ブクログに登録済み、感想付き。
http://booklog.jp/users/ore-tana
自分はラルクアンシエルのファンというわけではない。
しかし学生時代に当時の友人がかなりはまっていて、その影響でラルクアンシエルが周囲で広がっていたということもあり、思い出として彼らにはある種特別な感情があるというか、特別な位置づけというか。
単純に楽曲的にも嫌いではない。
ただ、ライブDVDなんて、基本的にはファンしか買わないようなものだと思う。ファンでもない自分がなぜ買ったかというと、YOUTUBEに動画がアップされていて、それを見たから。そのライブが素晴らしかったからだ。
これはYOUTUBUの使い方の一つではあると思う。
黙っていてもファンは買うようなものだけど、ファン以外の人間は買わない。そういうものに接する機会があると、ファン以外でも買う可能性が出てくる。
もちろん、UPされている動画で十分、という人間もいるだろうから、難しいところだろうけど。
http://booklog.jp/users/ore-tana
自分はラルクアンシエルのファンというわけではない。
しかし学生時代に当時の友人がかなりはまっていて、その影響でラルクアンシエルが周囲で広がっていたということもあり、思い出として彼らにはある種特別な感情があるというか、特別な位置づけというか。
単純に楽曲的にも嫌いではない。
ただ、ライブDVDなんて、基本的にはファンしか買わないようなものだと思う。ファンでもない自分がなぜ買ったかというと、YOUTUBEに動画がアップされていて、それを見たから。そのライブが素晴らしかったからだ。
これはYOUTUBUの使い方の一つではあると思う。
黙っていてもファンは買うようなものだけど、ファン以外の人間は買わない。そういうものに接する機会があると、ファン以外でも買う可能性が出てくる。
もちろん、UPされている動画で十分、という人間もいるだろうから、難しいところだろうけど。
2013年5月18日の日記。ライアーゲーム再生。5月26日追記。
2013年5月18日 映画「ライアーゲーム~再生(リボーン)~」
公開当時映画館で見たけど結局感想は書いてない。テレビで放送すると言うことで覚え書きというか簡単な感想を。
-------------------------------------------
主人公は前作に引き続き松田翔太演じる秋山と、今作で初登場となる多部未華子演じる篠宮。
前作までのヒロインだった戸田恵梨香演じる神崎は出てこない。
本作も基本的にはゲームにおける駆け引きがメインで、その中における人間関係によるドラマなどはあるが、それ以外の物語としての大きな変化などはない。
ゲームに参加したメンバー達から金を奪い合って、最終的に借金を背負わずに勝利することを目指す、と言う内容。
前作と決定的に違うのは、ヒロイン役の変更。
前作の神崎直は馬鹿正直と呼ばれていて、みんなが幸せになればいいという考えを持っていた人物。ある種完成されていた人物で、物語は彼女の信念を実現するためにどうするか、どうやって問題や障害を乗り越えるかと言う目的を持って進んでいた。
本作の篠宮は神崎とは違って全くもって普通の人間。
何か強力な信念を持って生きているわけではない。身を投じることになる異常な状況に右往左往しつつ、心もまた揺れ動いている。ゲームの駆け引きが主体の本作だが、もう一つのテーマは言ってみれば、彼女の人間としての成長とか変化と言える。
前作までの神崎直はある種理想的な人物として描かれていて、それはそれで魅力もあったが、現実離れしてる面もある。
今作の篠宮の方が、実際の人間の心の揺れを表していると言えるだろうし、共感できる部分もあるかも知れない。
裏切られたり、異常な状況に身を置いたときに、自棄的な行動を取ったり、利己的な考えを抱くことは、皆無いとは言えないはずだ。
映画としてはゲームのルールや必勝法など、なんとかわかりやすくしようとしているのは伝わる。前作よりもより説明を増やしているような気がする。それでも自分のような頭の回転の遅い人間にはわからない部分もあったが。
また、前作までは、参加した多くの人間が秋山と比較して明らかにレベルが劣っていたように見えたが、本作では各グループに頭の切れる人物を複数配置して、駆け引きの振り幅を大きくしている。また、神崎と違って予測できない篠宮の行動を加えることで展開を大きく変化させる工夫もしている。
総じて、悪い内容の作品ではなかったように思う。観た当時はA~Eの5段階評価でC~Bの評価にしていた模様。
個人的に多部未華子が可愛いなと思う。
彼女は特徴的な顔立ちなので好みが別れるところだと思う。しかし自分は好きだ。仕草も可愛いし、一番好きなのは声なんだな。
ところで芦田愛菜のキャスティングは正直意味がわからない。
たぶん話題性とかそんなところだろう。意味があるとしたら、子供がああいう役をやることで違和感とか不気味さを持たせるということだろう。
でも芦田愛菜である必要はないよなあ、と言うのが個人的な感想。
-----------------------------------------------
2013年5月26日追記
前作の映画の感想に、神崎直がなぜそれまで敵対していた人に信用されていくのか、と言うことの理由を書いた。
一度失敗をして周囲や自分自身の評価を落とした人間に対して、神崎直は変わらず手を差し伸べた。失敗を経験して落ち込んだ人間は、そこから色々な物事が見えるし、また後悔の念を抱いていたりする。
その状況で変わらず手を差し伸べてくれる人がいたとき、人は救われるし、やり直そうとすることもあるのだ。
本作は前作までの、神崎直が行っていたことを、みんなで発見して共有していくプロセスが強く描かれている。
失敗は人間だから誰でもする。その後にどうするか、ということが、シリーズ通してのテーマなのかも知れない。
自分は安倍晋三首相の提起する「再チャレンジできる社会」に共感している。失敗を失敗で終わらせないこと、失敗した人を駄目な人間の烙印を押して終わりにしないことが大切なのだ。
公開当時映画館で見たけど結局感想は書いてない。テレビで放送すると言うことで覚え書きというか簡単な感想を。
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主人公は前作に引き続き松田翔太演じる秋山と、今作で初登場となる多部未華子演じる篠宮。
前作までのヒロインだった戸田恵梨香演じる神崎は出てこない。
本作も基本的にはゲームにおける駆け引きがメインで、その中における人間関係によるドラマなどはあるが、それ以外の物語としての大きな変化などはない。
ゲームに参加したメンバー達から金を奪い合って、最終的に借金を背負わずに勝利することを目指す、と言う内容。
前作と決定的に違うのは、ヒロイン役の変更。
前作の神崎直は馬鹿正直と呼ばれていて、みんなが幸せになればいいという考えを持っていた人物。ある種完成されていた人物で、物語は彼女の信念を実現するためにどうするか、どうやって問題や障害を乗り越えるかと言う目的を持って進んでいた。
本作の篠宮は神崎とは違って全くもって普通の人間。
何か強力な信念を持って生きているわけではない。身を投じることになる異常な状況に右往左往しつつ、心もまた揺れ動いている。ゲームの駆け引きが主体の本作だが、もう一つのテーマは言ってみれば、彼女の人間としての成長とか変化と言える。
前作までの神崎直はある種理想的な人物として描かれていて、それはそれで魅力もあったが、現実離れしてる面もある。
今作の篠宮の方が、実際の人間の心の揺れを表していると言えるだろうし、共感できる部分もあるかも知れない。
裏切られたり、異常な状況に身を置いたときに、自棄的な行動を取ったり、利己的な考えを抱くことは、皆無いとは言えないはずだ。
映画としてはゲームのルールや必勝法など、なんとかわかりやすくしようとしているのは伝わる。前作よりもより説明を増やしているような気がする。それでも自分のような頭の回転の遅い人間にはわからない部分もあったが。
また、前作までは、参加した多くの人間が秋山と比較して明らかにレベルが劣っていたように見えたが、本作では各グループに頭の切れる人物を複数配置して、駆け引きの振り幅を大きくしている。また、神崎と違って予測できない篠宮の行動を加えることで展開を大きく変化させる工夫もしている。
総じて、悪い内容の作品ではなかったように思う。観た当時はA~Eの5段階評価でC~Bの評価にしていた模様。
個人的に多部未華子が可愛いなと思う。
彼女は特徴的な顔立ちなので好みが別れるところだと思う。しかし自分は好きだ。仕草も可愛いし、一番好きなのは声なんだな。
ところで芦田愛菜のキャスティングは正直意味がわからない。
たぶん話題性とかそんなところだろう。意味があるとしたら、子供がああいう役をやることで違和感とか不気味さを持たせるということだろう。
でも芦田愛菜である必要はないよなあ、と言うのが個人的な感想。
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2013年5月26日追記
前作の映画の感想に、神崎直がなぜそれまで敵対していた人に信用されていくのか、と言うことの理由を書いた。
一度失敗をして周囲や自分自身の評価を落とした人間に対して、神崎直は変わらず手を差し伸べた。失敗を経験して落ち込んだ人間は、そこから色々な物事が見えるし、また後悔の念を抱いていたりする。
その状況で変わらず手を差し伸べてくれる人がいたとき、人は救われるし、やり直そうとすることもあるのだ。
本作は前作までの、神崎直が行っていたことを、みんなで発見して共有していくプロセスが強く描かれている。
失敗は人間だから誰でもする。その後にどうするか、ということが、シリーズ通してのテーマなのかも知れない。
自分は安倍晋三首相の提起する「再チャレンジできる社会」に共感している。失敗を失敗で終わらせないこと、失敗した人を駄目な人間の烙印を押して終わりにしないことが大切なのだ。
2012年7月4日の日記。評価基準。
2012年7月4日 映画 大した見識はないですが、映画を幾つも観ていると、自分なりに、
「これは面白い、これはつまらない」
と評価するようになっているわけです。
で、じゃあ顧みたときに、一体何を基準にその良し悪しを判断しているのか、と言うと、よくわからないのです。
よくはわからないけど、おおよそこんな感じで評価しているのだろう、というものだったらあります。
しかしそれは、やはり主観が強いわけです。何かを評価すると言うことは、自分のフィルターを通すわけで、どうしても主観が交じります。
厳格な基準を設けた評価法、あるいは数字にこだわった客観的な評価法、と言うものがあれば、ある程度万人に通じる評価になるのかもしれないですが、そんなものを作るのは非常に面倒なので、しません。
で、評価のキーワードとなっているのは、
「丁寧さ」
のような気がします。
例えば必要なカットがあるかどうか、編集の仕方で上手い具合に繋がっているか、印象的な見せ方が出来ているか、とか、脚本だったら、伝えたいことが明確か、軸がしっかりしているか、話がまとまっているか、とか。
なので、自分が「良い」と思う作品は、人からすると地味だったり、何が面白いのかと思うような、インパクトのない作品も多々あるのではないかと思います。
しかし、自分からすると、こういう丁寧な作品は、見ていて心地が良かったりします。
「テンポの良さ」
も重要です。これは上記の丁寧さと繋がってくるんですが、無駄が無く、ポンポンと小気味良く展開していく作品というのは、見ていて心地がいいのです。
丁寧でも、丁寧すぎるとテンポを損なったりしますし、丁寧さを無視してただ早いと言うだけだと、粗さが気になります。
元々スローな作品があります。ゆったりした日常を描くような作品です。それはじゃあテンポが悪いのかというと、そうでもないのです。要は見せ方でしょうね。長回しがあっても、それが必要なカットであり、なおかつ効果的であり、それらが上手く組み合わされていれば、スローな作品でもテンポが良くなるのです。
人が2時間前後も椅子に座って鑑賞する、と言うことは、意外に体力がいります。だから、上記の「テンポの良さ」と繋がってくるのですが、「無駄がない」ということも重要です。
必要なことを必要な範囲で表現してみせる、そして上映時間を無駄に延ばさない。
もちろん無駄で遊んで、それが面白かったりもするわけですが、それをいかにスマートに出来るかどうかですね。
「楽しめるかどうか」
これは、要するに感動できるかどうか、と言うことでもあると思います。金を払った上に、2時間拘束されるわけです。観客は。金と時間を支払ったのに、全然楽しめなければ、地獄以外の何者でもないわけです。
哲学的、抽象的、文学的な作品を見たときに、あまりに作家性に偏りすぎていて、見ている人間のことを考えているのか? と思うようなものもあります。
そう言うのが好きな人もいるでしょうし、見ている側が考えたり、理解する努力も必要だとは思います。しかし、作る側の寄り添う努力も必要だとは思います。
自分は作品を現在A~Eで評価しています。大雑把ですが、上記のように、ある程度話としてまとまっていて、可もなく不可もない作品はC、多少粗くても強いテーマがあったり、丁寧だったり、感動できる(楽しめる)要素があればB、Aは更にそれらがまとまっている作品、と言うことだと思います。
実際、明確な基準がないので、最後は自分が満足できたかどうかで決めるわけですが。
まあでも最初にも書いたように、結局は主観ですから。
例えば上記のキーワードと全く同じ考えで見ている別の人間がいたとしても、作品に対する評価は違ってきたりすると思います。
「これは面白い、これはつまらない」
と評価するようになっているわけです。
で、じゃあ顧みたときに、一体何を基準にその良し悪しを判断しているのか、と言うと、よくわからないのです。
よくはわからないけど、おおよそこんな感じで評価しているのだろう、というものだったらあります。
しかしそれは、やはり主観が強いわけです。何かを評価すると言うことは、自分のフィルターを通すわけで、どうしても主観が交じります。
厳格な基準を設けた評価法、あるいは数字にこだわった客観的な評価法、と言うものがあれば、ある程度万人に通じる評価になるのかもしれないですが、そんなものを作るのは非常に面倒なので、しません。
で、評価のキーワードとなっているのは、
「丁寧さ」
のような気がします。
例えば必要なカットがあるかどうか、編集の仕方で上手い具合に繋がっているか、印象的な見せ方が出来ているか、とか、脚本だったら、伝えたいことが明確か、軸がしっかりしているか、話がまとまっているか、とか。
なので、自分が「良い」と思う作品は、人からすると地味だったり、何が面白いのかと思うような、インパクトのない作品も多々あるのではないかと思います。
しかし、自分からすると、こういう丁寧な作品は、見ていて心地が良かったりします。
「テンポの良さ」
も重要です。これは上記の丁寧さと繋がってくるんですが、無駄が無く、ポンポンと小気味良く展開していく作品というのは、見ていて心地がいいのです。
丁寧でも、丁寧すぎるとテンポを損なったりしますし、丁寧さを無視してただ早いと言うだけだと、粗さが気になります。
元々スローな作品があります。ゆったりした日常を描くような作品です。それはじゃあテンポが悪いのかというと、そうでもないのです。要は見せ方でしょうね。長回しがあっても、それが必要なカットであり、なおかつ効果的であり、それらが上手く組み合わされていれば、スローな作品でもテンポが良くなるのです。
人が2時間前後も椅子に座って鑑賞する、と言うことは、意外に体力がいります。だから、上記の「テンポの良さ」と繋がってくるのですが、「無駄がない」ということも重要です。
必要なことを必要な範囲で表現してみせる、そして上映時間を無駄に延ばさない。
もちろん無駄で遊んで、それが面白かったりもするわけですが、それをいかにスマートに出来るかどうかですね。
「楽しめるかどうか」
これは、要するに感動できるかどうか、と言うことでもあると思います。金を払った上に、2時間拘束されるわけです。観客は。金と時間を支払ったのに、全然楽しめなければ、地獄以外の何者でもないわけです。
哲学的、抽象的、文学的な作品を見たときに、あまりに作家性に偏りすぎていて、見ている人間のことを考えているのか? と思うようなものもあります。
そう言うのが好きな人もいるでしょうし、見ている側が考えたり、理解する努力も必要だとは思います。しかし、作る側の寄り添う努力も必要だとは思います。
自分は作品を現在A~Eで評価しています。大雑把ですが、上記のように、ある程度話としてまとまっていて、可もなく不可もない作品はC、多少粗くても強いテーマがあったり、丁寧だったり、感動できる(楽しめる)要素があればB、Aは更にそれらがまとまっている作品、と言うことだと思います。
実際、明確な基準がないので、最後は自分が満足できたかどうかで決めるわけですが。
まあでも最初にも書いたように、結局は主観ですから。
例えば上記のキーワードと全く同じ考えで見ている別の人間がいたとしても、作品に対する評価は違ってきたりすると思います。
2012年4月7日の日記。12年1~3月に見た映画の簡単な感想。
2012年4月7日 映画・年明けから3月までに見た映画の簡単な感想。
・2月3月は特に、見逃したり見送ったりした映画が多かった。
ちょっと残念。
・タイトル、制作国、上映時間、鑑賞日、鑑賞媒体
(TOHOシネマズ、シネマイ~ラ、テレビ放送)
・ネタバレあり、注意。
------------------------------------------------------
・「聯合艦隊司令長官山本五十六~太平洋戦争70年目の真実~」
(日本・140分・1月1日・TOHO)
→ドラマ。開戦前夜から山本五十六の死までを時系列に描いた作品。
非常に堅実で淡々としていて、BGMで盛り上げたりすることも少なく、面白味はあまりないが、まとまりは良い。
戦闘シーンは、人間がどういった決断を下すかとか、局面がどう転ぶかというような心理描写などについては緊張感があり面白かった印象があるが、航空機などによる戦闘シーンはスローモーで、日本はこういうのが苦手なんだなぁと感じた。
日本のかつての非合理的で派閥的な中における、山本五十六という存在の貴重さを描いている。
・「ワイルド7」
(日本・109分・1月1日・TOHO)
→ドラマ。最初サイボーグ009が原案としてあるのかと思ったが、実際どうなのかわからない。
法で裁けない、もしくは警察の手に余るような連中を懲らしめるための超法規的(というか違法?)部署に属する通称ワイルド7の戦いを描く。と書いたけど、ちょっとそこら辺記憶が曖昧。
日本の作品にしては戦闘シーンがスタイリッシュで過激で、見ていて面白かった。恋愛要素や家族愛もあるが、男向きかなあ。
個人的に非常にもったいない映画だと思った。色々詰め込みすぎている。組織の設定やキャラクターの面々、その過去や、恋愛要素、敵との戦いなど、それぞれはとても興味深く、掘り下げれば面白そうなのだけど、全部ぶっ込んじゃってそれぞれが中途半端になっちゃっている。
シリーズ化も出来るとは思うが、興行次第だろう。最初からシリーズ化が決定されていれば、もっと個別に掘り下げて出来たと思うだけに残念。
西部警察並みに予算を掛けてTVシリーズにしたら面白そうだと思うけど無理だろうなあ昨今じゃ。
・「ペーパーバード~幸せは翼にのって~」
(スペイン・123分・1月6日・e^ra)
→ドラマ。
息子を失った喜劇役者の元に同年代の親のいない少年がやってくる。劇団と一緒に生活する内、次第に絆が深まっていくが、とあるフィルムに母親が映っていると言う。一方、反体制運動に荷担する者を摘発するために、劇団内に内偵が入り込み……。
サスペンスあり、ハートフルな触れ合いがあり、気持ちの良い歌唱があり。
人生の哀しみと、温かさと、素晴らしさを謳った映画。
・「ヒミズ」
(日本・129分・1月14日・TOHO)
→ドラマ。
親から愛されない子供。明らかに普通でないにもかかわらず普通を志向して止まない少年。自分が何者なのかわからない人々。
絶望的な人生の中で目を閉じ、希望を遠ざけ、生死の狭間を彷徨う人間。それを救うのもまた、人の愛しかないのだ。
園子温監督のいつものキャストに、いつもの激情的で過激な演出、演技指導(?)。
この人の作品を見るのは二つめだが、勢いが凄まじくて、見終わった後、何か無性に凄いものを見た気分にさせられる。でも冷静に振り返ったときに、そんなに凄かったか? という気分にもなる。
いずれにしても、面白いことは間違いない。
窪塚洋介は、人間的な問題はあるかもしれないけれど、相変わらず演技は良いなあ。沢尻エリカといい、多少破綻していると良かったりするんだよなあ。
・「リアル・スティール」
(アメリカ・128分・1月14日・TOHO)
→ドラマ。
以前鉄腕アトムがハリウッドでリメイクされる、みたいな話を聞いたことがあって、それから全然どうなったのか情報が入ってこなかった。もしかしたら、これがそうなのか? と思ってしまった。ロボットの名前はアトムだし、劇中日本に好意的な設定やセリフが出てきたりするし。
格闘が生身の人間からロボットに取って代わられた時代。ロボットを操る負け続きの元ボクサーの元に、ほとんど会ったことのない自分の息子が転がり込んでくることに。
最初は邪険に扱っていたが、次第に心が通い合う。そのうちに、試合でも勝ち始め……。
脚本はしっかりしていると思う。息子との絆やサクセスストーリーなど、軸が絞られていて、それぞれがちゃんと融合している。
CGもロボットの重厚感が動きに出ているし、この辺はさすが。
安心して楽しめるエンターテインメント作品。
・「リメンバー・ミー」
(アメリカ・113分・1月20日・e^ra)
→ドラマ。
過去に傷を負った人間の交流を描いた作品。
自分はこの作品を好きなのだが、ウィキペディアを見ると、アメリカではいまいちなのか? でも素晴らしい作品だと思う。
親の責任、家族の愛、心の傷と、それに対する癒し。
確かに最後にああいう展開になる必然性やフォローする伏線があったのかというと、多少疑問にも思えるが。
しかし彼は、奔走した挙げ句に再生を取りまとめ、そして旅立ったのだ。
・「女と銃と荒野の麺屋」
(中国・90分・1月30日・e^ra)
→ドラマ。
麺屋を営む夫と、彼の仕打ちに我慢ならない女、彼女と不倫する男、夫の財産を狙う警察官と、麺屋の従業員。それぞれの思惑と駆け引きで物語が奇妙な方向に転がっていく。
中世を舞台にしたサスペンス。この作品もそれなりだが、これが現代を舞台にしていたらもっとそれなりだったかもしれない。中世を舞台にして、現代を模したファンタジーだから、華がでて、面白味が加わるのだろう。舞台設定はだから成功しているのだと思う。
ただ物語は人間の心情よりは、どちらかというと駆け引きに重点が置かれていて、そういう意味では多少無味乾燥なところがある。だから尚更家や服装などの意匠で装飾する必要があったろう。
・「エンディングノート」
(日本・90分・2月2日・e^ra)
→ドキュメンタリー。
癌と診断された父の「終活」を撮り収めた映画。
普段から父や家族を撮影していた娘が、父の死まで撮影した映像を編集して映画にした作品。これは、非常に素晴らしい。
まず、お父様が非常にユニークでユーモアに溢れていて、死期が迫っているのにそれを感じさせないのだ。また、構成も見やすく、娘自身が入れたナレーションも心地良い。
重いテーマのはずなのに決してシリアスになりすぎない。
しかし一方で、だからこそ、確実に迫る死がもの悲しい。エンディングのハナレグミの歌で涙腺決壊すること請け合い。
死ぬまでの段取りや、家族とのコミュニケーション、自分の人生を振り返ることなど、この映画を通して学んだり再認識させられることは数多い。
テレビで「アナコンダ2」を流す暇があったら、この映画を100回でも放送した方が遙かに有意義だろう。
・「宇宙人ポール」
(アメリカ、イギリス・104分・2月10日・e^ra)
→ドラマ。
SFオタクが宇宙人と遭遇。彼を宇宙に帰すために奔走するロードムービー。
SF好きなら多分ニヤニヤしっぱなしなんだろう。そうでなくてもウィットの効いた会話や下品な品行で笑えること請け合い。ちょっとした恋や成長物語もあるし、まあ全般的にハッピーでいい加減。
面白いよ。下品なのが嫌な人は見ちゃ駄目。
・「ハートブレイカー」
(フランス、モナコ・105分・2月29日・e^ra)
→ドラマ。
いわゆる「別れさせ屋」の主人公が仕事を果たそうとする間に、ターゲットの女性にだんだん惹かれていく、という内容の映画。
ユーモアも多いし、無茶な展開もあるし、ポップ。見やすいと思う。主人公がヒロインに惹かれる理由がはっきりとはわからないが、まあでもなんとなくはわかるからいいか。
ヒロインの女優が、そんなに美女、という感じでは無いけど、そこはかとない魅力を備えている。
エンターテインメントとして十分楽しめる無いようだと思う。
・「第9地区」
(アメリカ、ニュージーランド、南アフリカ共和国・111分・3月16日・TV)
→ドラマ。冒頭を見逃してしまった。
宇宙人が住み着いてしまった地区があり、そこで彼らと折衝? する主人公に問題が起こり、やがて人間の非道さ、残酷さ、利己が明らかになっていく。
まあ、安全保障という観点から、多少やむを得ないのかな、という部分も無いではないが……。
相手の立場に立った人道的な配慮が何事にも必要だよね、というような感じか?
