係していくことになる。

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 作品は喜怒哀楽を刺激される極上のエンターテインメントに仕上がっている。
 上映時間は2時間弱と程良い長さ。脚本が良いのか監督の手腕なのか、物語はテンポよく進み、しかもその中で動静にメリハリがある。しっとりと見せるところは見せ、畳み掛けるところは畳み掛ける。

 作品の主題は間違いなく家族で、もっと言えば人と人の絆、繋がりを描いている。
 日本の各地に散らばる陣内家の面々が一所に集まり、賑やかに楽しげに旧交を交わす姿が描かれ、その中心として陣内家の当主、陣内栄が置かれている。
 彼女は人望という言葉を絵に描いたように慕われ、また実際にそれを体現してみせる。
 人を愛し、人を信頼し、そしてその繋がりを大切にするというところを見せる。それは人としての当然の在り方として実行されている。
 そんな彼女の元に一族は結束して大事件に挑む。それどころか、日本中の、あるいは世界中の人間達が絆で結ばれていくのだ。

 人というのはやはり、完璧ではない。どこかに欠点を持っている。だからこそ、人との繋がりの中でそれは補強され、自身を強化することが出来る。
 この作品の中で基本的な視点は小磯健二なのだが、実際は彼は大勢の中の一人であり、狂言回しのような存在でもある。
 皆がそれぞれに生き、主人公が次々入れ替わっているのだ。
 小磯健二は数学に関する能力には秀でた物があったが、数学オリンピックの代表になり損ねてしまう。劇中でも性格的な弱さや、計算ミスをする場面が描かれている。
 つまり、彼は瀬戸際の強さが足りなかった。それは自分に対する自信の無さの表れなのかもしれない。彼は自分の家族との交流が乏しかった。
 しかし事件の最中、陣内一族との触れ合いを経て、彼らから強さを貰う。信頼と絆という強さだ。
 13歳の池沢佳主馬はいじめられっ子だった過去に陣内万助に少林寺拳法を倣って自分を強化した。そしてそれはOZの格闘ゲームに活かされている。
 劇中での敵との戦いにおいて、彼は何度も挫折を味わう。しかしその度に、家族達の支えで復活を見せる。
 劇中の重要人物、陣内侘助も、篠原夏希も、みなそうして関わりの中で強くなっていくのだ。

 物語は全編を通して退屈さを感じる暇もないほど濃密に描かれている。
 設定の面白さや構成のうまさなど色々あるのだが、その中でもやはり一番観客を引きつけるのはヴィジュアルイメージの秀逸さではないだろうか。
 現実世界の風景、名家の佇まいなどもそうだが、仮想空間であるOZの表現が非常にユニークであり、壮麗である。色遣いが多様で楽しげである。
 この作品を成立させるための土台となるOZでは、個人のアバターを持つことが出来、OZの中では買い物からゲーム、各種手続きなど様々なことが出来るし、また実世界での職業的権限を、そのアバターが持つことが出来るなど、とにかく至れり尽くせりの機能が備わっている。
 そう言った機能のひとつひとつが好奇心を刺激されるような作りになっている。
 各個人のアバターはそれぞれの性格を反映された作りになっていて、それを見ているだけでも楽しい。
 敵がシステムを混乱させる表現も面白く、敵との戦いも迫力があり、壮大なイメージを駆使して描かれている。OZの世界が緻密に描かれ、そこでは現実世界を超越した表現で見せられるから、圧倒される。
 話が小難しくてわからなくても、絵を見ていればなんとなくわかるし、別に細かなことは気にならなくなる。
 
 脚本は誰かと思って調べたら、奥寺佐渡子さん。
「学校の怪談」の脚本を書いた人だった。なるほど、通りでキャラクター同士の距離感が心地良く描かれているわけだと思った。
 甘酸っぱいというか、仄かな恋愛模様も上手い。
 また、登場人物の量が半端ではないのにもかかわらず、それぞれの個性がきちんと描かれ、且つ過剰でも過少でもないのは、この脚本を始めとした、スタッフ全員の力の賜物だろう。

 ただし、そうした作品の設定の情報量が多すぎる結果、2時間でまとめるとなるとどうしても総花的にならざるを得ない。
 そこで少し説明が足りないのではないかと思われる部分もないとは言わない。
 例えば主人公の家庭環境もそうだ。陣内一族に感化されるならば、そうなるそもそもの理由があるとわかりやすい。
 個人的に特に気になったのは、なぜ主人公がアルバイトとして夏希に選ばれたのか。それまでの健二と夏希の関係だ。
 フィアンセという設定なのだから、決して嫌っているような人間ではないはず。ボディタッチなども多く(彼女が天然の小悪魔でないならば)、好感自体は抱いていたのかもしれない。
 最終的に関わりの中で強くなっていった健二に惹かれることは別にいいとして、そもそもこの物語が始まる導入部分の二人の関係が曖昧だったことが、自分には最後まで引っかかった。