アクションシーンも豊富にあるし、エンターテインメント性は充分にある。物語も最後、もの悲しさを含んでいて、悪くはない映画だった。
・「ブリューゲルの動く絵」
(ポーランド、スウェーデン・96分・3月21日・e^ra)
→ドラマ?
ブリューゲルの絵を元に当時(中世)を再現したり、大勢の人間とCGで絵を再現したりする。
何がしたいのかいまいちわからない映画だった。キリスト教に詳しい人ならば、もう少し楽しめたのだろうか。
セリフもあまりなかったし、ダラダラ感も感じ、楽しめなかった。
・「灼熱の魂」
(カナダ、フランス・131分・3月22日・e^ra)
→ドラマ。
変わり者の母が死に、その遺言が二人の子供に渡される。そこには、あなたたちの兄を捜して手紙を渡しなさい、という内容が含まれていた。聞いたこともない兄の存在に戸惑う二人だったが、手掛かりを求めて探す内に、母の壮絶な過去と、現在に続く因果を知っていく……。
これは凄まじいドラマだった。フランス映画っぽく、過剰な演出はなく、BGMも控え目。過激な場面もあるが、飽くまで淡々としたテンポがベースにある。しかし構成や撮影など映画的な技術はうまくて丁寧で、何よりドラマが巧みなので引き込まれてしまう。
やや冗長な嫌いはあるが、それでも面白かったと言える。
・「大津波のあとに/槌音」
(日本・74分、23分・3月22日・e~ra)
→ドキュメンタリー。
東北地方太平洋沖地震後、現地に入った人間によって撮影された映像記録。
2本立て。それぞれ一人で撮影しているが、前者は完全に記録目的で現地に向かっていて、積極的にインタビューをしていたり、瓦礫の中に分け入っている。
後者は家族に物資を届けた際に、あまりにも衝撃を受けてスマートフォンで撮影している。そのため、映像が少々粗い。またインタビューもしていない。風景だけを映しているが、現地に住んでいた人間なので、かつて撮った映像を交えて編集していて、情緒がある。
昨年見た「無常素描」という震災の記録映画と比べても、こちらの方が色々な人に色々な話を聞いていたり、様々な風景を撮っていたりして、自分はこちらの方が評価できると感じている。
ただし、震災に関してはテレビでも数多く報道されドキュメンタリーが作られている中で、この映画がどの程度の価値があるのか、と問われると、それほど高い評価は出来ないかな、という気もする。
・2月3月は特に、見逃したり見送ったりした映画が多かった。
ちょっと残念。
・タイトル、制作国、上映時間、鑑賞日、鑑賞媒体
(TOHOシネマズ、シネマイ~ラ、テレビ放送)
・ネタバレあり、注意。
------------------------------------------------------
・「聯合艦隊司令長官山本五十六~太平洋戦争70年目の真実~」
(日本・140分・1月1日・TOHO)
→ドラマ。開戦前夜から山本五十六の死までを時系列に描いた作品。
非常に堅実で淡々としていて、BGMで盛り上げたりすることも少なく、面白味はあまりないが、まとまりは良い。
戦闘シーンは、人間がどういった決断を下すかとか、局面がどう転ぶかというような心理描写などについては緊張感があり面白かった印象があるが、航空機などによる戦闘シーンはスローモーで、日本はこういうのが苦手なんだなぁと感じた。
日本のかつての非合理的で派閥的な中における、山本五十六という存在の貴重さを描いている。
・「ワイルド7」
(日本・109分・1月1日・TOHO)
→ドラマ。最初サイボーグ009が原案としてあるのかと思ったが、実際どうなのかわからない。
法で裁けない、もしくは警察の手に余るような連中を懲らしめるための超法規的(というか違法?)部署に属する通称ワイルド7の戦いを描く。と書いたけど、ちょっとそこら辺記憶が曖昧。
日本の作品にしては戦闘シーンがスタイリッシュで過激で、見ていて面白かった。恋愛要素や家族愛もあるが、男向きかなあ。
個人的に非常にもったいない映画だと思った。色々詰め込みすぎている。組織の設定やキャラクターの面々、その過去や、恋愛要素、敵との戦いなど、それぞれはとても興味深く、掘り下げれば面白そうなのだけど、全部ぶっ込んじゃってそれぞれが中途半端になっちゃっている。
シリーズ化も出来るとは思うが、興行次第だろう。最初からシリーズ化が決定されていれば、もっと個別に掘り下げて出来たと思うだけに残念。
西部警察並みに予算を掛けてTVシリーズにしたら面白そうだと思うけど無理だろうなあ昨今じゃ。
・「ペーパーバード~幸せは翼にのって~」
(スペイン・123分・1月6日・e^ra)
→ドラマ。
息子を失った喜劇役者の元に同年代の親のいない少年がやってくる。劇団と一緒に生活する内、次第に絆が深まっていくが、とあるフィルムに母親が映っていると言う。一方、反体制運動に荷担する者を摘発するために、劇団内に内偵が入り込み……。
サスペンスあり、ハートフルな触れ合いがあり、気持ちの良い歌唱があり。
人生の哀しみと、温かさと、素晴らしさを謳った映画。
・「ヒミズ」
(日本・129分・1月14日・TOHO)
→ドラマ。
親から愛されない子供。明らかに普通でないにもかかわらず普通を志向して止まない少年。自分が何者なのかわからない人々。
絶望的な人生の中で目を閉じ、希望を遠ざけ、生死の狭間を彷徨う人間。それを救うのもまた、人の愛しかないのだ。
園子温監督のいつものキャストに、いつもの激情的で過激な演出、演技指導(?)。
この人の作品を見るのは二つめだが、勢いが凄まじくて、見終わった後、何か無性に凄いものを見た気分にさせられる。でも冷静に振り返ったときに、そんなに凄かったか? という気分にもなる。
いずれにしても、面白いことは間違いない。
窪塚洋介は、人間的な問題はあるかもしれないけれど、相変わらず演技は良いなあ。沢尻エリカといい、多少破綻していると良かったりするんだよなあ。
・「リアル・スティール」
(アメリカ・128分・1月14日・TOHO)
→ドラマ。
以前鉄腕アトムがハリウッドでリメイクされる、みたいな話を聞いたことがあって、それから全然どうなったのか情報が入ってこなかった。もしかしたら、これがそうなのか? と思ってしまった。ロボットの名前はアトムだし、劇中日本に好意的な設定やセリフが出てきたりするし。
格闘が生身の人間からロボットに取って代わられた時代。ロボットを操る負け続きの元ボクサーの元に、ほとんど会ったことのない自分の息子が転がり込んでくることに。
最初は邪険に扱っていたが、次第に心が通い合う。そのうちに、試合でも勝ち始め……。
脚本はしっかりしていると思う。息子との絆やサクセスストーリーなど、軸が絞られていて、それぞれがちゃんと融合している。
CGもロボットの重厚感が動きに出ているし、この辺はさすが。
安心して楽しめるエンターテインメント作品。
・「リメンバー・ミー」
(アメリカ・113分・1月20日・e^ra)
→ドラマ。
過去に傷を負った人間の交流を描いた作品。
自分はこの作品を好きなのだが、ウィキペディアを見ると、アメリカではいまいちなのか? でも素晴らしい作品だと思う。
親の責任、家族の愛、心の傷と、それに対する癒し。
確かに最後にああいう展開になる必然性やフォローする伏線があったのかというと、多少疑問にも思えるが。
しかし彼は、奔走した挙げ句に再生を取りまとめ、そして旅立ったのだ。
・「女と銃と荒野の麺屋」
(中国・90分・1月30日・e^ra)
→ドラマ。
麺屋を営む夫と、彼の仕打ちに我慢ならない女、彼女と不倫する男、夫の財産を狙う警察官と、麺屋の従業員。それぞれの思惑と駆け引きで物語が奇妙な方向に転がっていく。
中世を舞台にしたサスペンス。この作品もそれなりだが、これが現代を舞台にしていたらもっとそれなりだったかもしれない。中世を舞台にして、現代を模したファンタジーだから、華がでて、面白味が加わるのだろう。舞台設定はだから成功しているのだと思う。
ただ物語は人間の心情よりは、どちらかというと駆け引きに重点が置かれていて、そういう意味では多少無味乾燥なところがある。だから尚更家や服装などの意匠で装飾する必要があったろう。
・「エンディングノート」
(日本・90分・2月2日・e^ra)
→ドキュメンタリー。
癌と診断された父の「終活」を撮り収めた映画。
普段から父や家族を撮影していた娘が、父の死まで撮影した映像を編集して映画にした作品。これは、非常に素晴らしい。
まず、お父様が非常にユニークでユーモアに溢れていて、死期が迫っているのにそれを感じさせないのだ。また、構成も見やすく、娘自身が入れたナレーションも心地良い。
重いテーマのはずなのに決してシリアスになりすぎない。
しかし一方で、だからこそ、確実に迫る死がもの悲しい。エンディングのハナレグミの歌で涙腺決壊すること請け合い。
死ぬまでの段取りや、家族とのコミュニケーション、自分の人生を振り返ることなど、この映画を通して学んだり再認識させられることは数多い。
テレビで「アナコンダ2」を流す暇があったら、この映画を100回でも放送した方が遙かに有意義だろう。
・「宇宙人ポール」
(アメリカ、イギリス・104分・2月10日・e^ra)
→ドラマ。
SFオタクが宇宙人と遭遇。彼を宇宙に帰すために奔走するロードムービー。
SF好きなら多分ニヤニヤしっぱなしなんだろう。そうでなくてもウィットの効いた会話や下品な品行で笑えること請け合い。ちょっとした恋や成長物語もあるし、まあ全般的にハッピーでいい加減。
面白いよ。下品なのが嫌な人は見ちゃ駄目。
・「ハートブレイカー」
(フランス、モナコ・105分・2月29日・e^ra)
→ドラマ。
いわゆる「別れさせ屋」の主人公が仕事を果たそうとする間に、ターゲットの女性にだんだん惹かれていく、という内容の映画。
ユーモアも多いし、無茶な展開もあるし、ポップ。見やすいと思う。主人公がヒロインに惹かれる理由がはっきりとはわからないが、まあでもなんとなくはわかるからいいか。
ヒロインの女優が、そんなに美女、という感じでは無いけど、そこはかとない魅力を備えている。
エンターテインメントとして十分楽しめる無いようだと思う。
・「第9地区」
(アメリカ、ニュージーランド、南アフリカ共和国・111分・3月16日・TV)
→ドラマ。冒頭を見逃してしまった。
宇宙人が住み着いてしまった地区があり、そこで彼らと折衝? する主人公に問題が起こり、やがて人間の非道さ、残酷さ、利己が明らかになっていく。
まあ、安全保障という観点から、多少やむを得ないのかな、という部分も無いではないが……。
相手の立場に立った人道的な配慮が何事にも必要だよね、というような感じか?
アクションシーンも豊富にあるし、エンターテインメント性は充分にある。物語も最後、もの悲しさを含んでいて、悪くはない映画だった。
・「ブリューゲルの動く絵」
(ポーランド、スウェーデン・96分・3月21日・e^ra)
→ドラマ?
ブリューゲルの絵を元に当時(中世)を再現したり、大勢の人間とCGで絵を再現したりする。
何がしたいのかいまいちわからない映画だった。キリスト教に詳しい人ならば、もう少し楽しめたのだろうか。
セリフもあまりなかったし、ダラダラ感も感じ、楽しめなかった。
・「灼熱の魂」
(カナダ、フランス・131分・3月22日・e^ra)
→ドラマ。
変わり者の母が死に、その遺言が二人の子供に渡される。そこには、あなたたちの兄を捜して手紙を渡しなさい、という内容が含まれていた。聞いたこともない兄の存在に戸惑う二人だったが、手掛かりを求めて探す内に、母の壮絶な過去と、現在に続く因果を知っていく……。
これは凄まじいドラマだった。フランス映画っぽく、過剰な演出はなく、BGMも控え目。過激な場面もあるが、飽くまで淡々としたテンポがベースにある。しかし構成や撮影など映画的な技術はうまくて丁寧で、何よりドラマが巧みなので引き込まれてしまう。
やや冗長な嫌いはあるが、それでも面白かったと言える。
・「大津波のあとに/槌音」
(日本・74分、23分・3月22日・e~ra)
→ドキュメンタリー。
東北地方太平洋沖地震後、現地に入った人間によって撮影された映像記録。
2本立て。それぞれ一人で撮影しているが、前者は完全に記録目的で現地に向かっていて、積極的にインタビューをしていたり、瓦礫の中に分け入っている。
後者は家族に物資を届けた際に、あまりにも衝撃を受けてスマートフォンで撮影している。そのため、映像が少々粗い。またインタビューもしていない。風景だけを映しているが、現地に住んでいた人間なので、かつて撮った映像を交えて編集していて、情緒がある。
昨年見た「無常素描」という震災の記録映画と比べても、こちらの方が色々な人に色々な話を聞いていたり、様々な風景を撮っていたりして、自分はこちらの方が評価できると感じている。
ただし、震災に関してはテレビでも数多く報道されドキュメンタリーが作られている中で、この映画がどの程度の価値があるのか、と問われると、それほど高い評価は出来ないかな、という気もする。
2012年1月7日の日記。映画の感想と書き忘れ。
2012年1月7日 映画 最近 いいこと 少ない by松尾芭蕉(ギャグマンガ日和)
今年は大変な年になるという予想が現実味を帯びてきている。
-----------------------------------------------------
「ペーパーバード~幸せは翼にのって~」という映画が素晴らしかった。
新年早々こんな素晴らしい映画を観られるなんて幸せだ。
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そう言えば昨年見た「エッセンシャル・キリング」という映画の感想とランク付けを行うのを忘れていた。
・「エッセンシャル・キリング」
ポーランド・ノルウェー・アイルランド・ハンガリー・83分・11月30日・e~ra
→中東らしいところで、イスラム教系の主人公がアメリカ軍(?)からひたすら逃げる作品。
主人公は喋らない。ひたすら自然の中を逃げて、空腹や怪我に苦しむ姿を見せている。
アラーのための殉教や殺人を肯定(正当化)する言葉を受けるシーンが、回想で入る。それまでに行ってきた様々な背徳行為や、現在の苦しみとの対比。
興味深い映画だが、セリフが極端に少ないことや、展開の起伏の少なさなど、少々退屈さはある。
ランクは「C」かな。
------------------------------------------------------
久し振りに映画の「タイムマシン」を見た。
H・G・ウェルズの原作は見ていない。飽くまでこの映画だけだけど。
当時もセンチメンタルな気分にはなったが、今見るとまたより一層という感じ。
愛する人を失って、その状況を変えたいとか、映画の最後の別れのシーンとか。
なんとなくこの映画ってB級って言う感じがするんだけど、見てみると結構心にグッと来るところがある。
敵役も結構いいこと言ってるんだよ。
「80万年の進化をお前にとやかく言う資格があるか?」とか。
「タイムマシンは誰もが心に持っている」とかね。
今年は大変な年になるという予想が現実味を帯びてきている。
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「ペーパーバード~幸せは翼にのって~」という映画が素晴らしかった。
新年早々こんな素晴らしい映画を観られるなんて幸せだ。
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そう言えば昨年見た「エッセンシャル・キリング」という映画の感想とランク付けを行うのを忘れていた。
・「エッセンシャル・キリング」
ポーランド・ノルウェー・アイルランド・ハンガリー・83分・11月30日・e~ra
→中東らしいところで、イスラム教系の主人公がアメリカ軍(?)からひたすら逃げる作品。
主人公は喋らない。ひたすら自然の中を逃げて、空腹や怪我に苦しむ姿を見せている。
アラーのための殉教や殺人を肯定(正当化)する言葉を受けるシーンが、回想で入る。それまでに行ってきた様々な背徳行為や、現在の苦しみとの対比。
興味深い映画だが、セリフが極端に少ないことや、展開の起伏の少なさなど、少々退屈さはある。
ランクは「C」かな。
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久し振りに映画の「タイムマシン」を見た。
H・G・ウェルズの原作は見ていない。飽くまでこの映画だけだけど。
当時もセンチメンタルな気分にはなったが、今見るとまたより一層という感じ。
愛する人を失って、その状況を変えたいとか、映画の最後の別れのシーンとか。
なんとなくこの映画ってB級って言う感じがするんだけど、見てみると結構心にグッと来るところがある。
敵役も結構いいこと言ってるんだよ。
「80万年の進化をお前にとやかく言う資格があるか?」とか。
「タイムマシンは誰もが心に持っている」とかね。
2012年1月2日の日記。2011年に見た映画のランク付け。
2012年1月2日 映画 2011年に見た映画のランク付け。
A~Eの五段階評価。Aが一番良い。
毎回のことだけど、評価の基準がちょっと曖昧。もう少し基準を設けたいところだけど、そうするとまた面倒な作業が増えるしなあ。
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A~Eの五段階評価。Aが一番良い。
毎回のことだけど、評価の基準がちょっと曖昧。もう少し基準を設けたいところだけど、そうするとまた面倒な作業が増えるしなあ。
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・A
「サウンド・オブ・ミュージック」
「英国王のスピーチ」
「その街のこども劇場版」
「モンガに散る」
「ヤコブへの手紙」
「ブラック・スワン」
「アメイジング・グレイス」
「キミとボク」
「コクリコ坂から」
「メアリー&マックス」
「光のほうへ」
「黄色い星の子供たち」
「50/50」
・B
「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」
「容疑者Xの献身」
「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡~」
「ソーシャル・ネットワーク」
「ヒアアフター」
「プラダを着た悪魔」
「ヘヴンズストーリー」
「フード・インク」
「イップ・マン 葉問」
「台北の朝、僕は恋をする」
「イーグル・アイ」
「アイ・アム・ナンバー4」
「トランスフォーマー」
「ファンタスティックMr.FOX」
「ソウル・キッチン」
「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」
「100,000年後の安全」
「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」
「エクレール・お菓子放浪記」
「あぜ道のダンディ」
「世界侵略:ロサンゼルス決戦」
「ツレがうつになりまして。」
「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」
「スマグラー お前の未来を運べ」
「コンテイジョン」
「パラノーマル・アクティビティ3」
「大鹿村騒動記」
「人生、ここにあり!」
「ヒマラヤ、運命の山」
・C
「百万円と苦虫女」
「書道ガールズ~青い青い空」
「瞳の奥の秘密」
「ペルシャ猫を誰も知らない」
「マザーウォーター」
「エル・トポ デジタルリマスター版」
「パラノーマル・アクティビティ2」
「メッセージ~そして、愛が残る~」
「約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語~」
「義兄弟~SECRET REUNION~」
「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」
「人生、万歳!」
「エリックを探して」
「白いリボン」
「ウッドストックがやってくる!」
「再生の朝に~ある裁判官の選択~」
「婚前特急」
「スカイライン~征服~」
「冷たい熱帯魚」
「マイティ・ソー(3D)」
「ミスター・ノーバディー」
「ナンネル・モーツァルト~哀しみの旅路~」
「ひめゆり」
「神々と男たち」
「GONZO」
「ライフ~いのちをつなぐ物語~」
「一枚のハガキ」
「探偵はBARにいる」
「ミツバチの羽音と地球の回転」
「アリス・クリードの失踪」
「レッド・バロン」
「カイジ2~人生奪回ゲーム~」
「森崎書店の日々」
「タンタンの冒険(字幕・2D)」
「極道めし」
・D
「パリ20区、僕たちのクラス」
「太平洋の奇跡~フォックスと呼ばれた男~」
「ウォール・ストリート」
「ありあまるごちそう」
「地球が静止する日」
「180°SOUTH」
「ショパン~愛と哀しみの旋律~」
「シリアスマン」
「イヴ・サンローラン」
「戦火のナージャ」
「無常素描」
「東京オアシス」
・E
「さや侍」
「ブンミおじさんの森」
「ステキな金縛り」
2011年12月31日の日記。今年後半に見た映画の感想。
2011年12月31日 映画 今年後半に見た映画の簡単な感想を記したいと思います。ネタバレ注意。
題名の下に製作国と上映時間、鑑賞日、鑑賞した場所、媒体を記してます。
TVはテレビ。TOHOはTOHOシネマズ。e~raはシネマイーラ。
明日は昨年やったようにA~Eまでの5段階評価をしたいと思います。時間があれば。
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・「トランスフォーマー」
アメリカ・145分・7月24日・TV
→追っかけられたりアクションしたりするエンターテインメント作品。話の内容はほとんど無いと言っていいのでは。でもまあ、上映中はしっかり楽しめると思う。
・「ミスター・ノーバディー」
フランス・ドイツ・カナダ・ベルギー・137分・7月25日・e~ra
→過去に空白のある老人が思い出を語る映画。SF映画の体裁だけど、実際は愛についての選択を迫られる青春映画だろうか。
語る過去にパラレルワールドのような要素がある。例えば3人の女性との結婚生活を語るのだけど、それが離婚したとかじゃなくて、同じ時に別々の女性と付き合っている自分の人生を語るのだ。はっきりとした答えは提示されていないが、自分の解釈だと、幼少期に両親の離婚を体験して、その愛の破綻にショックを受けた少年が、人生を選択できないまま、一気に未来まで時間を超えてしまった。で、空白になった思春期、青年期を思い出す過程で、どの人生が自分にとって幸福なのかを探っているのではないかと。それは実際に、無かった人生を生み出す工程でもあるのだ。