 いずれにしろ、良作。
 いつか彼のためにスタジオが作られたりして……なんてね。
 映画を観てきた当日に「非常に明快だった」と書いてしまったためちょっと感想を書くのが怖かったりもしますが。まあ、あっているかはどうかとして、書いてみます。
  ネタバレもありますので注意。
 ちなみに、冒頭3分ほど、見逃してしまっています。

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 メキシコで覆面レスラー「エスカルゴマン」としてリングに上がっている男はその日、胸騒ぎを感じていた。相手が自分よりも若くて強い、テキーラ・ジョーであるという事だけでなく、別の何かが起こりそうだという直感だった。
 いつもあまり活躍できていないエスカルゴマンを応援する彼の息子は、学校でバカにされてもすぐにリングに駆けつける。そして、運命の試合が始まった。

 一方、時を同じくして、水玉模様のパジャマに身を包んだマッシュルームカットの男が、白い壁に囲まれた部屋で目を覚ます。
 彼はその部屋からの脱出方法を模索するが……。

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 この作品は二つの、一見全く関係なさそうなエピソードが交互に展開されながら、それぞれ佳境へと進展していく。もちろん後々それは絡むことになるのだけど、すごく密接な関わりというわけではない。

 松本人志のパートはとにかく、ひたすら密室の仕組みの理解と脱出の試みに費やされる。
 と言っても別にそれほど難しい仕組みではない。ボタンを押すと、それに対応して何かが起こる。物が出てきたり空間に変化が起きたりする。その事に戸惑いつつも、次第に適応し、脱出しようとする一人の男の風景を永遠と見せている。
 映像的には白い部屋の中の風景がメインだし、音楽もほとんど無い。男もあまり喋らない。いや、喋ることは喋るのだけど、あまり内容のあることは喋らないし、叫び声ばかりだったりする。
 つまり全体的に単調であり、変化に乏しい。
 一方のメキシコパートはわかりやすいドラマ仕立てになっている。
 映画を通して観たときに、このメキシコパートというのは、そう言った松本パートの単調さをカバーして観客を飽きさせないのと同時に、二つがどう絡むのかという期待で引っ張る役目を持っているのだと思う。
 また、この映画は93分(1時間半)と非常に短い。松本パートの内容が内容だけに、それメインで全体を作るのにも無理がある。そう言うこともあって、メキシコパートは上映時間確保の意味合いもあると思う。(もちろん作り方によっては色々とやり方もあるのだろうけど)

 前回の監督作「大日本人」は海外を意識せずに作ったが、期せずして海外の映画祭に出品されることになり、そこで辛口のコメントを貰うことになった。
 今回それを意識してかどうかはわからないが、比較的海外の人にもわかりやすいような作りになっている。
 例えば松本の心情は基本的に表情や声の調子だったり、ジェスチャーだったり、アメコミ風想像シーンの挿入で補っている。
 スイッチを押して出て来る物をいかに連携して使って脱出するかという、目的や彼の行動の意図も明確なので、そこは見やすいと思う。
 そこから生まれるギャグも基本的にベタな物が多く、やはりわかりやすい。
 また、モチーフの一つとして天使を登場させている点も、海外の人には親しみやすいのではないだろうか。
 そして、海外を意識しているのではと思える最後の一つは、終盤にやってくる。

 前作「大日本人」は最後の最後に作品を(良くも悪くも)ぶち壊すような、放棄するというか、そういう作りをしていた。
 今作も最後の一歩手前でそう言うことになっている。メキシコパートの役割は、この壮大な前振りのためにあったと言っても過言ではない(笑い死にするかと思った)。
 今作が前作と違うのが、その後きちんと真面目に落とし前をつけている点だ。

 白の部屋を脱出した主人公は黒の部屋へと辿り着く。
 白の部屋の冒頭で観客は「修行」と表された文字を観る。黒の部屋ではそれが「実践」となる。
 黒の部屋にもスイッチがあり、それを押すと実世界に影響が現れる。例えばゾウが転んだり、花が咲いたり、亀が卵を産んだり。
 男は天井を見上げて、スイッチに手足をかけて昇っていく。その事によってスイッチが反応し、実世界に次々影響が起きていく。
 男はやがて神がかった様子となり、浮遊しながら天に上り詰めていく。その過程で数多のスイッチをいっぺんに作動させる。
 世界はそれに応じて動いていく。
 頂上にたどり着くと、そこには巨大なスイッチが一つ。それは「未来」だった。

 天使達は白の部屋で男に物事の相互作用や連動させる力を身に着けさせた。そして、実践を経て、神に近い存在へと導いた。
 なぜ彼が選ばれたのか、どうしてこのような役割が必要とされたのか、ハッキリとしたことはわからない。あるいはこの世界は全て彼の想像なのかもしれない。
 ただ、この世界を操作しているのは、どうやら一人の男であるらしいと言うだけである。
 キリスト教的世界を意識しているのは明らかだと思う。この部分は日本人にも感じる部分はあるだろうが、もしかするとより海外の人間に届くかもしれない。
 ただそう言った物に馴染みのない人間としては、別の捉え方も出来る。
 例えば我々が日常体験している不条理なこと、どうしてこうなるんだと嘆きたくなるようなこと、こういったことを、一人の男が気まぐれに操作している。だから、笑い飛ばせばいいんじゃないか。
 そう言った見方も出来るかもしれない。