よくわからない部分もあるが、強烈な切なさを誘われる映画ではある。
・「ナンネル・モーツァルト~哀しみの旅路~」
フランス・120分・7月28日・e~ra
→古典の大物として有名なヴォルフガングの方ではなくて、彼の姉の方をフィーチャーした映画。一言で言えば、時代。時代と男によって、創作意欲を折られた女性の話。BGMはあまりないが、音楽の演奏シーンや歌唱などの部分は良い。ただし、見せ方としてはそれを魅せつけてカタルシスを与えるような作りではない。編集もブツ切り感があるし、史実ものの制約か、劇的というようなストーリーでもない。
個人的にはやや退屈ではあった。
・「ファンタスティックMr.FOX」
アメリカ・イギリス・87分・7月28日・e~ra
→どうも人形か何かのコマ撮り映画らしい。のか? 泥棒稼業から足を洗ったキツネが、物入りになってまた人間から盗みを働こうとして痛い目にあったり溜飲を下げたりする映画。
イギリスっぽい皮肉なユーモアと、アメリカっぽい陽気さがある。テンポも良く、意匠も凝っていて、見ていて素直に楽しいと思う。
・「ソウル・キッチン」
ドイツ・フランス・イタリア・99分・7月29日・e~ra
→二流以下の店を何とか一流にしようとするオーナーと、その土地(?)の権利を狙う不動産屋の駆け引き。
エンターテインメント、と言う感じで、面白かった。美術も音楽も良かったように思う。俳優も個性的でいい味を出していた。
・「トランスフォーマー~ダークサイド・ムーン(3D)」
アメリカ・157分・8月1日・TOHO
→なんか、あの、月の裏にあった異星の船を巡ってドンパチする映画。
ストーリーは、まああってないようなものかも。ひたすら危険に見舞われて、アクションで息を吐かせない。今まで必要性は薄かったが、なんだかんだで追いかけられる理由があった主人公。しかし今回は話に絡む理由がない。で、自分からややこしい状況に深入りして結果を出そうとすることが、ある意味で話の軸であり主人公の成長物語となっているのかもしれない。
・「コクリコ坂から」
日本・91分・8月1日・TOHO
→惹かれあった男女に出生の秘密がのしかかる青春映画。
前にも書いたが、とても雰囲気の良い映画。俺は断然アリエッティよりもこっちの方が面白いと思う。
宮崎吾朗が次にこの経験を活かせるか。注目。
・「ひめゆり」
日本・130分・8月11日・e~ra
→沖縄戦の悲惨な体験を、かつてひめゆり学徒隊に所属していた女性達が語るドキュメンタリー(インタビュー)映画。
基本的には、女性の当時の写真を見せたあとに、当時の場所で体験した出来事を語る内容。淡々としていて、人によっては退屈だと思う。
ただ個人的には、彼女たちの話の内容が凄絶だったので、聴き入った。脳味噌が飛び散るとか腕がちぎれるとか、普通に出て来る。
哀しいほろりとさせられる話もある。
・「神々と男たち」
フランス・120分・8月18日・e~ra
→どうも実際にあった出来事を映画にしているらしい。とある国での神父達の日常と、その後の悲劇を描く。
前半部分など、ちょっと映画としての刺激に弱く、退屈さを感じた。かなり淡々としているしなあ。演出は控え目。
・「GONZO」
アメリカ・119分・8月19日・e~ra
→GONZOと呼ばれた過激なアメリカのジャーナリストの半生。
ドキュメンタリー? 彼の人生を周囲の人物が振り返っている。
彼がどれほどの人物なのか、日本にいるせいかいまいちわからず、実際どれほどの影響力を持っていたのかもいまいちわからない。
彼を知っている人達が、懐かしむような映画だろうか。
・「100,000年後の安全」
デンマーク・フィンランド・スウェーデン・イタリア・79分・8月27日・e~ra
→原子力発電所から廃棄される核燃料廃棄物をどう処置するかについて色々考える映画。
論理的に色々な可能性について検討している。10万年経たないと無害化しないそれをどこに隠し、後々の人々にその危険をどう伝えていくか。と言うことをあれこれ考えれば考えるほど、それがとても煩雑であると言うことがわかる。
そして、その事が核燃料廃棄物自体の危険性を物語っているという作り。うまいね。
一応演出や、画の見せ方など、色々工夫していて、飽きさせないような努力は見える。
・「イヴ・サンローラン」
フランス・103分・8月30日・e~ra
→世界のファッションに多大な影響を与えたイヴ・サンローランの人生を、当時の映像や周囲の証言で見せる。
彼の内面に深く迫っているとも思えないし、周囲の人が彼について語っただけ、と言うような印象。彼に特別思い入れのない自分としては、それほど心には響かなかった。
・「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」
アメリカ・112分・8月30日・e~ra
→とある女性に惚れたバンドマンの男性が、彼女と付き合うために元カレ軍団と戦う映画。
アニメ、ゲーム、漫画等々サブカルの要素が大いに含まれた映画で、毒々しいまでにカラフルでポップでゴチャゴチャしている。
好みは別れると思うが、楽しい映画を観たい人にはお勧めできる。と思う。
・「ライフ~いのちをつなぐ物語~」
イギリス・85分・9月1日・TOHO
→日本でもよくある動物を扱ったネイチャー映画。映像はさすがに美しく、面白い構図などもある。ただ、結構淡々と静かにじっくり見せるため、中弛み感はある。
・「エクレール・お菓子放浪記」
日本・105分・9月8日・e~ra
→親無し(?)の子供が日本各地を転々とする。
役者達の演技は良かったし、話も演出も楽しく見られた。最後の展開には誰しも「マジ?」と思うかもしれないが、そこは制作側の都合で違和感が出るようなことになってしまったのかもしれないと脳内で補う。
先生役の早織が清潔感があって良かった。
・「一枚のハガキ」
日本・114分・9月8日・e~ra
→新藤兼人監督の最後の作品とされている。
戦友から託されたハガキをその妻に届けに行く話。
目新しさはないオーソドックスな作りで手慣れている。前半から中盤にかけてはやや淡々と、鬱々とした話。後半にはっちゃける。ユーモアも一応織り交ぜられている。
映像には全体的に季節の空気感が出ていて、会話や作品の進行には天気のようにカラッとした雰囲気もある。
話題になったため客入りはよかった。ただ個人的に、この映画が特別面白いとは思わなかった。
・「戦火のナージャ」
ロシア・150分・9月8日・e~ra
→ロシアの戦争大作。第二次大戦の最中、離ればなれになった父娘をそれぞれの視点で描く。
脚本がとっちらかっていて、時系列や出来事の意味がよくわからない。ロシアの歴史や人物に明るい人に向けて作ったのだろうか? にしても、ちょっとなあ。長いだけ、と言う印象だった。
・「探偵はBARにいる」
日本・125分・9月14日・TOHO
→固定の事務所を持たない探偵が相棒と共に依頼に振り回される話。
いまいち人物の相関関係とかがよくわからなかった。これはミステリーでよくある、後から後からどんどん情報が出て来るタイプの作品を、自分があまり好きでないことと関係があるのかもしれない。
作品としては程良くまとまっていて、好評ならばシリーズ化も出来るだろう。個人的にはあまり魅力を感じなかった。
・「ミツバチの羽音と地球の回転」
日本・135分・9月15日・e~ra
→山口県祝島に原発建設の話が持ち上がる。地元住民は多くが反対。島の生活と原発建設に関する反対運動を収めたドキュメンタリー映画。
島の生活は素朴だけど人間的な豊かさがあって、自然があって、そう言うところに原発はいらない。それに北欧では電力に関してこういうモデルケースがあって、自然エネルギーも選ばれているんだよ。と言う感じの映画。
この映画の主張は一面的には正しいのかもしれない。でも大局的に見てみたら、全部が頷けるわけではないのかもしれない。こういう側面もある、と思ってみるべき映画かなあ。
・「あぜ道のダンディ」
日本・110分・9月19日・e~ra
→体調の優れない主人公は自分が病気で死ぬのだと思い、残される子供たちのことを思って毎日を生きる話。
「川の底からこんにちは」で奇才ぶりを発揮した石井裕也監督・脚本作。この人が監督をするとキャラクターの個性が強烈になる。カットや編集もうまいこと繋がっていてストレスはない、テンポも良いし、ユーモアもある。一言で言えば良作だと思う。ただ前作にも言えることだけど、この人の書く話はどうしても地味なのだ。一部では評価されても、商業ベースでどうなのだろうか。この人の作品は嫌いじゃないし、今後も見たいと思うけど、作品を作り続けていくためには、金も稼がないといけない。余計なお世話かもしれないけど、大衆に認知されるような物も書いて撮って欲しい。難しいんだけどね。それが。
・「アリス・クリードの失踪」
イギリス・101分・9月19日・e~ra
→男二人が女一人を誘拐、監禁する映画。
登場人物がたぶん3人しか出てこない。3人のそれぞれの思惑と駆け引きを楽しむ映画。
・「世界侵略:ロサンゼルス決戦」
アメリカ・116分・10月1日・TOHO
→世界各地に同時に異星人が侵略を開始する。それに立ち向かうアメリカ軍の一小隊(?)の話。
小隊の動きにフォーカスしているので、大局的な状況は時折入る情報や街並みくらい。詳細の全く解らない相手と戦うというドキドキワクワク感。あっという間に人間側が侵略されていく、一種のカタルシス。リーダーという立場の難しさを考えさせるストーリー。決してA級にはなれないけど、多くの人を楽しませることができる作品だと思う。自分は好き。恋愛とかは一切出てこないので婦女子は向かないかも。
・「メアリー&マックス」
オーストラリア・94分・10月7日・e~ra
→クレイアニメ(?)。オーストラリアのメアリーが、アメリカのマックスに手紙を送ったところから始まる交流。
メアリーは親に問題があり、マックスはアスペルガー症候群を患っている。問題を抱えながらも人生を歩んでいく彼らの物語。シリアスな作品なんだけど、下品なことやグロテスクなこともユーモアになっていて(ブラックユーモア?)、オブラートに包まれている。これがクレイアニメで良かった。良い映画。
印象に残ったセリフ。「親や欠点は選べないけど、友達は選べる。君は僕の友達だ」
・「ツレがうつになりまして」
日本・121分・10月14日・TOHO
→バリバリのサラリーマンだった夫がウツに。売れない漫画家の妻がウツの夫と過ごす毎日。
自分は原作の本を最初の一冊だけ持っている。テレビ版は最初の方をチラ見程度。テレビと比較すると、ツレが鬱に落ちていく過程の描写が少なめ。基本的に妻視点だから、より夫を傍観する感じ。本作はどちらかというと、夫婦の絆、人と人の絆、みたいなものにフォーカスしている。気がする。
宮崎あおいの演技は本物なんだな。
・「光のほうへ」
デンマーク・114分・10月14日・e~ra
→親に恵まれなかった兄弟が、子供の頃に喪失した愛を取り戻そうと、大人になってもがく話。
悲しくも、暖かい、良い話。編集や全体の構成もストレス無く見られるし、映画として良くまとまっている。いかに幼い頃の環境や、親の存在(在り方)が大切かがわかる。
・「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」
アメリカ・イギリス・90分・10月27日・e~ra
→四六時中ビデオカメラを回しているティエリー・グエッタという人物がストリートアートと出会い、アーティスト達と交流を続ける内に、バンクシーという大物と知り合う。その内バンクシーに促されて、ティエリー自身がアート活動を始める。その一連の流れを、ティエリーの撮った映像などを基に、バンクシーが監督したドキュメンタリー。
ティエリーはアメリカで割と大きな成功を収めているらしい。それがどの程度の評価なのかはわからないが、どうも彼がカメラに収めてきた多くのアーティストを上回る経済的な成功のようだ。
彼に思想とか、芸術に対するこだわりとか、そういうものがあるようにはあまり感じられない。しかし、プライベートの時間を割いて接してきた多くのアーティスト達から、そのエッセンスを吸い取り、持ち前の行動力と節操の無さと広告力を前面に出してついに大きな成果を出してしまう。
元々古着屋をやっていたらしいし、美的センスはある程度備えていたのかもしれない。一体これがいつまで評価され続けるのかわからないが、こういう成功の仕方もあるのだ、言うこと。
・「レッド・バロン」
ドイツ・129分・10月27日・e~ra
→第一次世界大戦のドイツで、レッドバロンと呼ばれたエースパイロットの物語。
話としては史実をなぞっていく中で、主人公や彼を慕う女性の葛藤、悩みを描いたり、戦いを描いたりしている。どこに焦点を絞るのか、これは非常にバランスの難しいことだけど、どっちつかずの印象がある。いや、全般的には決して悪くはないと思う。ただ、どこを切ってもカタルシスが満足に得られないような作りなのだ。
自分はあまり詳しくはないのだけど、プロペラ機による空中戦は、自分も乗っているような感じで見ることが出来た。こういう感じなんだな、と感じることができた。
・「スマグラー~人生奪回ゲーム~」
日本・114分・11月1日・TOHO
→役者の夢を諦めて自堕落に生きている男が裏社会に足を突っ込んでしまう映画。
石井克人監督の味が出たスタイリッシュでスピーディーでエキセントリックな作り。今までの作品はユーモアが多かったが、本作はそう言うニオイは漂っていても、根っこのところではかなりシリアス。そしてグロ。最近高島兄弟は悪役もこなしているけど、ちゃんと様になってるからいいよね。
ストーリーは最後の方とか、ちょっと強引な気もするけど、まあ全体的に良いと思います。
・「カイジ2~人生奪回ゲーム~」
日本・133分・11月14日・TOHO
→地下世界の仲間を救い出すために、カイジは巨大カジノに挑む。
前作はカードゲームや、鉄骨渡りなど、頭脳や体を張った戦いが多かった。ところが今作は取り扱うのがパチンコであり、そこがちょっと。色々仕掛けがあったり対策を練ったりはしているんだけど、どんなに頑張っても基本的にハンドルを回しているだけなんで、迫力とか駆け引きとかそういったダイナミズムがない。
そこを役者の演技とか演出とかでなんとか誤魔化している。前作に比べると、ストーリー面で少々パンチ力不足かなと言う気はする。
前作の敵役が香川照之で、今作はどうするのかなーと思っていたら伊勢谷友介。なるほどまだ人材がいたねと思った。
・「コンテイジョン」
アメリカ・106分・11月14日・TOHO
→新型の伝染病が広がっていく様や、それに対応するWHOなどの活動が刻々と描かれている。リアリスティックでサスペンス、スリルを押し出した映画。恋とかそう言うのはかなり少ない。人のドラマよりも、社会全体がどうなっていくのか、と言うことに焦点を当てている。
日本で「感染列島」という映画が作られていて、自分はその冒頭部分だけ見たことがあるが、似たような印象。状況の進行をサクサクと実務的に見せるような。
興味深い映画だった。
・「パラノーマル・アクティビティ3」
アメリカ・84分・11月14日・TOHO
→1,2作で登場した姉妹の子供の頃の話。
2作目よりも自分は面白く見られた(怖かったと言うこと)。ただ、2作目にも言えることだけど、予告編と本編が違うのは問題でしょ。今作なんか、予告で使われてた怖いシーンがかなり無くなってた。詐欺だろこれは。
・「ステキな金縛り」
日本・142分・11月14日・TOHO
→三谷幸喜監督の最新作。弁護士が受け持ったとある事件。その被告は、アリバイを主張するが、それを証言できるのが落ち武者の幽霊だけだった。
正直期待していたが全然面白くなかった。なんかもう、話の軸がブレにブレていて長い上に本筋がわかりにくい。幽霊にまつわる設定を説明しなければいけないし、取って付けた感もある。また幽霊のセリフをいちいち人を介して繰り返させるなど、テンポも悪い。
映画に関しては、ラジオの時間が一番良かったなあ。
・「黄色い星の子供たち」
フランス・125分・11月18日・e~ra
→ナチスドイツ占領下のパリで、ユダヤ狩りが行われる映画。
迫害の中で、懸命に生きようとするユダヤ人達と、彼らを助けようと奔走するフランス人(パリ市民)たちの物語。
史実を基にしていて、どこまでが実話に沿っているのかわからないが、全体として丁寧に作られており、感動を呼び起こす作品。
・「森崎書店の日々」
日本・109分・11月21日・e~ra
→実は自分が体だけの女だったと知り、ショックを受けて会社を辞めた女性が、叔父の書店で働く物語。
一人の女性の再生をほっこりゆったり描く。静かで抑制の効いた、佳作。
主人公役の菊池亜希子がナチュラルな感じで良い。
・「無常素描」
日本・75分・11月24日・e~ra
→3.11から数ヶ月経った東北の状態を映したドキュメンタリー作品。
映像や演出に飾りはほとんど無く、悪く言えば素っ気ない。良く言えばありのままを映している。何というか、記録映像の域を出ない気がする。それはそれで価値はあるのだろうが、映画にするほどだろうか。
・「大鹿村騒動記」
日本・93分・12月8日・e~ra
→大鹿村で起こるゴタゴタ。
原田芳雄の遺作。役者は皆達者な人達ばかりでそこだけでも楽しめる。監督は阪本順治で、自分はあまり合わない人だったが、今作は楽しめた。ユーモアがあり、テンポも良く、良作。佳作。
原田さんの演技良かった。合掌。
・「人生、ここにあり!」
イタリア・111分・12月8日・e~ra
→精神病患者達を仕事で成功させようとする男の物語。
実際にあった話を基にしているとか。主人公がどういう人物で、どういう経緯を経ていたのか、その描写が冒頭に少なく、彼の行動の真意を汲み取りにくかったのがもったいなかったが、全体的には筋が通っていてまとまりもあり、編集その他含めて良かった。
個人的には、とある精神病患者のエピソードを自分と重ね合わせてしまい、ちょっとショックを受けた。
・「50/50(フィフティ・フィフティ)」
アメリカ・98分・12月14日・TOHO
→癌で生きるか死ぬかの男性が恋や人生に悩む映画。
生死にまつわる映画なのに、それほど深刻さを感じさせないのは、陽気な友人のおかげ。なので、物凄く泣けるかというとそれほどでもないが、グッと来る場面もある。恋も友情もあり、家族の愛もある。テンポも良いし、良作と言っていい。
アナ・ケンドリックが可愛い。
・「タンタンの冒険(字幕・2D)」
アメリカ・ベルギー・107分・12月14日・TOHO
→有名な漫画をスピルバーグが監督し、ピータージャクソンなどとタッグを組んで作り上げたアニメ作品。
アニメの質はかなりの高水準。話はマクガフィンを巡って追いかけたり追いかけられたりを軸にしていて、物語はあって無いようなもの。
アクションと映像美を楽しむ映画。
・「ヒマラヤ、運命の山」
ドイツ・104分・12月19日・e~ra
→ヒマラヤ山脈ナンガ・パルバート、未踏のルパール壁に挑んだ登山家達の話。
最初、登山後の会見シーンから始まり、そこでサスペンス臭を漂わせておきながら、実際は大してサスペンスなんか無かった。ただ、登山に関するシーンは見応えがあったし、全体の構成も手慣れていて破綻はない。面白く見られた。
・「極道めし」
日本・108分・12月19日・e~ra
→刑務所の同じ部屋に入った囚人達が、食にまつわる思い出を語る。
とある囚人のエピソードを除いて、基本的にはよくある話を寄せ集めた普通の映画という印象。一つのエピソードが個人的にかなり応えたので、その部分が際立って印象に残った。あと、木村文乃がこの上なく可愛い。
・「東京オアシス」
日本・83分・12月25日・e~ra
→とある女性と、彼女に関わる人達のお話。
タイトルからして、スローライフ礼賛、ナチュラル系、癒し系の作品かと思って見に行ったら、そう言うわけではなかった。何というか、確かに落ち着いた雰囲気の作品で、どちらかというと女性向けだけど、もっと泥臭い感じ。癒し系の作品って、もっとある種の理想像みたいな描き方をする。住まいとか、生活とか。
でもこの作品は、もっと「現実」って感じがする。で、なんか、無骨と言うか。
原田知世の雰囲気の良さがいいね。
題名の下に製作国と上映時間、鑑賞日、鑑賞した場所、媒体を記してます。
TVはテレビ。TOHOはTOHOシネマズ。e~raはシネマイーラ。
明日は昨年やったようにA~Eまでの5段階評価をしたいと思います。時間があれば。
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・「トランスフォーマー」
アメリカ・145分・7月24日・TV
→追っかけられたりアクションしたりするエンターテインメント作品。話の内容はほとんど無いと言っていいのでは。でもまあ、上映中はしっかり楽しめると思う。
・「ミスター・ノーバディー」
フランス・ドイツ・カナダ・ベルギー・137分・7月25日・e~ra
→過去に空白のある老人が思い出を語る映画。SF映画の体裁だけど、実際は愛についての選択を迫られる青春映画だろうか。
語る過去にパラレルワールドのような要素がある。例えば3人の女性との結婚生活を語るのだけど、それが離婚したとかじゃなくて、同じ時に別々の女性と付き合っている自分の人生を語るのだ。はっきりとした答えは提示されていないが、自分の解釈だと、幼少期に両親の離婚を体験して、その愛の破綻にショックを受けた少年が、人生を選択できないまま、一気に未来まで時間を超えてしまった。で、空白になった思春期、青年期を思い出す過程で、どの人生が自分にとって幸福なのかを探っているのではないかと。それは実際に、無かった人生を生み出す工程でもあるのだ。
よくわからない部分もあるが、強烈な切なさを誘われる映画ではある。
・「ナンネル・モーツァルト~哀しみの旅路~」
フランス・120分・7月28日・e~ra
→古典の大物として有名なヴォルフガングの方ではなくて、彼の姉の方をフィーチャーした映画。一言で言えば、時代。時代と男によって、創作意欲を折られた女性の話。BGMはあまりないが、音楽の演奏シーンや歌唱などの部分は良い。ただし、見せ方としてはそれを魅せつけてカタルシスを与えるような作りではない。編集もブツ切り感があるし、史実ものの制約か、劇的というようなストーリーでもない。
個人的にはやや退屈ではあった。
・「ファンタスティックMr.FOX」
アメリカ・イギリス・87分・7月28日・e~ra
→どうも人形か何かのコマ撮り映画らしい。のか? 泥棒稼業から足を洗ったキツネが、物入りになってまた人間から盗みを働こうとして痛い目にあったり溜飲を下げたりする映画。
イギリスっぽい皮肉なユーモアと、アメリカっぽい陽気さがある。テンポも良く、意匠も凝っていて、見ていて素直に楽しいと思う。
・「ソウル・キッチン」
ドイツ・フランス・イタリア・99分・7月29日・e~ra
→二流以下の店を何とか一流にしようとするオーナーと、その土地(?)の権利を狙う不動産屋の駆け引き。
エンターテインメント、と言う感じで、面白かった。美術も音楽も良かったように思う。俳優も個性的でいい味を出していた。
・「トランスフォーマー~ダークサイド・ムーン(3D)」
アメリカ・157分・8月1日・TOHO
→なんか、あの、月の裏にあった異星の船を巡ってドンパチする映画。
ストーリーは、まああってないようなものかも。ひたすら危険に見舞われて、アクションで息を吐かせない。今まで必要性は薄かったが、なんだかんだで追いかけられる理由があった主人公。しかし今回は話に絡む理由がない。で、自分からややこしい状況に深入りして結果を出そうとすることが、ある意味で話の軸であり主人公の成長物語となっているのかもしれない。
・「コクリコ坂から」
日本・91分・8月1日・TOHO
→惹かれあった男女に出生の秘密がのしかかる青春映画。
前にも書いたが、とても雰囲気の良い映画。俺は断然アリエッティよりもこっちの方が面白いと思う。
宮崎吾朗が次にこの経験を活かせるか。注目。
・「ひめゆり」
日本・130分・8月11日・e~ra
→沖縄戦の悲惨な体験を、かつてひめゆり学徒隊に所属していた女性達が語るドキュメンタリー(インタビュー)映画。
基本的には、女性の当時の写真を見せたあとに、当時の場所で体験した出来事を語る内容。淡々としていて、人によっては退屈だと思う。
ただ個人的には、彼女たちの話の内容が凄絶だったので、聴き入った。脳味噌が飛び散るとか腕がちぎれるとか、普通に出て来る。
哀しいほろりとさせられる話もある。
・「神々と男たち」
フランス・120分・8月18日・e~ra
→どうも実際にあった出来事を映画にしているらしい。とある国での神父達の日常と、その後の悲劇を描く。
前半部分など、ちょっと映画としての刺激に弱く、退屈さを感じた。かなり淡々としているしなあ。演出は控え目。
・「GONZO」
アメリカ・119分・8月19日・e~ra
→GONZOと呼ばれた過激なアメリカのジャーナリストの半生。
ドキュメンタリー? 彼の人生を周囲の人物が振り返っている。
彼がどれほどの人物なのか、日本にいるせいかいまいちわからず、実際どれほどの影響力を持っていたのかもいまいちわからない。
彼を知っている人達が、懐かしむような映画だろうか。
・「100,000年後の安全」
デンマーク・フィンランド・スウェーデン・イタリア・79分・8月27日・e~ra
→原子力発電所から廃棄される核燃料廃棄物をどう処置するかについて色々考える映画。
論理的に色々な可能性について検討している。10万年経たないと無害化しないそれをどこに隠し、後々の人々にその危険をどう伝えていくか。と言うことをあれこれ考えれば考えるほど、それがとても煩雑であると言うことがわかる。
そして、その事が核燃料廃棄物自体の危険性を物語っているという作り。うまいね。
一応演出や、画の見せ方など、色々工夫していて、飽きさせないような努力は見える。
・「イヴ・サンローラン」
フランス・103分・8月30日・e~ra
→世界のファッションに多大な影響を与えたイヴ・サンローランの人生を、当時の映像や周囲の証言で見せる。
彼の内面に深く迫っているとも思えないし、周囲の人が彼について語っただけ、と言うような印象。彼に特別思い入れのない自分としては、それほど心には響かなかった。
・「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」
アメリカ・112分・8月30日・e~ra
→とある女性に惚れたバンドマンの男性が、彼女と付き合うために元カレ軍団と戦う映画。
アニメ、ゲーム、漫画等々サブカルの要素が大いに含まれた映画で、毒々しいまでにカラフルでポップでゴチャゴチャしている。
好みは別れると思うが、楽しい映画を観たい人にはお勧めできる。と思う。
・「ライフ~いのちをつなぐ物語~」
イギリス・85分・9月1日・TOHO
→日本でもよくある動物を扱ったネイチャー映画。映像はさすがに美しく、面白い構図などもある。ただ、結構淡々と静かにじっくり見せるため、中弛み感はある。
・「エクレール・お菓子放浪記」
日本・105分・9月8日・e~ra
→親無し(?)の子供が日本各地を転々とする。
役者達の演技は良かったし、話も演出も楽しく見られた。最後の展開には誰しも「マジ?」と思うかもしれないが、そこは制作側の都合で違和感が出るようなことになってしまったのかもしれないと脳内で補う。
先生役の早織が清潔感があって良かった。
・「一枚のハガキ」
日本・114分・9月8日・e~ra
→新藤兼人監督の最後の作品とされている。
戦友から託されたハガキをその妻に届けに行く話。
目新しさはないオーソドックスな作りで手慣れている。前半から中盤にかけてはやや淡々と、鬱々とした話。後半にはっちゃける。ユーモアも一応織り交ぜられている。
映像には全体的に季節の空気感が出ていて、会話や作品の進行には天気のようにカラッとした雰囲気もある。
話題になったため客入りはよかった。ただ個人的に、この映画が特別面白いとは思わなかった。
・「戦火のナージャ」
ロシア・150分・9月8日・e~ra
→ロシアの戦争大作。第二次大戦の最中、離ればなれになった父娘をそれぞれの視点で描く。
脚本がとっちらかっていて、時系列や出来事の意味がよくわからない。ロシアの歴史や人物に明るい人に向けて作ったのだろうか? にしても、ちょっとなあ。長いだけ、と言う印象だった。
・「探偵はBARにいる」
日本・125分・9月14日・TOHO
→固定の事務所を持たない探偵が相棒と共に依頼に振り回される話。
いまいち人物の相関関係とかがよくわからなかった。これはミステリーでよくある、後から後からどんどん情報が出て来るタイプの作品を、自分があまり好きでないことと関係があるのかもしれない。
作品としては程良くまとまっていて、好評ならばシリーズ化も出来るだろう。個人的にはあまり魅力を感じなかった。
・「ミツバチの羽音と地球の回転」
日本・135分・9月15日・e~ra
→山口県祝島に原発建設の話が持ち上がる。地元住民は多くが反対。島の生活と原発建設に関する反対運動を収めたドキュメンタリー映画。
島の生活は素朴だけど人間的な豊かさがあって、自然があって、そう言うところに原発はいらない。それに北欧では電力に関してこういうモデルケースがあって、自然エネルギーも選ばれているんだよ。と言う感じの映画。
この映画の主張は一面的には正しいのかもしれない。でも大局的に見てみたら、全部が頷けるわけではないのかもしれない。こういう側面もある、と思ってみるべき映画かなあ。
・「あぜ道のダンディ」
日本・110分・9月19日・e~ra
→体調の優れない主人公は自分が病気で死ぬのだと思い、残される子供たちのことを思って毎日を生きる話。
「川の底からこんにちは」で奇才ぶりを発揮した石井裕也監督・脚本作。この人が監督をするとキャラクターの個性が強烈になる。カットや編集もうまいこと繋がっていてストレスはない、テンポも良いし、ユーモアもある。一言で言えば良作だと思う。ただ前作にも言えることだけど、この人の書く話はどうしても地味なのだ。一部では評価されても、商業ベースでどうなのだろうか。この人の作品は嫌いじゃないし、今後も見たいと思うけど、作品を作り続けていくためには、金も稼がないといけない。余計なお世話かもしれないけど、大衆に認知されるような物も書いて撮って欲しい。難しいんだけどね。それが。
・「アリス・クリードの失踪」
イギリス・101分・9月19日・e~ra
→男二人が女一人を誘拐、監禁する映画。
登場人物がたぶん3人しか出てこない。3人のそれぞれの思惑と駆け引きを楽しむ映画。
・「世界侵略:ロサンゼルス決戦」
アメリカ・116分・10月1日・TOHO
→世界各地に同時に異星人が侵略を開始する。それに立ち向かうアメリカ軍の一小隊(?)の話。
小隊の動きにフォーカスしているので、大局的な状況は時折入る情報や街並みくらい。詳細の全く解らない相手と戦うというドキドキワクワク感。あっという間に人間側が侵略されていく、一種のカタルシス。リーダーという立場の難しさを考えさせるストーリー。決してA級にはなれないけど、多くの人を楽しませることができる作品だと思う。自分は好き。恋愛とかは一切出てこないので婦女子は向かないかも。
・「メアリー&マックス」
オーストラリア・94分・10月7日・e~ra
→クレイアニメ(?)。オーストラリアのメアリーが、アメリカのマックスに手紙を送ったところから始まる交流。
メアリーは親に問題があり、マックスはアスペルガー症候群を患っている。問題を抱えながらも人生を歩んでいく彼らの物語。シリアスな作品なんだけど、下品なことやグロテスクなこともユーモアになっていて(ブラックユーモア?)、オブラートに包まれている。これがクレイアニメで良かった。良い映画。
印象に残ったセリフ。「親や欠点は選べないけど、友達は選べる。君は僕の友達だ」
・「ツレがうつになりまして」
日本・121分・10月14日・TOHO
→バリバリのサラリーマンだった夫がウツに。売れない漫画家の妻がウツの夫と過ごす毎日。
自分は原作の本を最初の一冊だけ持っている。テレビ版は最初の方をチラ見程度。テレビと比較すると、ツレが鬱に落ちていく過程の描写が少なめ。基本的に妻視点だから、より夫を傍観する感じ。本作はどちらかというと、夫婦の絆、人と人の絆、みたいなものにフォーカスしている。気がする。
宮崎あおいの演技は本物なんだな。
・「光のほうへ」
デンマーク・114分・10月14日・e~ra
→親に恵まれなかった兄弟が、子供の頃に喪失した愛を取り戻そうと、大人になってもがく話。
悲しくも、暖かい、良い話。編集や全体の構成もストレス無く見られるし、映画として良くまとまっている。いかに幼い頃の環境や、親の存在(在り方)が大切かがわかる。
・「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」
アメリカ・イギリス・90分・10月27日・e~ra
→四六時中ビデオカメラを回しているティエリー・グエッタという人物がストリートアートと出会い、アーティスト達と交流を続ける内に、バンクシーという大物と知り合う。その内バンクシーに促されて、ティエリー自身がアート活動を始める。その一連の流れを、ティエリーの撮った映像などを基に、バンクシーが監督したドキュメンタリー。
ティエリーはアメリカで割と大きな成功を収めているらしい。それがどの程度の評価なのかはわからないが、どうも彼がカメラに収めてきた多くのアーティストを上回る経済的な成功のようだ。
彼に思想とか、芸術に対するこだわりとか、そういうものがあるようにはあまり感じられない。しかし、プライベートの時間を割いて接してきた多くのアーティスト達から、そのエッセンスを吸い取り、持ち前の行動力と節操の無さと広告力を前面に出してついに大きな成果を出してしまう。
元々古着屋をやっていたらしいし、美的センスはある程度備えていたのかもしれない。一体これがいつまで評価され続けるのかわからないが、こういう成功の仕方もあるのだ、言うこと。
・「レッド・バロン」
ドイツ・129分・10月27日・e~ra
→第一次世界大戦のドイツで、レッドバロンと呼ばれたエースパイロットの物語。
話としては史実をなぞっていく中で、主人公や彼を慕う女性の葛藤、悩みを描いたり、戦いを描いたりしている。どこに焦点を絞るのか、これは非常にバランスの難しいことだけど、どっちつかずの印象がある。いや、全般的には決して悪くはないと思う。ただ、どこを切ってもカタルシスが満足に得られないような作りなのだ。
自分はあまり詳しくはないのだけど、プロペラ機による空中戦は、自分も乗っているような感じで見ることが出来た。こういう感じなんだな、と感じることができた。
・「スマグラー~人生奪回ゲーム~」
日本・114分・11月1日・TOHO
→役者の夢を諦めて自堕落に生きている男が裏社会に足を突っ込んでしまう映画。
石井克人監督の味が出たスタイリッシュでスピーディーでエキセントリックな作り。今までの作品はユーモアが多かったが、本作はそう言うニオイは漂っていても、根っこのところではかなりシリアス。そしてグロ。最近高島兄弟は悪役もこなしているけど、ちゃんと様になってるからいいよね。
ストーリーは最後の方とか、ちょっと強引な気もするけど、まあ全体的に良いと思います。
・「カイジ2~人生奪回ゲーム~」
日本・133分・11月14日・TOHO
→地下世界の仲間を救い出すために、カイジは巨大カジノに挑む。
前作はカードゲームや、鉄骨渡りなど、頭脳や体を張った戦いが多かった。ところが今作は取り扱うのがパチンコであり、そこがちょっと。色々仕掛けがあったり対策を練ったりはしているんだけど、どんなに頑張っても基本的にハンドルを回しているだけなんで、迫力とか駆け引きとかそういったダイナミズムがない。
そこを役者の演技とか演出とかでなんとか誤魔化している。前作に比べると、ストーリー面で少々パンチ力不足かなと言う気はする。
前作の敵役が香川照之で、今作はどうするのかなーと思っていたら伊勢谷友介。なるほどまだ人材がいたねと思った。
・「コンテイジョン」
アメリカ・106分・11月14日・TOHO
→新型の伝染病が広がっていく様や、それに対応するWHOなどの活動が刻々と描かれている。リアリスティックでサスペンス、スリルを押し出した映画。恋とかそう言うのはかなり少ない。人のドラマよりも、社会全体がどうなっていくのか、と言うことに焦点を当てている。
日本で「感染列島」という映画が作られていて、自分はその冒頭部分だけ見たことがあるが、似たような印象。状況の進行をサクサクと実務的に見せるような。
興味深い映画だった。
・「パラノーマル・アクティビティ3」
アメリカ・84分・11月14日・TOHO
→1,2作で登場した姉妹の子供の頃の話。
2作目よりも自分は面白く見られた(怖かったと言うこと)。ただ、2作目にも言えることだけど、予告編と本編が違うのは問題でしょ。今作なんか、予告で使われてた怖いシーンがかなり無くなってた。詐欺だろこれは。
・「ステキな金縛り」
日本・142分・11月14日・TOHO
→三谷幸喜監督の最新作。弁護士が受け持ったとある事件。その被告は、アリバイを主張するが、それを証言できるのが落ち武者の幽霊だけだった。
正直期待していたが全然面白くなかった。なんかもう、話の軸がブレにブレていて長い上に本筋がわかりにくい。幽霊にまつわる設定を説明しなければいけないし、取って付けた感もある。また幽霊のセリフをいちいち人を介して繰り返させるなど、テンポも悪い。
映画に関しては、ラジオの時間が一番良かったなあ。
・「黄色い星の子供たち」
フランス・125分・11月18日・e~ra
→ナチスドイツ占領下のパリで、ユダヤ狩りが行われる映画。
迫害の中で、懸命に生きようとするユダヤ人達と、彼らを助けようと奔走するフランス人(パリ市民)たちの物語。
史実を基にしていて、どこまでが実話に沿っているのかわからないが、全体として丁寧に作られており、感動を呼び起こす作品。
・「森崎書店の日々」
日本・109分・11月21日・e~ra
→実は自分が体だけの女だったと知り、ショックを受けて会社を辞めた女性が、叔父の書店で働く物語。
一人の女性の再生をほっこりゆったり描く。静かで抑制の効いた、佳作。
主人公役の菊池亜希子がナチュラルな感じで良い。
・「無常素描」
日本・75分・11月24日・e~ra
→3.11から数ヶ月経った東北の状態を映したドキュメンタリー作品。
映像や演出に飾りはほとんど無く、悪く言えば素っ気ない。良く言えばありのままを映している。何というか、記録映像の域を出ない気がする。それはそれで価値はあるのだろうが、映画にするほどだろうか。
・「大鹿村騒動記」
日本・93分・12月8日・e~ra
→大鹿村で起こるゴタゴタ。
原田芳雄の遺作。役者は皆達者な人達ばかりでそこだけでも楽しめる。監督は阪本順治で、自分はあまり合わない人だったが、今作は楽しめた。ユーモアがあり、テンポも良く、良作。佳作。
原田さんの演技良かった。合掌。
・「人生、ここにあり!」
イタリア・111分・12月8日・e~ra
→精神病患者達を仕事で成功させようとする男の物語。
実際にあった話を基にしているとか。主人公がどういう人物で、どういう経緯を経ていたのか、その描写が冒頭に少なく、彼の行動の真意を汲み取りにくかったのがもったいなかったが、全体的には筋が通っていてまとまりもあり、編集その他含めて良かった。
個人的には、とある精神病患者のエピソードを自分と重ね合わせてしまい、ちょっとショックを受けた。
・「50/50(フィフティ・フィフティ)」
アメリカ・98分・12月14日・TOHO
→癌で生きるか死ぬかの男性が恋や人生に悩む映画。
生死にまつわる映画なのに、それほど深刻さを感じさせないのは、陽気な友人のおかげ。なので、物凄く泣けるかというとそれほどでもないが、グッと来る場面もある。恋も友情もあり、家族の愛もある。テンポも良いし、良作と言っていい。
アナ・ケンドリックが可愛い。
・「タンタンの冒険(字幕・2D)」
アメリカ・ベルギー・107分・12月14日・TOHO
→有名な漫画をスピルバーグが監督し、ピータージャクソンなどとタッグを組んで作り上げたアニメ作品。
アニメの質はかなりの高水準。話はマクガフィンを巡って追いかけたり追いかけられたりを軸にしていて、物語はあって無いようなもの。
アクションと映像美を楽しむ映画。
・「ヒマラヤ、運命の山」
ドイツ・104分・12月19日・e~ra
→ヒマラヤ山脈ナンガ・パルバート、未踏のルパール壁に挑んだ登山家達の話。
最初、登山後の会見シーンから始まり、そこでサスペンス臭を漂わせておきながら、実際は大してサスペンスなんか無かった。ただ、登山に関するシーンは見応えがあったし、全体の構成も手慣れていて破綻はない。面白く見られた。
・「極道めし」
日本・108分・12月19日・e~ra
→刑務所の同じ部屋に入った囚人達が、食にまつわる思い出を語る。
とある囚人のエピソードを除いて、基本的にはよくある話を寄せ集めた普通の映画という印象。一つのエピソードが個人的にかなり応えたので、その部分が際立って印象に残った。あと、木村文乃がこの上なく可愛い。
・「東京オアシス」
日本・83分・12月25日・e~ra
→とある女性と、彼女に関わる人達のお話。
タイトルからして、スローライフ礼賛、ナチュラル系、癒し系の作品かと思って見に行ったら、そう言うわけではなかった。何というか、確かに落ち着いた雰囲気の作品で、どちらかというと女性向けだけど、もっと泥臭い感じ。癒し系の作品って、もっとある種の理想像みたいな描き方をする。住まいとか、生活とか。
でもこの作品は、もっと「現実」って感じがする。で、なんか、無骨と言うか。
原田知世の雰囲気の良さがいいね。
8月1日の日記。宮崎吾朗の二作目。
2011年8月1日 映画 スタジオジブリの新作「コクリコ坂から」を見てきた。宮崎吾朗の監督二作目。
前作「ゲド戦記」は興行収入こそ良かったが、その内容については否定的な見方も多かった。なので本作の出来や興行次第では、宮崎吾朗監督の三作目はないと思って見てきた。
結論から言うと、面白かった。
前作は堅実だったが、硬さがあって面白味に欠けていた。感情を四方八方に引っ張られるような柔らかさが(原作がどういう性質かわからないけど)。
今作に関して言えば、キャラクターも街並みも風景も活き活きとしていた。音楽やテンポも良かったし、演出も良かったと思う。ジブリらしい、みんなが見て楽しめる映画になっていると思う。居心地の良い雰囲気を醸した世界だった。
正直見る前は、地味で退屈そうな映画という印象だった。事前のテレビCMや映画の予告編からの印象でもある。個人的にはもったいないと思う。この映画の雰囲気の良さが伝わっていないように感じる。
個人的には是非多くの人に見てもらいたい映画だ。
あとは脚本を自分で書くようになって、どうなるかだなあ。今作はどの程度脚本をいじったんだろう。
前作「ゲド戦記」は興行収入こそ良かったが、その内容については否定的な見方も多かった。なので本作の出来や興行次第では、宮崎吾朗監督の三作目はないと思って見てきた。
結論から言うと、面白かった。
前作は堅実だったが、硬さがあって面白味に欠けていた。感情を四方八方に引っ張られるような柔らかさが(原作がどういう性質かわからないけど)。
今作に関して言えば、キャラクターも街並みも風景も活き活きとしていた。音楽やテンポも良かったし、演出も良かったと思う。ジブリらしい、みんなが見て楽しめる映画になっていると思う。居心地の良い雰囲気を醸した世界だった。
正直見る前は、地味で退屈そうな映画という印象だった。事前のテレビCMや映画の予告編からの印象でもある。個人的にはもったいないと思う。この映画の雰囲気の良さが伝わっていないように感じる。
個人的には是非多くの人に見てもらいたい映画だ。
あとは脚本を自分で書くようになって、どうなるかだなあ。今作はどの程度脚本をいじったんだろう。
11年7月18日の日記。上半期映画の感想。
2011年7月18日 映画 2011年1月1日以降から同年7月15日までに観た映画の簡易感想。
括弧内のアルファベットは映画館。e^raは「シネマイ~ラ」のこと。tohoは「TOHOシネマズ」のこと。tvはテレビ放映。数字は鑑賞日と上映時間。
TV鑑賞時は基本的に「~ながら見」であり、見逃し等もあるので参考記録となる。
ネタバレありなので注意。
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・「サウンド・オブ・ミュージック」1/4(TV)(174分)(アメリカ)
→修道女がやもめ一家の家庭教師となり絆を形成する話。2度目か3度目の鑑賞。史実に忠実かどうかはさておき、映画としてはハートフルでスリルも味わえて音楽的カタルシスも味わえる名作。
・「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」1/5(e^ra)(95分)(日本)
→とある物書きが裁判ものの映画に携わるため裁判所に通い詰めるうち、色々な人と知り合って楽しくなったり真剣になったりする話。ポップな裁判所事典の様な作りで楽しんで見られるが、ドラマはない。
・「百万円と苦虫女」1/6(TV)(121分)(日本)
→自分の居場所を見つけるために金を貯めては住む場所を変える女性の話。うろ覚え。結局、何が言いたかったんだろうか? 逃げる者に幸はない、と言うことか? 世の中理不尽だ、と言うことか?