 映画として決して上出来とは言えないと思う。
 松本パートの時のダラダラとしたテンポの悪さや、単調さ。作品の性質として仕方がないと思うが、少々小振りにまとまった作りであったりして、濃厚な味わいが少ない。
 ただだからと言って悪かったとは思わない。
 想像を刺激される作り、遊び心もあり、ユーモアもある。
 見る人を選ぶ内容。真剣に濃厚なドラマを見たいという人よりは、ちょっと肩の力を抜いて作品を見たい、と言う人に向いているのかもしれない。
 14日のカンブリア宮殿のゲストは洋食チェーンサイゼリヤの会長・正垣泰彦氏。

 サイゼリヤの印象として、「安かろう悪かろう」という勝手なイメージを抱いていた自分としては、少々驚きを受けた。
 原材料の品質に対する追求・要求を徹底的にしているという点は、まさに自分の偏見が打ち砕かれた瞬間だった。
 また安さを追求するためのコスト削減も、理論物理学を専攻していたという事実と、あの語り口、そして実際の効率化された仕組みを見せられることによって納得できる。
 村上龍氏が驚いていたことは、飛行機にしろ新幹線にしろ、エコノミーや普通車を使用していると言う点だった。
 泰彦氏はそういったことに拘っていない様子だった。また、自分が楽を出来る分を、安さや賃金に反映できればいいといっていた。そう言った特級シートに乗って、眠ってしまっていたら詰まらないと。
 ここから覗えることは、氏の合理的な性格と、他者に対する奉仕の精神。他者中心の考え方だ。
 やはり成功した企業の幹部に見られることに、他者の悦びが自分の悦びとなる人がいるということだ。どうすれば人が喜ぶのか、それを実現するためにはどうすればよいのか、そう言ったことを追求する考え方。
 また、彼の場合は論理的な思考力がそれを助ける道具となっている。
 論理的、合理的というと非人情的な語感があるかもしれないが、実際は使いよう。これは何に対しても有効だと思う。
 母親に贈られた言葉を大切にするなど、素直でもある。これは大切なことではないだろうか。

 派遣労働者300人を止め、30人を手厚く保護したパートとして再雇用したというが、やはり派遣を止めるとどうしても数を減らさなくてはならない。
 この点は、派遣完全撤廃を謳う政党は、どうクリアするのだろうか。
 映画の鑑賞料がお安くなると言うことで見てきました。しかも2本。
 一つは「しんぼる」。松本人志監督作品。
 もう一つは「サマーウォーズ」。アニメ「時をかける少女」の細田守監督。

 今日はちょっと感想は書けないので別の機会に譲ることにします。
 2つの作品はタイプや性質は違いますが、趣旨、主張(メッセージ)が明快という点では一致していると思います。
 へそ曲がりな作りか、こちらの理解力不足でなければおおむね理解出来たと思います。

 個人的に「しんぼる」の方は5段階評価で3.5~4.0ぐらい。「サマーウォーズ」は4.0~4.5くらいでしょうか。まあ、数字で評価するのは断じてしまうことになるので実際は必ずしもこういうわけではないですが、わかりやすく評価すると、と言うことで。

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 その後近くの本屋に行って立ち読み。そこの規模が結構大きくて、色々な本があって刺激的だった。
 友人の通っている音楽教室の無料コンサートがあるとのことで、一緒に見に行く。
 上手かったり下手だったりしたけど、ホールで生音を聴くのはやっぱり違う。
 ドラムかベースを、いつか習いたいなあと思ったり。
 でもドラムは、なかなか日常で好きに練習できないしなあ。
「めちゃイケ」の歌下手王を見ていると、確かに下手で笑えるんだけど、
それ以上に「そうそう、なるなる。そうなる」という共感の方が強いので真剣には笑えません。
 サッカーのことはあまり詳しくないけど、稲本選手のことは前々から良いプレイヤーだなあと思っていて、なかなか起用されないのでもどかしかった。
 日本の場合中盤が厚いし、戦術やメンバーなどによって起用される選手が限られてくる。また、出番の少ない欧州でのプレーが続くため、印象が弱いと言うこともある。
 中田、中村、稲本(遠藤、松井)などは、素人の自分から見ると非常に魅力的に見える。

 欧州はレベルの高い各国のまみえる機会が多いだけに、経験値もバンバン稼いでいるが、それに比べると日本はどうしてもそう言った国との戦いが少ない。
 欧州のチームや南米のチームなど、強豪と戦える機会を増やさないといけないし、そう言う仕組みが欲しい。そうでないならば、アジアなどの底上げに期待するしかないが。

 野球だと、日本、韓国、台湾という比較的野球レベルの高い国(地域)が極東に多く、そうしたライバル国との負けられない戦いによって国際試合での力を磨けている部分も多い。

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