・「書道ガールズ 青い青い空~私にだってある 伝えたい気持ち~」1/7(e^ra)(128分)(日本)
→静岡県浜松市を舞台にしたご当地映画。意外にもキャラクターは立っているしストーリーもユーモアを交えて程良くまとまっていてポップ。スウィングガールズなどのように展開としてはありがちな青春ものだが、定石に則っているのでそれなりに楽しめる。飽くまでそれなりに。エンタメだけを追求しない分脚本にもたつきがあるし、主人公がやや希薄なのが残念。ただその分考えさせる要素もある。
・「容疑者Xの献身」1/8(TV)(128分)(日本)
→人気テレビシリーズ劇場版。孤独な犯人にスポットを当て、かつて彼と親交のあった主人公が追い詰めていく展開。監督は「アマルフィ」や「県庁の星」の西谷弘。丁寧だし情緒的だし演出は個人的には好き。話は感傷的で、自分は好き。
・「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡~」1/12(e^ra)(87分)(フランス)
→アフリカのキンシャサで貧しく不自由な生活を送りながらも、魅力的な音楽を披露するバンド「ベンダ・ビリリ」の苦労と成功を追ったドキュメンタリー。貧しくも何らかの形で音楽と接触し、演奏する逞しさ。そして色々な音楽がミックスされたような創造性。人間性の重要さが見て取れる。
・「瞳の奥の秘密」1/13(e^ra)(129分)(スペイン・アルゼンチン)
→かつて連邦刑事裁判所に所属した男性が在職時に遭遇した事件を小説にしようとする。そして当時の同僚だった女性と再会し、事件が回想される。その中で、とある真実が見えてきて……。アカデミー賞外国語映画賞を受賞したようだが、個人的にはいまいちだった。話の構成は過去と現在が相互に展開される形で、それがこの映画の仕掛けであり特徴や味にもなっているのだけど、個人的には時系列にストレートにした方が、とも思えた。ただそれなりには楽しめた。隔てられた愛。映画のラストに全てがある。
・「ペルシャ猫を誰も知らない」1/19(e^ra)(106分)(イラン)
→電力不足、西洋文化の規制、そんなイランで西洋音楽の魅力に惹かれた若者達が細々と演奏を続けていた。映画はドラマ仕立てだが、出演者は実在の音楽家達。話としては規制に対する抵抗や批判なのだが、そんなことよりも現在のイランにおけるアングラ音楽を広く紹介する作りになっていて、そちらがメイン。
ジャズ、ブルース、ヒップホップ、ニューウェーブ、ヘヴィメタ、パンク、ロック、伝統的民俗音楽、フォーク等。ドラマと音楽とどっちつかずで映画自体は中途半端な印象。音楽のクオリティでは驚くようなものもあった。
・「マザーウォーター」1/28(e^ra)(105分)(日本)
→近年、荻上直子監督が開拓している、女性向けのナチュラル系、ゆるゆる、スローライフ礼賛の流れにある作品。監督は荻上監督と一緒に仕事をした松本佳奈。
ストーリーはあってないようなもの。ほのぼのした空気の中でリラックスし、人生を肯定するような映画。
・「ソーシャル・ネットワーク」2/1(toho)(121分)(アメリカ)
→フェイスブック創業者の事業拡大と人間関係のもつれを描いたドラマ作品。展開はテンポ良く、音楽や視覚的刺激も効いていて楽しめる。
・「エル・トポ デジタルリマスター版」2/3(e^ra)(123分)(アメリカ・メキシコ)
→妻を亡くした男と少年が旅をする話。事前にカルト映画と聞いていたが確かにカルトだった。輪廻とか因果とかドラクエとかファンタジーとか、そう言うのが好きな人はプラス査定になるかもしれない。
・「パリ20区、僕たちのクラス」2/11(e^ra)(128分)(フランス)
→フランスのとある学校で外国人ばかりのクラスを教える教師達の苦労と葛藤。ドキュメンタリーっぽいがフィクション。ドラマティックな展開はないため、退屈に感じる人は多そう。ただし、問題児への対応や外国人の社会適応など、考えさせられる内容ではある。
・「パラノーマル・アクティビティ2」2/14(toho)(91分)(アメリカ)
→好評を博したホラー作品の続編。今作は話というかキャラクターの性格的な問題などで展開や動機付けが遅れてしまっている。怪奇現象も前作とさほど変わらず、話としても怖さとしても消化不良。次作も決まっているらしく、1作目の出来事を今後に繋げていくために動機や伏線の修正が図られている。次作へ向けてストーリーを整理するような位置づけの作品になっている。
・「太平洋の奇跡~フォックスと呼ばれた男~」2/14(toho)(128分)(日本)
→サイパンにおいて日本軍の米軍に対する抵抗を描いた作品。日本が戦争映画を撮るとどうしてこうも詰まらなくなるのだろうか。アメリカ側と日本側でそれぞれの国の撮影スタッフが別々に取り分けているのだが、脚本も含めて、その出来の違いが目立ってしまっていた。
・「ウォール・ストリート」2/14(toho)(133分)(アメリカ)
→かつての映画「ウォール街」の久方ぶりの続編。主人公の婚約者の父は昔ウォール街で鳴らした男だった。彼が釈放されることで、引き起こされるゴタゴタ。前作を見ていないので何とも言えないが、楽しめなかった。サブプライムローン問題の再現であり、ドラマや駆け引きには乏しく映った。
・「メッセージ~そして、愛が残る~」2/18(e^ra)(107分)(ドイツ・フランス・カナダ)
→人の死が見える男が主人公に接触する。死を前にして、心や考えが変化していく中で見つけたものとは。ファンタジックな要素はあるが、基本的には人への想いや死生観に関するドラマ。
・「ヒアアフター」3/1(toho)(129分)(アメリカ)
→津波に呑まれて生死を彷徨った女性、霊能力を持った男性、双子の兄(?)を亡くした少年。数奇な巡り合わせで繋がる、喪失を抱えた人間の物語。クリント・イーストウッド監督の手慣れた作りで見やすい。冒頭の津波のシーン以外はスペクタクルに欠けるが、ドラマはスピリチュアルで静かで優しい。この映画からなにかを得られるかどうかはわからないが、精神的に洗われるような作品。
・「約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語~」3/4(e^ra)(126分)(ニュージーランド・フランス)
→野心を持った若い小作農(?)が天使と接触することで起きるドラマ。人生とはなにか、と言うことを、ワインを通して描く。
・「義兄弟~SECRET REUNION~」3/10(e^ra)(116分)(韓国)
→北朝鮮のスパイと韓国の国家情報員がひょんな事から一緒に生活をすることに。探り合いと絆の形成のドラマ。事前に面白い映画と聞いていたので期待していたが、自分としてはいまいち。冒頭とラストの銃撃を含めたアクションシーンは見応えがあるが、中盤の探り合いの部分が消化不良。これは脚本の問題だろうか。もうすこしスリルやサスペンス、もしくは感情移入しやすい作りに出来そうなのだが。
・「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」3/10(e^ra)(118分)(日本)
→アルコール依存症の男の堕落と再生のドラマ。漫画家・西原理恵子の元夫である鴨志田穣の視点から描いた作品。作品の色調やBGM、テンポなど、演出は淡々としていて劇的なものはないが、テーマや構造がスッキリしていて見やすい。なんとなく女子よりも男子向きの内容かもしれない。佳作。
・「英国王のスピーチ」3/14(toho)(111分)(イギリス・オーストラリア)
→吃音症の英国王の克服記。吃音の克服というわかりやすいテーマを軸にして観客を引き込む。そしてそれに伴う人間関係やトラウマなどを通し、人間の成長を描く。見やすく、勇気の出る映画。
・「人生万歳!」3/17(e^ra)(91分)(アメリカ)
→ウディ・アレン監督のひねくれたドラマ。手慣れた作りでまとまっていてまとまりすぎていて逆にどうなの?と言う感じの映画。要するに人生何でもあり、と言うことをひねくれた男の人生で描く。ユーモアと理屈と価値観の裏表。ユニクロと日本映画に好意的な反面、実際の社会的な位置づけも感じさせる。
・「プラダを着た悪魔」3/20(tv)(110分)(アメリカ)
→ファッションに精通していない女性が有名ファッション雑誌の編集長にこき使われて頑張っちゃう話。カラフルでポップでテンポも良い、話の流れもしっかりしているし、普通に良い映画。
・「その街のこども劇場版」3/30(e^ra)(83分)(日本)
→阪神大震災から15年後。当時被災した男女が出会う、プチロードムービー。「追悼のつどい」の会場まで向かう中での回顧と今。佐藤江梨子の関西弁に違和感を覚えるが、それ以外は森山未來との掛け合いなど、とても面白い演技で楽しく見られた。雰囲気を含め、良い映画。
・「エリックを探して」4/15(e^ra)(117分)(イギリス・フランス・イタリア・ベルギー・スペイン)
→子供達との関係や、彼らの持ち込む問題に頭を悩ます男が、ドラッグと友達と大好きなサッカー選手エリック・カントナに励まされ、事態を打開していくコメディドラマ。普通の映画だと思うが、人生へのヒントも含まれている。それなりに楽しめるのでは。男向けかなあ。
・「白いリボン」4/26(e^ra)(145分)(ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア)
→第一次世界大戦前夜のとあるドイツの村で次々と起こる事件。その裏にある、人々の心の闇。モノクロ、と言うかモノクロに近いセピアというか、そう言う映像。BGMも特になく、淡々と事実を見せていく。シーンを断片的に繋いで、核心は決して見せない。しかし、ヒントはある。見終わった後はもれなくモヤモヤが残るだろう。地味で意味不明で詰まらないと思うか、ミステリにワクワクするか。好みの別れそうな映画。
・「モンガに散る」4/29(e^ra)(141分)(台湾)
→父のいない物静かな男子高生が不良に目をつけられる。しかし、別の不良グループに助けられ、極道の世界に足を踏み入れる。楽しかった日々、変わっていく状況。友情と思惑が交叉するドラマ。映像も煌びやかでテンポ良く、ユーモア、アクション、ドラマが絡み合って素晴らしい出来。
・「ヘヴンズストーリー」5/13(e^ra)(278分)(日本)
→家族を殺された少女、妻を殺された男、男の妻を殺した少年、孤独な女性、殺し屋と息子。少年犯罪や復讐、愛と赦しをテーマにして、約4時間半に渡って描かれるドラマ。幻想的な映像と惹きつける演出など、全体的には割と面白く、時間ほど長さを感じないが、それでも疲れる。殺し屋の話は面白かったが、丸々カットしても問題はなさそうな気がする。それは極端な話だが、もっと脚本をシェイプアップできなかっただろうか?
・「フード・インク」5/17(e^ra)(94分)(アメリカ)
→アメリカの食糧事情、特にファーストフードに使用される肉などがどのように生産されているのかを、「工場フードシステム」をキーワードに映し出すドキュメンタリー映画。虐げられる農家、物のように生産される不健康な命、そしてそれを食すことによって悪影響を受ける人間。この映画に描かれていることがそのまま日本に当てはまるかはわからないがぞっとする部分もある。アメリカらしく、ドキュメントと言ってもエンタメ性を備えていて見やすい。
・「ありあまるごちそう」5/17(e^ra)(96分)(オーストリア)
→食の問題について提起するドキュメンタリー映画。「フード・インク」に比べるとよりグローバルな視点で映しているが、作りが淡々としているため、見やすさでは劣る。それだけ作り手の誘導が少ないとも言える。
・「ヤコブへの手紙」5/26(e^ra)(75分)(フィンランド)
→殺人を犯した中年女性が恩赦(?)を受け、老牧師の家で彼の世話をすることになる。孤独と癒しのドラマ。シンプルで静かで登場人物も少ないが、伝えるべき事を絞り、情緒的な演出で見せている。人生とはなにか、ということ。良い映画。
・「地球が静止する日」5/27(tv)(106分)(アメリカ)
→あまり覚えていないが、詰まらなかった、と言うことだけはよく覚えている。スペクタクルは少なく、その割にドラマは幼稚。子供向けに作られたのならそれなりの価値はあるかも。
・「プルーフ・オブ・ライフ」5/28(tv)(135分)(アメリカ)
→某国で人質になったアメリカ国民を救出するために主人公達が頑張っちゃう映画。それなりにスリルもサスペンスもアクションもあって楽しめた記憶がある。
・「イップ・マン 葉問」5/30(e^ra)(109分)(香港)
→ブルース・リーも師事したという男、イップマンの伝記的映画。人間としての彼の素晴らしさを描きつつ、外国から抑圧された中国の鬱憤を晴らし、自尊心を盛り上げる要素も含む。日本で力道山が歓声を浴びたようなものか。助演のサモハンキンポーを含む役者陣のアクション(カンフー)が素晴らしい。ドラマとしてのカタルシスもあり、良い映画。
・「ブラック・スワン」6/1(toho)(108分)(アメリカ)
→白鳥の湖の主演を目指す主人公の女性。内なる不安を抱く彼女に襲いかかる、幻覚とも現実とも取れない出来事の数々。そして凄絶なクライマックス。この映画はホラーとかスリラーとかそう言うジャンルのドラマ。少女が女性に脱皮しようとする際に伴うエロティックな出来事も含め、見る前には心の準備が必要。ハートフルな映画では決してない。しかし、全てが面白い。
・「ウッドストックがやってくる!」6/3(e^ra)(121分)(アメリカ)
→1960~70年代頃のアメリカ。田舎町にあるつぶれかけた実家のモーテルと周辺の自営業者達を救うべく若い主人公が奔走する。ある時、近くの街で予定されていた音楽フェスティバルが中止になったと聞き、街の活性化のために誘致をしようとするが、それがヒッピーの祭典と知った保守的な中老年達は反対する……。
誘致から開催に到るまでの主人公の頑張りは面白く見られたが、ドラマとしての起伏は少なく、平坦な印象。テンポが一定なのだろうか? 事実に基づいたドラマというのはどの程度脚色すればいいのか難しいところでもある。 でも全体としては華やかだし、それなりに楽しく見られる。主人公の自己発見の映画でもある。
・「再生の朝に-ある裁判官の選択-」6/8(e^ra)(98分)(中国)
→娘を盗難車による交通事故でなくした裁判官が、別件の自動車盗難事件の犯人を死刑にして、あれこれ苦悩する話。権力の座に就く者は感情的にならず、汚職に手を染めず、法を遵守して冷静に仕事をするように、というメッセージを含んだ中国らしい映画。
・「180°SOUTH ワンエイティサウス」6/8(e^ra)(87分)(アメリカ)
→登山家が世界を巡りながら、自然について語る自然礼賛ドキュメンタリー。この映画の主張もわからないでもないし、作品の視点を決めて作る必要性もわかるが、それでも思想が偏っている。彼らが自由に旅をして楽しんでいられるのも、文明化の恩恵があってこそだろう。ただまあ、こういう偏った見方も、世の価値観のバランスを保つためには必要なのかもしれない。
・「台北の朝、僕は恋をする」6/9(e^ra)(85分)(台湾、アメリカ)
→恋人がフランスへと発ち、彼女のことが忘れられない男が後を追おうとするが、彼を慕う女性や友人と一緒にドタバタに巻き込まれるラブコメディ。役者の衣装や街並みなど映像はカラフルで小綺麗。ストーリーはシンプルだがテンポは良く、ハートフルな笑いが散りばめられていて心地良い。ポップでスタイリッシュ。長らく不振だったという台湾映画も、「モンガに散る」といい、「海角七号」以来変わってきているのかもしれない。たまに観る台湾の映画がだいたい日本に対して好意的で、本当に嬉しい。
・「さや侍」6/14(toho)(103分)(日本)
→脱藩した浪人がとある藩に捕らえられ、「三十日の業」と称する刑を下される。笑顔をなくした若君を笑わせるため、一日一芸を披露し、笑わせられなければ切腹となる、と言う筋書き。個人的には久々の金返せ級映画。金返せっ! 全てが中途半端。コメディベースなのに笑えた箇所がほとんどなく、テレビでやっていることの劣化版という感じ。ドラマとしては主人公の行動原理も映画としてのメッセージも手前勝手で腹立たしい。前二作も映画のラストで世界観をぶち壊すことをしていたがそれはコメディベースの映画をコメディでぶち壊していて自分は笑えた。ただ今作はコメディベースの映画を真逆の形でぶち壊していて、それを達するためのちゃんとした段取りもなく、唖然とした。松本人志という人は、奇抜な設定を軸にした作家性の強い作品はありでも、ドラマは書けない人なのかもしれない。
・「イーグル・アイ」6/18(tv)(118分)(アメリカ)
→謎の女性に指示され、大きな事件に巻き込まれていく男女を描くサスペンスアクション。最初から終盤までわけがわからないままサスペンスで引っ張り、謎が解けて映画が終わるときれいさっぱり忘れる映画。まあ、2時間楽しめるので。
・「婚前特急」6/22(e^ra)(107分)(日本)
→5股をしている女性が友人の結婚を機に男どもを査定して誰と結婚するか、と考える話。ポップでユーモアがありテンポ良く、万人に向く映画だと思うが、個人的には脚本に疑問。動機付けや伏線が不十分でなかろうか? 査定に移った段階で初っ端から一人の男に執着し始めて戸惑った。こういう展開なの? と。演出などに助けられた形だろうか。演者の演技も含めてまずまず楽しく見られた。
・「アメイジング・グレイス」6/26(e^ra)(118分)(イギリス)
→18~19世紀のイギリス。黒人奴隷の解放を目指す議員ウィリアム・ウィルバーフォースの半生を描く。話の途中までは回想形式で描かれ、それが効果的かはともかく、全体としてはカタルシスもあるし、意義のある映画。政治の理想と難しさが見られる。友情と、愛の支え。
・「ブンミおじさんの森」6/28(e^ra)(114分)(イギリス・タイ・ドイツ・フランス・スペイン)
→体調を悪くしたブンミの元に親戚がやってくる。食事をしていると、死別した妻、行方不明になった息子もやってきて……。ティム・バートンが絶賛した映画。ストーリーはシンプルで、ほとんどない。要するに輪廻とか転生とか命の形とかそういったことを描く。風景や何気ない会話をゆったり長回しで見せ、BGMもこれまたほとんどない。役者のセリフも、そういう言語の特性なのか役者の問題なのか、メリハリがなく退屈。ただファンタジックな要素や自然描写は面白く見られた。どう考えても万人向けとは思えない。上記のような特性を肯定的に捉えられるかどうか。
・「スカイライン-征服-」7/1(toho)(94分)(アメリカ)
→友人のパーティに参加している主人公カップルが、そこで宇宙人の侵略に遭う話。ヒーローでも何でもない一般市民の視点から描かれ、ただひたすら逃げまどう姿を追う。宇宙人との対話もなく、ただひたすら彼らの侵略と軍の抵抗を大がかりなVFXで見せる。可もなく不可もなくそれなりの映画。
・「冷たい熱帯魚」7/7(e^ra)(146分)(日本)
→90年代に実際に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件を基に脚色されたフィクション。事件自体も凄絶だしキャラクターもぶっ飛んでいるし、全編を通してテンションが維持されていて、最後まで一気に見られる。監督がピンク映画出身で、AV女優も起用されているし、エロティックでサディスティックでグロテスクで猟奇的。暴風雨みたいな映画。ただ脚本がちょっと散らかっているのが個人的に残念。方向性が。悪い映画ではない。
・「ショパン~愛と哀しみの旋律~」7/11(e^ra)(126分)(ポーランド)
→ショパンがポーランドからフランスに渡り、死ぬまでの人生を描いた作品。未熟な人間達の愛憎劇。愛をテーマにドラマ部分を軸にして描いているため、その他の部分については説明が省かれていたり大雑把だったりする。やや感情の積み上げにも欠けるし、映画としては平凡。
・「マイティ・ソー(3D)」7/14(toho)(114分)(アメリカ)
→北欧神話をベースにしたSFファンタジー? アースガルズの王になるにはやんちゃすぎたソーが地球に追放され、そこで色々と学んでいく話。話としては適度にまとまっているし、アクションやスペクタクルもあるが、キャラクターの動機付けに欠けていたりして、まあまあの域を出ない。初3D体験だったが、これもいまいち。目を引くところもあったが、飛び出す絵本のようなちゃちさや違和感を感じてしまったりした。冒頭のトランスフォーマーの予告編のほうが凄かったよ?
・「アイ・アム・ナンバー4」7/14(toho)(110分)(アメリカ)
→異星人に侵略され、生き残ったエイリアンが地球に逃げてきたが次々に殺され、今度は主人公の番になる。思春期に差し掛かった彼の青春と戦いの話。異星人に襲われるとか、特殊能力がどうとか、そういうことと平行して物語の中盤まで青春に勤しんでいる。展開が遅いけどこんな事してて尺は大丈夫? と思ったが、この映画はそこを割り切っていた。頑張ればあと2,3本続編作れそう。それなりに面白かった。
・「キミとボク」7/15(e^ra)(45分)(日本)
→漫画家志望の男性と、彼に拾われた猫の物語。映画の序盤では猫の愛くるしさに客席から笑い声が漏れ、後半へ向かうに従い、すすり泣く声が聞こえてくる。そしてスタッフロールが流れ、場内が明るくなっても、自分が立ち上がるまでしばらく誰一人立ち上がらなかった、そんな映画。自分は泣かなかったが、主人公男性の苦悩がもっと描かれていたら号泣間違い無しだった。危なかった。坂本真綾のエンディング曲も良かった。
・「シリアスマン」7/15(e^ra)(106分)(アメリカ)
→主人公に次々と襲いかかる不幸。時系列に断片的なエピソードを繋いでいるが、それぞれは明確な関連性を持たない。しかし、どうも関連があるような臭いは漂っている。「不確定性原理」の話が出て来るが、要するにこの映画はこういう事だ。「実際の所、わからない」。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。関わったかもしれないし、関わっていないかもしれない。悪霊かもしれないし、人間なのかもしれない。主人公はユダヤ系でユダヤ系のコミュニティに属しているし、文化やキリスト教(ユダヤ教?)なども出て来る。その方面の知識があれば、作品を別の切り口から見ることが出来るかもしれない。
括弧内のアルファベットは映画館。e^raは「シネマイ~ラ」のこと。tohoは「TOHOシネマズ」のこと。tvはテレビ放映。数字は鑑賞日と上映時間。
TV鑑賞時は基本的に「~ながら見」であり、見逃し等もあるので参考記録となる。
ネタバレありなので注意。
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・「サウンド・オブ・ミュージック」1/4(TV)(174分)(アメリカ)
→修道女がやもめ一家の家庭教師となり絆を形成する話。2度目か3度目の鑑賞。史実に忠実かどうかはさておき、映画としてはハートフルでスリルも味わえて音楽的カタルシスも味わえる名作。
・「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」1/5(e^ra)(95分)(日本)
→とある物書きが裁判ものの映画に携わるため裁判所に通い詰めるうち、色々な人と知り合って楽しくなったり真剣になったりする話。ポップな裁判所事典の様な作りで楽しんで見られるが、ドラマはない。
・「百万円と苦虫女」1/6(TV)(121分)(日本)
→自分の居場所を見つけるために金を貯めては住む場所を変える女性の話。うろ覚え。結局、何が言いたかったんだろうか? 逃げる者に幸はない、と言うことか? 世の中理不尽だ、と言うことか?
・「書道ガールズ 青い青い空~私にだってある 伝えたい気持ち~」1/7(e^ra)(128分)(日本)
→静岡県浜松市を舞台にしたご当地映画。意外にもキャラクターは立っているしストーリーもユーモアを交えて程良くまとまっていてポップ。スウィングガールズなどのように展開としてはありがちな青春ものだが、定石に則っているのでそれなりに楽しめる。飽くまでそれなりに。エンタメだけを追求しない分脚本にもたつきがあるし、主人公がやや希薄なのが残念。ただその分考えさせる要素もある。
・「容疑者Xの献身」1/8(TV)(128分)(日本)
→人気テレビシリーズ劇場版。孤独な犯人にスポットを当て、かつて彼と親交のあった主人公が追い詰めていく展開。監督は「アマルフィ」や「県庁の星」の西谷弘。丁寧だし情緒的だし演出は個人的には好き。話は感傷的で、自分は好き。
・「ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡~」1/12(e^ra)(87分)(フランス)
→アフリカのキンシャサで貧しく不自由な生活を送りながらも、魅力的な音楽を披露するバンド「ベンダ・ビリリ」の苦労と成功を追ったドキュメンタリー。貧しくも何らかの形で音楽と接触し、演奏する逞しさ。そして色々な音楽がミックスされたような創造性。人間性の重要さが見て取れる。
・「瞳の奥の秘密」1/13(e^ra)(129分)(スペイン・アルゼンチン)
→かつて連邦刑事裁判所に所属した男性が在職時に遭遇した事件を小説にしようとする。そして当時の同僚だった女性と再会し、事件が回想される。その中で、とある真実が見えてきて……。アカデミー賞外国語映画賞を受賞したようだが、個人的にはいまいちだった。話の構成は過去と現在が相互に展開される形で、それがこの映画の仕掛けであり特徴や味にもなっているのだけど、個人的には時系列にストレートにした方が、とも思えた。ただそれなりには楽しめた。隔てられた愛。映画のラストに全てがある。
・「ペルシャ猫を誰も知らない」1/19(e^ra)(106分)(イラン)
→電力不足、西洋文化の規制、そんなイランで西洋音楽の魅力に惹かれた若者達が細々と演奏を続けていた。映画はドラマ仕立てだが、出演者は実在の音楽家達。話としては規制に対する抵抗や批判なのだが、そんなことよりも現在のイランにおけるアングラ音楽を広く紹介する作りになっていて、そちらがメイン。
ジャズ、ブルース、ヒップホップ、ニューウェーブ、ヘヴィメタ、パンク、ロック、伝統的民俗音楽、フォーク等。ドラマと音楽とどっちつかずで映画自体は中途半端な印象。音楽のクオリティでは驚くようなものもあった。
・「マザーウォーター」1/28(e^ra)(105分)(日本)
→近年、荻上直子監督が開拓している、女性向けのナチュラル系、ゆるゆる、スローライフ礼賛の流れにある作品。監督は荻上監督と一緒に仕事をした松本佳奈。
ストーリーはあってないようなもの。ほのぼのした空気の中でリラックスし、人生を肯定するような映画。
・「ソーシャル・ネットワーク」2/1(toho)(121分)(アメリカ)
→フェイスブック創業者の事業拡大と人間関係のもつれを描いたドラマ作品。展開はテンポ良く、音楽や視覚的刺激も効いていて楽しめる。
・「エル・トポ デジタルリマスター版」2/3(e^ra)(123分)(アメリカ・メキシコ)
→妻を亡くした男と少年が旅をする話。事前にカルト映画と聞いていたが確かにカルトだった。輪廻とか因果とかドラクエとかファンタジーとか、そう言うのが好きな人はプラス査定になるかもしれない。
・「パリ20区、僕たちのクラス」2/11(e^ra)(128分)(フランス)
→フランスのとある学校で外国人ばかりのクラスを教える教師達の苦労と葛藤。ドキュメンタリーっぽいがフィクション。ドラマティックな展開はないため、退屈に感じる人は多そう。ただし、問題児への対応や外国人の社会適応など、考えさせられる内容ではある。
・「パラノーマル・アクティビティ2」2/14(toho)(91分)(アメリカ)
→好評を博したホラー作品の続編。今作は話というかキャラクターの性格的な問題などで展開や動機付けが遅れてしまっている。怪奇現象も前作とさほど変わらず、話としても怖さとしても消化不良。次作も決まっているらしく、1作目の出来事を今後に繋げていくために動機や伏線の修正が図られている。次作へ向けてストーリーを整理するような位置づけの作品になっている。
・「太平洋の奇跡~フォックスと呼ばれた男~」2/14(toho)(128分)(日本)
→サイパンにおいて日本軍の米軍に対する抵抗を描いた作品。日本が戦争映画を撮るとどうしてこうも詰まらなくなるのだろうか。アメリカ側と日本側でそれぞれの国の撮影スタッフが別々に取り分けているのだが、脚本も含めて、その出来の違いが目立ってしまっていた。
・「ウォール・ストリート」2/14(toho)(133分)(アメリカ)
→かつての映画「ウォール街」の久方ぶりの続編。主人公の婚約者の父は昔ウォール街で鳴らした男だった。彼が釈放されることで、引き起こされるゴタゴタ。前作を見ていないので何とも言えないが、楽しめなかった。サブプライムローン問題の再現であり、ドラマや駆け引きには乏しく映った。
・「メッセージ~そして、愛が残る~」2/18(e^ra)(107分)(ドイツ・フランス・カナダ)
→人の死が見える男が主人公に接触する。死を前にして、心や考えが変化していく中で見つけたものとは。ファンタジックな要素はあるが、基本的には人への想いや死生観に関するドラマ。
・「ヒアアフター」3/1(toho)(129分)(アメリカ)
→津波に呑まれて生死を彷徨った女性、霊能力を持った男性、双子の兄(?)を亡くした少年。数奇な巡り合わせで繋がる、喪失を抱えた人間の物語。クリント・イーストウッド監督の手慣れた作りで見やすい。冒頭の津波のシーン以外はスペクタクルに欠けるが、ドラマはスピリチュアルで静かで優しい。この映画からなにかを得られるかどうかはわからないが、精神的に洗われるような作品。
・「約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語~」3/4(e^ra)(126分)(ニュージーランド・フランス)
→野心を持った若い小作農(?)が天使と接触することで起きるドラマ。人生とはなにか、と言うことを、ワインを通して描く。
・「義兄弟~SECRET REUNION~」3/10(e^ra)(116分)(韓国)
→北朝鮮のスパイと韓国の国家情報員がひょんな事から一緒に生活をすることに。探り合いと絆の形成のドラマ。事前に面白い映画と聞いていたので期待していたが、自分としてはいまいち。冒頭とラストの銃撃を含めたアクションシーンは見応えがあるが、中盤の探り合いの部分が消化不良。これは脚本の問題だろうか。もうすこしスリルやサスペンス、もしくは感情移入しやすい作りに出来そうなのだが。
・「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」3/10(e^ra)(118分)(日本)
→アルコール依存症の男の堕落と再生のドラマ。漫画家・西原理恵子の元夫である鴨志田穣の視点から描いた作品。作品の色調やBGM、テンポなど、演出は淡々としていて劇的なものはないが、テーマや構造がスッキリしていて見やすい。なんとなく女子よりも男子向きの内容かもしれない。佳作。
・「英国王のスピーチ」3/14(toho)(111分)(イギリス・オーストラリア)
→吃音症の英国王の克服記。吃音の克服というわかりやすいテーマを軸にして観客を引き込む。そしてそれに伴う人間関係やトラウマなどを通し、人間の成長を描く。見やすく、勇気の出る映画。
・「人生万歳!」3/17(e^ra)(91分)(アメリカ)
→ウディ・アレン監督のひねくれたドラマ。手慣れた作りでまとまっていてまとまりすぎていて逆にどうなの?と言う感じの映画。要するに人生何でもあり、と言うことをひねくれた男の人生で描く。ユーモアと理屈と価値観の裏表。ユニクロと日本映画に好意的な反面、実際の社会的な位置づけも感じさせる。
・「プラダを着た悪魔」3/20(tv)(110分)(アメリカ)
→ファッションに精通していない女性が有名ファッション雑誌の編集長にこき使われて頑張っちゃう話。カラフルでポップでテンポも良い、話の流れもしっかりしているし、普通に良い映画。
・「その街のこども劇場版」3/30(e^ra)(83分)(日本)
→阪神大震災から15年後。当時被災した男女が出会う、プチロードムービー。「追悼のつどい」の会場まで向かう中での回顧と今。佐藤江梨子の関西弁に違和感を覚えるが、それ以外は森山未來との掛け合いなど、とても面白い演技で楽しく見られた。雰囲気を含め、良い映画。
・「エリックを探して」4/15(e^ra)(117分)(イギリス・フランス・イタリア・ベルギー・スペイン)
→子供達との関係や、彼らの持ち込む問題に頭を悩ます男が、ドラッグと友達と大好きなサッカー選手エリック・カントナに励まされ、事態を打開していくコメディドラマ。普通の映画だと思うが、人生へのヒントも含まれている。それなりに楽しめるのでは。男向けかなあ。
・「白いリボン」4/26(e^ra)(145分)(ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア)
→第一次世界大戦前夜のとあるドイツの村で次々と起こる事件。その裏にある、人々の心の闇。モノクロ、と言うかモノクロに近いセピアというか、そう言う映像。BGMも特になく、淡々と事実を見せていく。シーンを断片的に繋いで、核心は決して見せない。しかし、ヒントはある。見終わった後はもれなくモヤモヤが残るだろう。地味で意味不明で詰まらないと思うか、ミステリにワクワクするか。好みの別れそうな映画。
・「モンガに散る」4/29(e^ra)(141分)(台湾)
→父のいない物静かな男子高生が不良に目をつけられる。しかし、別の不良グループに助けられ、極道の世界に足を踏み入れる。楽しかった日々、変わっていく状況。友情と思惑が交叉するドラマ。映像も煌びやかでテンポ良く、ユーモア、アクション、ドラマが絡み合って素晴らしい出来。
・「ヘヴンズストーリー」5/13(e^ra)(278分)(日本)
→家族を殺された少女、妻を殺された男、男の妻を殺した少年、孤独な女性、殺し屋と息子。少年犯罪や復讐、愛と赦しをテーマにして、約4時間半に渡って描かれるドラマ。幻想的な映像と惹きつける演出など、全体的には割と面白く、時間ほど長さを感じないが、それでも疲れる。殺し屋の話は面白かったが、丸々カットしても問題はなさそうな気がする。それは極端な話だが、もっと脚本をシェイプアップできなかっただろうか?
・「フード・インク」5/17(e^ra)(94分)(アメリカ)
→アメリカの食糧事情、特にファーストフードに使用される肉などがどのように生産されているのかを、「工場フードシステム」をキーワードに映し出すドキュメンタリー映画。虐げられる農家、物のように生産される不健康な命、そしてそれを食すことによって悪影響を受ける人間。この映画に描かれていることがそのまま日本に当てはまるかはわからないがぞっとする部分もある。アメリカらしく、ドキュメントと言ってもエンタメ性を備えていて見やすい。
・「ありあまるごちそう」5/17(e^ra)(96分)(オーストリア)
→食の問題について提起するドキュメンタリー映画。「フード・インク」に比べるとよりグローバルな視点で映しているが、作りが淡々としているため、見やすさでは劣る。それだけ作り手の誘導が少ないとも言える。
・「ヤコブへの手紙」5/26(e^ra)(75分)(フィンランド)
→殺人を犯した中年女性が恩赦(?)を受け、老牧師の家で彼の世話をすることになる。孤独と癒しのドラマ。シンプルで静かで登場人物も少ないが、伝えるべき事を絞り、情緒的な演出で見せている。人生とはなにか、ということ。良い映画。
・「地球が静止する日」5/27(tv)(106分)(アメリカ)
→あまり覚えていないが、詰まらなかった、と言うことだけはよく覚えている。スペクタクルは少なく、その割にドラマは幼稚。子供向けに作られたのならそれなりの価値はあるかも。
・「プルーフ・オブ・ライフ」5/28(tv)(135分)(アメリカ)
→某国で人質になったアメリカ国民を救出するために主人公達が頑張っちゃう映画。それなりにスリルもサスペンスもアクションもあって楽しめた記憶がある。
・「イップ・マン 葉問」5/30(e^ra)(109分)(香港)
→ブルース・リーも師事したという男、イップマンの伝記的映画。人間としての彼の素晴らしさを描きつつ、外国から抑圧された中国の鬱憤を晴らし、自尊心を盛り上げる要素も含む。日本で力道山が歓声を浴びたようなものか。助演のサモハンキンポーを含む役者陣のアクション(カンフー)が素晴らしい。ドラマとしてのカタルシスもあり、良い映画。
・「ブラック・スワン」6/1(toho)(108分)(アメリカ)
→白鳥の湖の主演を目指す主人公の女性。内なる不安を抱く彼女に襲いかかる、幻覚とも現実とも取れない出来事の数々。そして凄絶なクライマックス。この映画はホラーとかスリラーとかそう言うジャンルのドラマ。少女が女性に脱皮しようとする際に伴うエロティックな出来事も含め、見る前には心の準備が必要。ハートフルな映画では決してない。しかし、全てが面白い。
・「ウッドストックがやってくる!」6/3(e^ra)(121分)(アメリカ)
→1960~70年代頃のアメリカ。田舎町にあるつぶれかけた実家のモーテルと周辺の自営業者達を救うべく若い主人公が奔走する。ある時、近くの街で予定されていた音楽フェスティバルが中止になったと聞き、街の活性化のために誘致をしようとするが、それがヒッピーの祭典と知った保守的な中老年達は反対する……。
誘致から開催に到るまでの主人公の頑張りは面白く見られたが、ドラマとしての起伏は少なく、平坦な印象。テンポが一定なのだろうか? 事実に基づいたドラマというのはどの程度脚色すればいいのか難しいところでもある。 でも全体としては華やかだし、それなりに楽しく見られる。主人公の自己発見の映画でもある。
・「再生の朝に-ある裁判官の選択-」6/8(e^ra)(98分)(中国)
→娘を盗難車による交通事故でなくした裁判官が、別件の自動車盗難事件の犯人を死刑にして、あれこれ苦悩する話。権力の座に就く者は感情的にならず、汚職に手を染めず、法を遵守して冷静に仕事をするように、というメッセージを含んだ中国らしい映画。
・「180°SOUTH ワンエイティサウス」6/8(e^ra)(87分)(アメリカ)
→登山家が世界を巡りながら、自然について語る自然礼賛ドキュメンタリー。この映画の主張もわからないでもないし、作品の視点を決めて作る必要性もわかるが、それでも思想が偏っている。彼らが自由に旅をして楽しんでいられるのも、文明化の恩恵があってこそだろう。ただまあ、こういう偏った見方も、世の価値観のバランスを保つためには必要なのかもしれない。
・「台北の朝、僕は恋をする」6/9(e^ra)(85分)(台湾、アメリカ)
→恋人がフランスへと発ち、彼女のことが忘れられない男が後を追おうとするが、彼を慕う女性や友人と一緒にドタバタに巻き込まれるラブコメディ。役者の衣装や街並みなど映像はカラフルで小綺麗。ストーリーはシンプルだがテンポは良く、ハートフルな笑いが散りばめられていて心地良い。ポップでスタイリッシュ。長らく不振だったという台湾映画も、「モンガに散る」といい、「海角七号」以来変わってきているのかもしれない。たまに観る台湾の映画がだいたい日本に対して好意的で、本当に嬉しい。
・「さや侍」6/14(toho)(103分)(日本)
→脱藩した浪人がとある藩に捕らえられ、「三十日の業」と称する刑を下される。笑顔をなくした若君を笑わせるため、一日一芸を披露し、笑わせられなければ切腹となる、と言う筋書き。個人的には久々の金返せ級映画。金返せっ! 全てが中途半端。コメディベースなのに笑えた箇所がほとんどなく、テレビでやっていることの劣化版という感じ。ドラマとしては主人公の行動原理も映画としてのメッセージも手前勝手で腹立たしい。前二作も映画のラストで世界観をぶち壊すことをしていたがそれはコメディベースの映画をコメディでぶち壊していて自分は笑えた。ただ今作はコメディベースの映画を真逆の形でぶち壊していて、それを達するためのちゃんとした段取りもなく、唖然とした。松本人志という人は、奇抜な設定を軸にした作家性の強い作品はありでも、ドラマは書けない人なのかもしれない。
・「イーグル・アイ」6/18(tv)(118分)(アメリカ)
→謎の女性に指示され、大きな事件に巻き込まれていく男女を描くサスペンスアクション。最初から終盤までわけがわからないままサスペンスで引っ張り、謎が解けて映画が終わるときれいさっぱり忘れる映画。まあ、2時間楽しめるので。
・「婚前特急」6/22(e^ra)(107分)(日本)
→5股をしている女性が友人の結婚を機に男どもを査定して誰と結婚するか、と考える話。ポップでユーモアがありテンポ良く、万人に向く映画だと思うが、個人的には脚本に疑問。動機付けや伏線が不十分でなかろうか? 査定に移った段階で初っ端から一人の男に執着し始めて戸惑った。こういう展開なの? と。演出などに助けられた形だろうか。演者の演技も含めてまずまず楽しく見られた。
・「アメイジング・グレイス」6/26(e^ra)(118分)(イギリス)
→18~19世紀のイギリス。黒人奴隷の解放を目指す議員ウィリアム・ウィルバーフォースの半生を描く。話の途中までは回想形式で描かれ、それが効果的かはともかく、全体としてはカタルシスもあるし、意義のある映画。政治の理想と難しさが見られる。友情と、愛の支え。
・「ブンミおじさんの森」6/28(e^ra)(114分)(イギリス・タイ・ドイツ・フランス・スペイン)
→体調を悪くしたブンミの元に親戚がやってくる。食事をしていると、死別した妻、行方不明になった息子もやってきて……。ティム・バートンが絶賛した映画。ストーリーはシンプルで、ほとんどない。要するに輪廻とか転生とか命の形とかそういったことを描く。風景や何気ない会話をゆったり長回しで見せ、BGMもこれまたほとんどない。役者のセリフも、そういう言語の特性なのか役者の問題なのか、メリハリがなく退屈。ただファンタジックな要素や自然描写は面白く見られた。どう考えても万人向けとは思えない。上記のような特性を肯定的に捉えられるかどうか。
・「スカイライン-征服-」7/1(toho)(94分)(アメリカ)
→友人のパーティに参加している主人公カップルが、そこで宇宙人の侵略に遭う話。ヒーローでも何でもない一般市民の視点から描かれ、ただひたすら逃げまどう姿を追う。宇宙人との対話もなく、ただひたすら彼らの侵略と軍の抵抗を大がかりなVFXで見せる。可もなく不可もなくそれなりの映画。
・「冷たい熱帯魚」7/7(e^ra)(146分)(日本)
→90年代に実際に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件を基に脚色されたフィクション。事件自体も凄絶だしキャラクターもぶっ飛んでいるし、全編を通してテンションが維持されていて、最後まで一気に見られる。監督がピンク映画出身で、AV女優も起用されているし、エロティックでサディスティックでグロテスクで猟奇的。暴風雨みたいな映画。ただ脚本がちょっと散らかっているのが個人的に残念。方向性が。悪い映画ではない。
・「ショパン~愛と哀しみの旋律~」7/11(e^ra)(126分)(ポーランド)
→ショパンがポーランドからフランスに渡り、死ぬまでの人生を描いた作品。未熟な人間達の愛憎劇。愛をテーマにドラマ部分を軸にして描いているため、その他の部分については説明が省かれていたり大雑把だったりする。やや感情の積み上げにも欠けるし、映画としては平凡。
・「マイティ・ソー(3D)」7/14(toho)(114分)(アメリカ)
→北欧神話をベースにしたSFファンタジー? アースガルズの王になるにはやんちゃすぎたソーが地球に追放され、そこで色々と学んでいく話。話としては適度にまとまっているし、アクションやスペクタクルもあるが、キャラクターの動機付けに欠けていたりして、まあまあの域を出ない。初3D体験だったが、これもいまいち。目を引くところもあったが、飛び出す絵本のようなちゃちさや違和感を感じてしまったりした。冒頭のトランスフォーマーの予告編のほうが凄かったよ?
・「アイ・アム・ナンバー4」7/14(toho)(110分)(アメリカ)
→異星人に侵略され、生き残ったエイリアンが地球に逃げてきたが次々に殺され、今度は主人公の番になる。思春期に差し掛かった彼の青春と戦いの話。異星人に襲われるとか、特殊能力がどうとか、そういうことと平行して物語の中盤まで青春に勤しんでいる。展開が遅いけどこんな事してて尺は大丈夫? と思ったが、この映画はそこを割り切っていた。頑張ればあと2,3本続編作れそう。それなりに面白かった。
・「キミとボク」7/15(e^ra)(45分)(日本)
→漫画家志望の男性と、彼に拾われた猫の物語。映画の序盤では猫の愛くるしさに客席から笑い声が漏れ、後半へ向かうに従い、すすり泣く声が聞こえてくる。そしてスタッフロールが流れ、場内が明るくなっても、自分が立ち上がるまでしばらく誰一人立ち上がらなかった、そんな映画。自分は泣かなかったが、主人公男性の苦悩がもっと描かれていたら号泣間違い無しだった。危なかった。坂本真綾のエンディング曲も良かった。
・「シリアスマン」7/15(e^ra)(106分)(アメリカ)
→主人公に次々と襲いかかる不幸。時系列に断片的なエピソードを繋いでいるが、それぞれは明確な関連性を持たない。しかし、どうも関連があるような臭いは漂っている。「不確定性原理」の話が出て来るが、要するにこの映画はこういう事だ。「実際の所、わからない」。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。関わったかもしれないし、関わっていないかもしれない。悪霊かもしれないし、人間なのかもしれない。主人公はユダヤ系でユダヤ系のコミュニティに属しているし、文化やキリスト教(ユダヤ教?)なども出て来る。その方面の知識があれば、作品を別の切り口から見ることが出来るかもしれない。
2011年5月26日の日記。映画事情の近況。
2011年5月26日 映画 先日テレビで「パイレーツオブカリビアン」がやっていたのでチラッと見たが、なるほど人気が出るわけだなと思った。今度シリーズ通して観てみたいけどいつになるかな。
「ヤコブへの手紙」という映画を観た。フィンランドの映画なのだけど、素晴らしい映画だった。涙無しには見られない。しかも上映時間が1時間と20分弱。
世の中には4時間40分(途中休憩あり)かけて「それだけ?」という映画もあるわけだが、この映画はこれほどの短時間できっちり伝えるべきものを伝えた。
時間をかけりゃいいってもんじゃない。限られた時間の中で、いかに有効に相手に伝えるかが重要なのだ。
今年に入って30本ぐらい映画を観ているが、初めのうちはあまり当たりがなくてがっくりが続いた。最近ちょこちょこと、個人的に面白いなと思える作品を観られているので、また元気が出てきた。夏頃にはもっと増えてくるだろうか。
「ヤコブへの手紙」という映画を観た。フィンランドの映画なのだけど、素晴らしい映画だった。涙無しには見られない。しかも上映時間が1時間と20分弱。
世の中には4時間40分(途中休憩あり)かけて「それだけ?」という映画もあるわけだが、この映画はこれほどの短時間できっちり伝えるべきものを伝えた。
時間をかけりゃいいってもんじゃない。限られた時間の中で、いかに有効に相手に伝えるかが重要なのだ。
今年に入って30本ぐらい映画を観ているが、初めのうちはあまり当たりがなくてがっくりが続いた。最近ちょこちょこと、個人的に面白いなと思える作品を観られているので、また元気が出てきた。夏頃にはもっと増えてくるだろうか。
2011年3月14日の日記。こういうときだから。
2011年3月14日 映画 クリント・イーストウッド監督の撮った「ヒアアフター」が上映中止されることになるらしい。残念に思う。ある程度期間は経っているから、それほど大きな(興業の)ダメージはないかな。
自分はこの映画を観たが、良い映画だった。上映中止にするような内容ではないと思うのだけど、こういう時の配慮というのは難しいね。
むしろ、こういうときだからこそ、多くの人が見るべきなんじゃないかなと思うんだけど。
前回、阪神大震災絡みの本を読んでいて、と書いたけど、この映画も地震が起きる前に観ていたから、何だか本当に繋がっている。
http://www.sanspo.com/geino/news/110314/gnj1103141753027-n1.htm
中国映画の方はどんなのかわからないけれど。
自分はこの映画を観たが、良い映画だった。上映中止にするような内容ではないと思うのだけど、こういう時の配慮というのは難しいね。
むしろ、こういうときだからこそ、多くの人が見るべきなんじゃないかなと思うんだけど。
前回、阪神大震災絡みの本を読んでいて、と書いたけど、この映画も地震が起きる前に観ていたから、何だか本当に繋がっている。
http://www.sanspo.com/geino/news/110314/gnj1103141753027-n1.htm
映画会社「ワーナー エンターテイメント ジャパン」は14日、全国公開中の米映画「ヒア アフター」(クリント・イーストウッド監督)に大津波の被災シーンがあるとして、同映画の上映を中止することを決めた。
東日本大震災を受け、「内容が適当ではない」と判断したという。各劇場の事情に応じて同日以降順次中止する。
映画は、マット・デイモンらの主演で2月に公開。2004年のスマトラ沖地震による大津波に遭ったヒロインの臨死体験を描く場面がある。
また26日公開予定だった中国映画「唐山大地震 想い続けた32年」も、配給元の松竹が14日、公開延期を発表した。1976年に中国で実際に起こった大震災をもとに、被災した家族の人生を描いた物語で、新たな公開時期は未定という。
中国映画の方はどんなのかわからないけれど。
10年12月29日の日記。映画2本の簡易感想と、今年観た映画のランク付け。
2010年12月29日 映画 とりあえず年内に見ようと思っていた2本の映画を見終わった。
一つは「フェアウェル~さらば、哀しみのスパイ~」で、もう一つは「ぼくのエリ~200歳の少女~」。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞したという「瞳の奥の秘密」は当初はスルーするつもりが、シネマイ~ラの館主さんがブログで絶賛されていたので、どうしようか相当悩んだ。ただ1月中旬まで上映するらしいので、来年に譲ろうと思う。
・「フェアウェル~さらば、哀しみのスパイ~」10/12/24(e^ra)(フランス)
ソ連のKGBに所属する男が、仲介役となった在ソ連フランス人と共に国家機密を西側諸国へ流出。冷戦の渦中における男の生き様を描いた話。
背景説明が簡潔で気を抜くとこんがらがるが、全体的に重厚且つしっかりした作り。歯ごたえのある良い映画だった。見終わった後、席から立つのを忘れていた。
・「ぼくのエリ~200歳の少女~」10/12/28(e^ra)(スウェーデン)
いじめに遭う内気な少年が不思議な少女(ヴァンパイア)と出会い、少しずつ変わっていく話。
とてもペーソスに満ちているというか、哀愁漂う、悲しい映画。美術や照明、各種エフェクトなどと相まって、そういう意味では美しい作品だが、サスペンスなど物語としてのテンポは途切れがち。残酷でグロテスクな描写や話の展開には好みが分かれそう。
-----------------------------------------------------------------
で、映画の順位ですが、これは木村拓哉も同じような事を言ってましたが、なかなか難しい。映画だけではなくて、あらゆる事に言えると思う。はっきりとした数字もないし、基準もないので。
と言うことで、今回は大雑把に、ランク付けだけしたいと思います。
A~Eまでの5段階にそれぞれを放り込んでいこうかなと。あくまでも個人的な評価です。
↓今年劇場で観た映画のランク分け。
とりあえずこんなところかなあ。
かなり判断に悩んだ作品もありますが。
ちなみに劇場以外できちんと観た作品が一つだけありますが、それは
としておきます。
こうやって仕分けてみると意外と楽しんでいるんだなと思う。観ているときとか見終わった後とか、結構不満を感じている印象があったんだけど。それとも評価が甘くなっているだけだろうか。
一つには、映画を多角的に考えて、思い切って評価を下げられなかったりする部分もあるが。
最終的には自分の感覚だよなあ。
一つは「フェアウェル~さらば、哀しみのスパイ~」で、もう一つは「ぼくのエリ~200歳の少女~」。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞したという「瞳の奥の秘密」は当初はスルーするつもりが、シネマイ~ラの館主さんがブログで絶賛されていたので、どうしようか相当悩んだ。ただ1月中旬まで上映するらしいので、来年に譲ろうと思う。
・「フェアウェル~さらば、哀しみのスパイ~」10/12/24(e^ra)(フランス)
ソ連のKGBに所属する男が、仲介役となった在ソ連フランス人と共に国家機密を西側諸国へ流出。冷戦の渦中における男の生き様を描いた話。
背景説明が簡潔で気を抜くとこんがらがるが、全体的に重厚且つしっかりした作り。歯ごたえのある良い映画だった。見終わった後、席から立つのを忘れていた。
・「ぼくのエリ~200歳の少女~」10/12/28(e^ra)(スウェーデン)
いじめに遭う内気な少年が不思議な少女(ヴァンパイア)と出会い、少しずつ変わっていく話。
とてもペーソスに満ちているというか、哀愁漂う、悲しい映画。美術や照明、各種エフェクトなどと相まって、そういう意味では美しい作品だが、サスペンスなど物語としてのテンポは途切れがち。残酷でグロテスクな描写や話の展開には好みが分かれそう。
-----------------------------------------------------------------
で、映画の順位ですが、これは木村拓哉も同じような事を言ってましたが、なかなか難しい。映画だけではなくて、あらゆる事に言えると思う。はっきりとした数字もないし、基準もないので。
と言うことで、今回は大雑把に、ランク付けだけしたいと思います。
A~Eまでの5段階にそれぞれを放り込んでいこうかなと。あくまでも個人的な評価です。
↓今年劇場で観た映画のランク分け。
『A』
-----------------------------------------------------------------
「ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない」(日本)
「アイガー北壁」(ドイツ)
「クロッシング」(韓国)
「BOX 袴田事件~命とは~」(日本)
「息もできない」(韓国)
「カラフル」(日本)
「パラノーマル・アクティビティ第2章~Tokyo Night~」(日本)
「ゾンビランド」(アメリカ)
「セラフィーヌの庭」(フランス・ベルギー・ドイツ)
『B』
-----------------------------------------------------------------
「ウォレスとグルミット~ベーカリー街の悪夢・他~」(イギリス)
「パラノーマル・アクティビティ」(アメリカ)
「アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~」(アメリカ)
「ハート・ロッカー」
「バグダッド・カフェ」(西ドイツ)
「マイマイ新子と千年の魔法」(日本)
「タイタンの戦い」(アメリカ)
「告白」(日本)
「借りぐらしのアリエッティ」(日本)
「インセプション」(アメリカ)
「ビルマVJ~消された革命~」(デンマーク)
「月に囚われた男」(イギリス)
「十三人の刺客」(日本)
「ねこタクシー」(日本)
「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」(日本)
「フェアウェル~さらば、哀しみのスパイ~」(フランス)
『C』
-----------------------------------------------------------------
「キャピタリズム」(アメリカ)
「母なる証明」(韓国)
「ライアーゲーム~ザ・ファイナル・ステージ~」(日本)
「海角七号~君想う、国境の南~」(台湾)
「誰がため」(デンマーク・チェコ・ドイツ)
「ウディ・アレンの夢と犯罪」(イギリス)
「アウト・レイジ」(日本)
「密約~外務省機密漏洩事件~」(日本)
「川の底からこんにちは」(日本)
「アルゼンチンタンゴ~伝説のマエストロたち~」(アルゼンチン)
「闇の列車、光の旅」(アメリカ・メキシコ)
「ハーツ・アンド・マインズ~ベトナム戦争の真実~」(アメリカ)
「ネコを探して」(フランス)
「ぼくのエリ~200歳の少女~」(スウェーデン)
『D』
-----------------------------------------------------------------
「つむじ風食堂の夜」(日本)
「脳内ニューヨーク」(アメリカ)
「踊る大捜査線THE MOVIE3~奴らを解放せよ~」(日本)
「BECK」(日本)
「キャタピラー」(日本)
「オーケストラ」(フランス)
「小さな命が呼ぶとき」(アメリカ)
「THE COVE」(アメリカ)
「武士の家計簿」(日本)
「樺太1945夏 氷雪の門」(日本)
「あの夏の子供たち」(フランス)
「ウィンター・ソルジャー」(アメリカ)
『E』
-----------------------------------------------------------------
「リミッツ・オブ・コントロール」(アメリカ)
「地下鉄のザジ」(フランス)
「モダン・ライフ」(フランス)
とりあえずこんなところかなあ。
かなり判断に悩んだ作品もありますが。
ちなみに劇場以外できちんと観た作品が一つだけありますが、それは
『B』
-----------------------------------------------------------------
「300」
としておきます。
こうやって仕分けてみると意外と楽しんでいるんだなと思う。観ているときとか見終わった後とか、結構不満を感じている印象があったんだけど。それとも評価が甘くなっているだけだろうか。
一つには、映画を多角的に考えて、思い切って評価を下げられなかったりする部分もあるが。
最終的には自分の感覚だよなあ。
10年12月20日の日記。映画の感想簡易版。
2010年12月20日 映画 観た後このブログに詳細な感想を書いていない映画の簡易感想。
括弧内のアルファベットは映画館。e^raは「シネマイ~ラ」のこと。tohoは「TOHOシネマズ」のこと。tvはテレビ放映。
・「海角七号~君想う、国境の南~」10/4/15(e^ra)(台湾)
→第二次大戦終戦前後の日台男女の交流と、現在の両国の男女の交流を音楽を交えて描いたエンターテインメント映画。ポップでユーモアが効いていて、でもちょっとした隙間にセンチメンタルが見え隠れして。台湾で大ヒットしたらしく、確かに面白いが、ずば抜けているようには思わない。
・「誰がため」10/4/16(e^ra)(デンマーク・チェコ・ドイツ)
→ナチスに対抗するレジスタンスたちの活躍と苦悩。盲信の危うさと、それを利用する人間の腹黒さ。戦時下(占領下)の悲劇。
・「地下鉄のザジ」10/4/26(e^ra)(フランス)
→少女・ザジがパリであっちへ行ったりこっちへ来たり。抽象的でスラップスティック的な、意味があるのか無いのかわからない映画。難解なサイレント映画というか。
・「300」10/5/9(tv)(アメリカ)
→300人の精鋭スパルタ兵が圧倒的大軍のペルシャとドンパチ。様式美に特化。
・「マイマイ新子と千年の魔法」10/5/13(e^ra)(日本)
→原作を書いた高樹のぶ子の自伝的作品。アニメーション。空想好きの新子が転校してきた少女や学校の仲間達と交流し、それぞれに大切な物を見つけていく。
ややまとまりに欠ける気もするが丁寧に作られた映画で、見終わった後は心地良さが残る。
・「タイタンの戦い」10/5/14(toho)(アメリカ)
→ギリシャ神話のペルセウスのエピソードを基にした映画。完全なるエンターテインメント作品。ワクワクドキドキして見終わったらスッキリ。
・「ウディ・アレンの夢と犯罪」10/6/11(e^ra)(イギリス)
→イギリスの兄弟の悲劇。まとまりが良い、まとまりが良すぎて逆にどうなの? と感じてしまうほどにうまくまとまった小品。
・「告白」10/6/14(toho)(日本)
→娘を殺された教師と殺した犯人と彼らにまつわる人々の告白。映像表現、構成力、と世間一般の価値観をしらっと覆す言動でインパクトのある内容。悲しみだけを置き去りにしていって、見終わった後あたふたさせられる映画。
・「アウト・レイジ」10/6/14(toho)(日本)
→北野武のバイオレンス映画。ヤクザ内のいざこざで裏切ったり裏切られたり。従来の北野映画を観ている人には目新しいことはないと思う。
・「アイガー北壁」10/7/20(e^ra)(ドイツ)
→未踏の難所、アイガー北壁に挑む登山家の凄絶なる挑戦。丁寧でメリハリが利いていて、サスペンスとドラマに満ちている。素晴らしい。
・「クロッシング」10/7/23(e^ra)(韓国)
→北朝鮮で暮らす一家の辿る道。作品としてもしっかり作られていてのめり込めるし、メッセージ性や啓発的意義だけではない。
・「借りぐらしのアリエッティ」10/8/1(toho)(日本)
→人間と小人の交流。作品世界の雰囲気や演出には好感が持てるが、脚本に疑問。
・「インセプション」10/8/14(toho)(アメリカ)
→夢の中に入り込んでアイデアを盗む男たちの大仕事。話(メッセージ)自体は単純。あとは世界観と大がかりなVFXを楽しむ映画。最初から最後までサスペンスとテンションを維持していくので、飽きずに観られた。
・「密約~外務省機密漏洩事件~」10/8/20(e^ra)(日本)
→かつて外務省の機密が毎日新聞にすっぱ抜かれた(漏洩した)事件を取り扱ったノンフィクション的ドラマ映画。問題提起をしてこういったことを観客に考えさせるという意義は大いにあるが、論点がずれている臭いので残念。
・「Box 袴田事件~命とは~」10/8/27(e^ra)(日本)
→実際に起こった出来事を基に作られた映画。合理性に欠く取り調べと裁判で有罪にされた袴田死刑囚。彼と一人の裁判官の苦悩を描き、日本の司法や警察の問題点を浮き彫りにする。素晴らしい映画。啓発的な意義が大いにある。「それでもボクはやってない」やこの映画などを観ていたせいか、大阪地検特捜部の例の改竄事件を聞いても驚かなかった。世の中をフラットに、慎重に見ることが出来るようになる映画。
・「息もできない」10/8/27(e^ra)(韓国)
→孤独なヤクザと少女の交流。孤独と温もり。バイオレンスと触れ合い。怒りと優しさ。対比が美しく、悲しい。良い作品。
・「踊る大捜査線THE MOVIE3~奴らを解放せよ~」10/9/1(toho)(日本)
→人気シリーズ最新作。新湾岸所へ引っ越してドタバタ。これは明らかに脚本に問題があるような気がする。
・「カラフル」10/9/1(toho)(日本)
→原恵一監督のアニメ作品。森絵都の原作小説を映画化。人を活かす映画。
・「ビルマVJ~消された革命~」10/9/10(e^ra)(デンマーク)
→ビルマ(ミャンマー)の民主化を望む活動家達が、逮捕の危険を負いながら、世界に発信するための映像を現地で撮影している。その映像を基に作り上げたドキュメンタリー映画。希望と限界が映っている。
・「BECK」10/9/14(toho)(日本)
→人気漫画の映画化。地味で平凡な男子学生がRock musicと出会ったことによって変化していく話。原作のエピソードを時間内でうまくまとめてはいるが、話の軸を考えると、中途半端に思えた。また音楽映画的カタルシスも少々欠く。
・「キャタピラー」10/9/20(e^ra)(日本)
→戦争で四肢を亡くした夫を世話する女性の話。単館系の映画にしては珍しく大ヒットした模様だが、理解出来ない。俺も観たわけだけど。寺島しのぶ効果?
・「月に囚われた男」10/9/22(e^ra)(イギリス)
→月でたった一人、資源を採掘する男の話。難解な展開かと思いきや明快で、まとまりも良く、面白かった。
・「川の底からこんにちは」10/9/22(e^ra)(日本)
→自分なんてこんなもん、と言う諦めきった女性が開き直り、駄目人生を肯定する映画。地味で退屈しそうという事前のイメージが覆され、ユーモアも効いていて思いの外楽しめたが、でも一般的に受けるかというと微妙。脚本も書いていたようだが、別の人が書いた脚本を撮ったときにどうなるのか観てみたい。
・「13人の刺客」10/10/1(toho)(日本)
→暴君を13人の刺客が襲っちゃう映画。慎んでしまうような部分を気にすることなく踏み込んで表現している点には快哉。最後の殺陣がただ斬りまくっているだけという点が個人的に残念だった。
・「オーケストラ!」10/10/6(e^ra)(フランス)
→ロシアの演奏家がかつての楽団を呼び集めて、フランスで曰く付きの女性と共演する話。日本でもありそうな、ちょっと無茶な展開のエンタメ作品。シリアスなテーマを内包しているが、作りが雑に思える。
・「モダン・ライフ」10/10/6(e^ra)(フランス)
→フランスの寂れた農家で働く人々と対話する様を微動だにしないカメラでひたすらじっと撮り収めた作品。現代農家の一場面を切り取ってはいるのだろうけど、観ている人のことは少しも考えられていないと思えるほどに退屈な映画だった。
・「小さな命が呼ぶとき」10/10/22(e^ra)(アメリカ)
→難病の子供を救うために独立して会社を設立した男の実話に基づいた話。手際よく作られているが、ドラマとして少々疑問。どの程度実話に沿っているのか、それによる制限などもあろうが。
・「ねこタクシー」10/10/29(e^ra)(日本)
→コミュニケーション不全の男が、ひょんな事から出会った猫を通して再生していく話。カンニング竹山が内気な主人公を好演。全体的に優しい雰囲気の作品で、スムーズで、良い映画だった。
・「THE cove」10/11/19(e^ra)(アメリカ)
→日本の太地町のイルカ漁を批判したプロパガンダ映画。ちょっと客観的に観ることが出来なかった。感情に訴えかける作りだが、そんなの、どんな動物だってそうだろ。
・「アルゼンチンタンゴ~伝説のマエストロたち~10/11/24(e^ra)(アルゼンチン)
→往年のタンゴの名手達を集めて録音する風景を収めた映像を、映画用に編集したもの(?)。ステージでの演奏も含まれていて、皆誇りや郷愁が滲み出ているところに感銘を受けた。CDを欲しくなる。
・「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」10/12/1(toho)(日本)
→宇宙戦艦ヤマトを大金掛けて実写映画化した作品。日本の大型エンターテインメント作品にしてはアクションもドラマもうまくまとまっている。が、それ以上でもそれ以下でもない。戦闘機の動きが軽すぎて重厚さが感じられなかったのが残念。
・「パラノーマルアクティビティ第2章~Tokyo Night~」10/12/1(toho)(日本)
→アメリカで怪我をして帰国した姉と、彼女を世話する弟の身の回りに起こる異変。いわゆるモキュメンタリー。1作目とほとんど筋は一緒だが、うまく日本風にアレンジできている。前作を知っていると怖さは多少減じるが、それでも良いホラー映画だ。
・「闇の列車、光の旅」10/12/3(e^ra)(アメリカ・メキシコ)
→メキシコ経由でアメリカへ逃げようとする少女と、メキシコギャングの一員である少年の逃亡記。因果と再生産。寺島進似のギャング。
話としては面白く見られたが、テーマが弱い気がする。
・「ハーツ・アンド・マインズ~ベトナム戦争の真実~」10/12/9(e^ra)(アメリカ)
→現地で撮影された映像や、帰還兵のインタビューなどで構成された作品。作られたのはずいぶん前で、基本的には当時の戦争を告発する内容。肯定派も出て来るが、彼らの意見に違和感をもたせるように作られている。この作品を見ていると、イラク戦争を思い浮かべてしまう。しかし映像の力というのは凄まじい。
・「ゾンビランド」10/12/9(e^ra)(アメリカ)
→ゾンビが溢れかえった世の中で出会った孤独な人間達の繋がり。ゾンビ映画らしくとてもグロテスクで下品な映画だが、そこさえ我慢できれば非常に素晴らしい映画。ただのゾンビ映画と思う無かれ。笑えて感動できる。
・「武士の家計簿」10/12/14(toho)(日本)
→算術に長けた武士の人生。キャスティングが絶妙。ただ構成がどうなんだろうか?
・「ネコを探して」10/12/15(e^ra)(フランス)
→飼い猫を探して世界のあちこちを旅する。猫を通して人間社会の歪さを指摘する。意外と社会派映画。ドキュメンタリーだね。日本での取材が多め。
・「セラフィーヌの庭」10/12/15(e^ra)(フランス・ベルギー・ドイツ)
→実在のセラフィーヌ・ルイという変わった女性が画家として見いだされ、その後辿る人生を描く。動機付けや伏線、人物描写、作品の雰囲気やカットの繋ぎなど、とても丁寧に作られている。好感の持てる作品。個人的にとても好きな作品。
・「樺太1945夏 氷雪の門」10/12/16(e^ra)(日本)
→終戦前後、樺太をロシア(ソ連)に蹂躙され、散っていく人々の物語。映画として啓発の意義はあるが、面白いかどうかは別。
・「あの夏の子供たち」10/12/17(e^ra)(フランス)
→映画製作会社を経営する男とその家族の辿る道。中盤で大きく展開と作風が変わる。やろうとしてることはなんとなくわかるが、動機付けや感情の積み上げが淡泊で、全体的に平坦な印象。
・「ウィンター・ソルジャー~ベトナム帰還兵の告白~」10/12/17(e^ra)(アメリカ)
→ベトナム帰還兵へのインタビュー映像で構成された作品。基本的に最初から最後までずっと現地での行為や見聞きした事を話しているので、盛り上がるとかそういうことはない。ほぼずっと同じトーンなので、そこがやや疲れるが、話している内容は非常に凄絶。
括弧内のアルファベットは映画館。e^raは「シネマイ~ラ」のこと。tohoは「TOHOシネマズ」のこと。tvはテレビ放映。
・「海角七号~君想う、国境の南~」10/4/15(e^ra)(台湾)
→第二次大戦終戦前後の日台男女の交流と、現在の両国の男女の交流を音楽を交えて描いたエンターテインメント映画。ポップでユーモアが効いていて、でもちょっとした隙間にセンチメンタルが見え隠れして。台湾で大ヒットしたらしく、確かに面白いが、ずば抜けているようには思わない。
・「誰がため」10/4/16(e^ra)(デンマーク・チェコ・ドイツ)
→ナチスに対抗するレジスタンスたちの活躍と苦悩。盲信の危うさと、それを利用する人間の腹黒さ。戦時下(占領下)の悲劇。
・「地下鉄のザジ」10/4/26(e^ra)(フランス)
→少女・ザジがパリであっちへ行ったりこっちへ来たり。抽象的でスラップスティック的な、意味があるのか無いのかわからない映画。難解なサイレント映画というか。
・「300」10/5/9(tv)(アメリカ)
→300人の精鋭スパルタ兵が圧倒的大軍のペルシャとドンパチ。様式美に特化。
・「マイマイ新子と千年の魔法」10/5/13(e^ra)(日本)
→原作を書いた高樹のぶ子の自伝的作品。アニメーション。空想好きの新子が転校してきた少女や学校の仲間達と交流し、それぞれに大切な物を見つけていく。
ややまとまりに欠ける気もするが丁寧に作られた映画で、見終わった後は心地良さが残る。
・「タイタンの戦い」10/5/14(toho)(アメリカ)
→ギリシャ神話のペルセウスのエピソードを基にした映画。完全なるエンターテインメント作品。ワクワクドキドキして見終わったらスッキリ。
・「ウディ・アレンの夢と犯罪」10/6/11(e^ra)(イギリス)
→イギリスの兄弟の悲劇。まとまりが良い、まとまりが良すぎて逆にどうなの? と感じてしまうほどにうまくまとまった小品。
・「告白」10/6/14(toho)(日本)
→娘を殺された教師と殺した犯人と彼らにまつわる人々の告白。映像表現、構成力、と世間一般の価値観をしらっと覆す言動でインパクトのある内容。悲しみだけを置き去りにしていって、見終わった後あたふたさせられる映画。
・「アウト・レイジ」10/6/14(toho)(日本)
→北野武のバイオレンス映画。ヤクザ内のいざこざで裏切ったり裏切られたり。従来の北野映画を観ている人には目新しいことはないと思う。
・「アイガー北壁」10/7/20(e^ra)(ドイツ)
→未踏の難所、アイガー北壁に挑む登山家の凄絶なる挑戦。丁寧でメリハリが利いていて、サスペンスとドラマに満ちている。素晴らしい。
・「クロッシング」10/7/23(e^ra)(韓国)
→北朝鮮で暮らす一家の辿る道。作品としてもしっかり作られていてのめり込めるし、メッセージ性や啓発的意義だけではない。
・「借りぐらしのアリエッティ」10/8/1(toho)(日本)
→人間と小人の交流。作品世界の雰囲気や演出には好感が持てるが、脚本に疑問。
・「インセプション」10/8/14(toho)(アメリカ)
→夢の中に入り込んでアイデアを盗む男たちの大仕事。話(メッセージ)自体は単純。あとは世界観と大がかりなVFXを楽しむ映画。最初から最後までサスペンスとテンションを維持していくので、飽きずに観られた。
・「密約~外務省機密漏洩事件~」10/8/20(e^ra)(日本)
→かつて外務省の機密が毎日新聞にすっぱ抜かれた(漏洩した)事件を取り扱ったノンフィクション的ドラマ映画。問題提起をしてこういったことを観客に考えさせるという意義は大いにあるが、論点がずれている臭いので残念。
・「Box 袴田事件~命とは~」10/8/27(e^ra)(日本)
→実際に起こった出来事を基に作られた映画。合理性に欠く取り調べと裁判で有罪にされた袴田死刑囚。彼と一人の裁判官の苦悩を描き、日本の司法や警察の問題点を浮き彫りにする。素晴らしい映画。啓発的な意義が大いにある。「それでもボクはやってない」やこの映画などを観ていたせいか、大阪地検特捜部の例の改竄事件を聞いても驚かなかった。世の中をフラットに、慎重に見ることが出来るようになる映画。
・「息もできない」10/8/27(e^ra)(韓国)
→孤独なヤクザと少女の交流。孤独と温もり。バイオレンスと触れ合い。怒りと優しさ。対比が美しく、悲しい。良い作品。
・「踊る大捜査線THE MOVIE3~奴らを解放せよ~」10/9/1(toho)(日本)
→人気シリーズ最新作。新湾岸所へ引っ越してドタバタ。これは明らかに脚本に問題があるような気がする。
・「カラフル」10/9/1(toho)(日本)
→原恵一監督のアニメ作品。森絵都の原作小説を映画化。人を活かす映画。
・「ビルマVJ~消された革命~」10/9/10(e^ra)(デンマーク)
→ビルマ(ミャンマー)の民主化を望む活動家達が、逮捕の危険を負いながら、世界に発信するための映像を現地で撮影している。その映像を基に作り上げたドキュメンタリー映画。希望と限界が映っている。
・「BECK」10/9/14(toho)(日本)
→人気漫画の映画化。地味で平凡な男子学生がRock musicと出会ったことによって変化していく話。原作のエピソードを時間内でうまくまとめてはいるが、話の軸を考えると、中途半端に思えた。また音楽映画的カタルシスも少々欠く。
・「キャタピラー」10/9/20(e^ra)(日本)
→戦争で四肢を亡くした夫を世話する女性の話。単館系の映画にしては珍しく大ヒットした模様だが、理解出来ない。俺も観たわけだけど。寺島しのぶ効果?
・「月に囚われた男」10/9/22(e^ra)(イギリス)
→月でたった一人、資源を採掘する男の話。難解な展開かと思いきや明快で、まとまりも良く、面白かった。
・「川の底からこんにちは」10/9/22(e^ra)(日本)
→自分なんてこんなもん、と言う諦めきった女性が開き直り、駄目人生を肯定する映画。地味で退屈しそうという事前のイメージが覆され、ユーモアも効いていて思いの外楽しめたが、でも一般的に受けるかというと微妙。脚本も書いていたようだが、別の人が書いた脚本を撮ったときにどうなるのか観てみたい。
・「13人の刺客」10/10/1(toho)(日本)
→暴君を13人の刺客が襲っちゃう映画。慎んでしまうような部分を気にすることなく踏み込んで表現している点には快哉。最後の殺陣がただ斬りまくっているだけという点が個人的に残念だった。
・「オーケストラ!」10/10/6(e^ra)(フランス)
→ロシアの演奏家がかつての楽団を呼び集めて、フランスで曰く付きの女性と共演する話。日本でもありそうな、ちょっと無茶な展開のエンタメ作品。シリアスなテーマを内包しているが、作りが雑に思える。
・「モダン・ライフ」10/10/6(e^ra)(フランス)
→フランスの寂れた農家で働く人々と対話する様を微動だにしないカメラでひたすらじっと撮り収めた作品。現代農家の一場面を切り取ってはいるのだろうけど、観ている人のことは少しも考えられていないと思えるほどに退屈な映画だった。
・「小さな命が呼ぶとき」10/10/22(e^ra)(アメリカ)
→難病の子供を救うために独立して会社を設立した男の実話に基づいた話。手際よく作られているが、ドラマとして少々疑問。どの程度実話に沿っているのか、それによる制限などもあろうが。
・「ねこタクシー」10/10/29(e^ra)(日本)
→コミュニケーション不全の男が、ひょんな事から出会った猫を通して再生していく話。カンニング竹山が内気な主人公を好演。全体的に優しい雰囲気の作品で、スムーズで、良い映画だった。
・「THE cove」10/11/19(e^ra)(アメリカ)
→日本の太地町のイルカ漁を批判したプロパガンダ映画。ちょっと客観的に観ることが出来なかった。感情に訴えかける作りだが、そんなの、どんな動物だってそうだろ。
・「アルゼンチンタンゴ~伝説のマエストロたち~10/11/24(e^ra)(アルゼンチン)
→往年のタンゴの名手達を集めて録音する風景を収めた映像を、映画用に編集したもの(?)。ステージでの演奏も含まれていて、皆誇りや郷愁が滲み出ているところに感銘を受けた。CDを欲しくなる。
・「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」10/12/1(toho)(日本)
→宇宙戦艦ヤマトを大金掛けて実写映画化した作品。日本の大型エンターテインメント作品にしてはアクションもドラマもうまくまとまっている。が、それ以上でもそれ以下でもない。戦闘機の動きが軽すぎて重厚さが感じられなかったのが残念。
・「パラノーマルアクティビティ第2章~Tokyo Night~」10/12/1(toho)(日本)
→アメリカで怪我をして帰国した姉と、彼女を世話する弟の身の回りに起こる異変。いわゆるモキュメンタリー。1作目とほとんど筋は一緒だが、うまく日本風にアレンジできている。前作を知っていると怖さは多少減じるが、それでも良いホラー映画だ。
・「闇の列車、光の旅」10/12/3(e^ra)(アメリカ・メキシコ)
→メキシコ経由でアメリカへ逃げようとする少女と、メキシコギャングの一員である少年の逃亡記。因果と再生産。寺島進似のギャング。
話としては面白く見られたが、テーマが弱い気がする。
・「ハーツ・アンド・マインズ~ベトナム戦争の真実~」10/12/9(e^ra)(アメリカ)
→現地で撮影された映像や、帰還兵のインタビューなどで構成された作品。作られたのはずいぶん前で、基本的には当時の戦争を告発する内容。肯定派も出て来るが、彼らの意見に違和感をもたせるように作られている。この作品を見ていると、イラク戦争を思い浮かべてしまう。しかし映像の力というのは凄まじい。
・「ゾンビランド」10/12/9(e^ra)(アメリカ)
→ゾンビが溢れかえった世の中で出会った孤独な人間達の繋がり。ゾンビ映画らしくとてもグロテスクで下品な映画だが、そこさえ我慢できれば非常に素晴らしい映画。ただのゾンビ映画と思う無かれ。笑えて感動できる。
・「武士の家計簿」10/12/14(toho)(日本)
→算術に長けた武士の人生。キャスティングが絶妙。ただ構成がどうなんだろうか?
・「ネコを探して」10/12/15(e^ra)(フランス)
→飼い猫を探して世界のあちこちを旅する。猫を通して人間社会の歪さを指摘する。意外と社会派映画。ドキュメンタリーだね。日本での取材が多め。
・「セラフィーヌの庭」10/12/15(e^ra)(フランス・ベルギー・ドイツ)
→実在のセラフィーヌ・ルイという変わった女性が画家として見いだされ、その後辿る人生を描く。動機付けや伏線、人物描写、作品の雰囲気やカットの繋ぎなど、とても丁寧に作られている。好感の持てる作品。個人的にとても好きな作品。
・「樺太1945夏 氷雪の門」10/12/16(e^ra)(日本)
→終戦前後、樺太をロシア(ソ連)に蹂躙され、散っていく人々の物語。映画として啓発の意義はあるが、面白いかどうかは別。
・「あの夏の子供たち」10/12/17(e^ra)(フランス)
→映画製作会社を経営する男とその家族の辿る道。中盤で大きく展開と作風が変わる。やろうとしてることはなんとなくわかるが、動機付けや感情の積み上げが淡泊で、全体的に平坦な印象。
・「ウィンター・ソルジャー~ベトナム帰還兵の告白~」10/12/17(e^ra)(アメリカ)
→ベトナム帰還兵へのインタビュー映像で構成された作品。基本的に最初から最後までずっと現地での行為や見聞きした事を話しているので、盛り上がるとかそういうことはない。ほぼずっと同じトーンなので、そこがやや疲れるが、話している内容は非常に凄絶。
10年12月18日の日記。決算のこと。
2010年12月18日 映画 見た後に感想をまだ書いていない映画はいつものフォーマットでこれからもポツポツと書いていく予定。
ただペースが何分遅いので、簡易的な感想をまとめて書こうと思います。
今月はあと2~3本ほど観る予定なので、どうしようかなー。来年にまとめて書くか、とりあえず今観ている物は今書いておくか。
で、その簡易的な感想を書く理由はこういうことです。
昨年、自分が観た映画の中での年間ベスト3を書いたんで、今年もそれっぽいことを総決算と言うことでやりたいんで、それにちなんでと言うことですが。
そのベスト~もいつ書こうか。越年するかもしれないし。そうでないかもしれないし。
今年の全体的なまとめはどうしようかな。大した事してないし。簡単にしとくか。
ただペースが何分遅いので、簡易的な感想をまとめて書こうと思います。
今月はあと2~3本ほど観る予定なので、どうしようかなー。来年にまとめて書くか、とりあえず今観ている物は今書いておくか。
で、その簡易的な感想を書く理由はこういうことです。
昨年、自分が観た映画の中での年間ベスト3を書いたんで、今年もそれっぽいことを総決算と言うことでやりたいんで、それにちなんでと言うことですが。
そのベスト~もいつ書こうか。越年するかもしれないし。そうでないかもしれないし。
今年の全体的なまとめはどうしようかな。大した事してないし。簡単にしとくか。
脳内ニューヨーク の感想。
2010年12月10日 映画
10年3月17日に観た「脳内ニューヨーク」の感想。
ネタバレ注意。
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・筋
舞台の演出家をしているケイデンは芸術家である妻との仲が芳しくなかった。妻は娘を連れて家を出て行き、良い雰囲気となった劇場の受付嬢とも一線を越える決断が出来ない。
そんな折、天才賞の別名をもつマッカーサー・フェロー賞を受賞し、その賞金を基に新たな舞台に取りかかる。
それは、ニューヨークの中に実際に自分の経験したもう一つのニューヨークを作り出すという仕事だった。
やがて人間関係は複雑に折り重なっていき……。
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・趣向
チラシが原色を多用した色遣いで非常にポップだった上、あらすじなどもわかりやすく、面白そうだと思って見に行った映画。
しかし実際の所、チラシのポップさとはかけ離れた、かなり作家性の強い難解な作品で、見終わったときには頭がこんがらがっていた記憶がある。
もうこれは詐欺じゃないのかと思うくらいかけ離れていたが、配給会社からすればうまく客を呼ぶために必死になって考えた結果なのだろう。チャーリー・カウフマンという時点で警戒しとけ、と言うことか。
監督は過去に「マルコヴィッチの穴」や「アダプテーション」など、突飛な発想による癖のある脚本を書いてきたチャーリー・カウフマン。自分も「アダプテーション」を当時見たことがあるが、変な映画だなあという感想を抱いた。
今回は初監督作品となるが、相当に変な映画だ。
映画は一貫してダウナーというか、滅入りそうになるようなトーンで展開される。淡々としていて、抽象的でわかりにくく、時に不気味で奇妙。
しかし、それでいて全く意味がわからないかというとそうでもない。雰囲気はある映画だし、しっかり探れば意味を見いだせそうで、引き込まれる面もある。
チャーリー・カウフマンという評価されている人が監督しているからか、それともアメリカ映画の体力なのか、それなりに金もかけられているように見えるし、チープな作りには見えない。
-----------------------------------------------------------------
・個人的な感想
この映画を見終わった後も、この映画の感想をまとめようとしていたときも、結構色々考えた。一体何を言いたいんだろうこの映画は、と。
色々頭の中に、ああじゃないだろうか、こうじゃないだろうかと浮かびはした物の、結局の所完全にまとまることはなかった。本当に意味がわからない。
しかし先にも描いたとおり、俺の知識が足りないだけで、あるいは俺がしっかり考えていないだけであって、ちゃんと注意深く読み取ればそこには何か意味のある物が含まれているのではないか、と思わせてしまうような作りにはなっているため、何度も何度も再び考え込んでしまうのだ。
実際の所本当にそうなのかもしれない。作品のあちこちにはそれらしいようなヒントめいたセリフや、詩の引用や、抽象的な表現が散りばめられている。作品タイトルも原題はもっと意味深なのだ。
しかし、しかしである。これはあくまで個人的なポリシーというか価値観でしかないのだが、伝わらなければ意味がない、と思うのだ。
知識や見識のある人にはとても豊かな埋蔵物のある映画だとしても、その他大勢の人には掘り進められないほど難解で、全く伝わらないのであれば、それはあまり意味がないと考えるのだ。
そういう観点からは、自分はこの映画を評価できない。
ただ、なんでも、どの分野でもそうだが、振り幅というのは大切だと思う。
とてもわかりやすい作品がある一方で、こういった難しい作品があるというのは、バランスという意味でも意義があるのだと思う。
わかりやすければいいのかというと必ずしもそうではない。難しいことにぶつかって考えることで、新たな発想が生まれることもある。難易の両極が広がれば平均からの振り幅も大きいし、そういった幅は多様な物を受け入れ、生み出す土台ともなり得る。
そういう観点からは、一定の評価が出来る。
ネタバレ注意。
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・筋
舞台の演出家をしているケイデンは芸術家である妻との仲が芳しくなかった。妻は娘を連れて家を出て行き、良い雰囲気となった劇場の受付嬢とも一線を越える決断が出来ない。
そんな折、天才賞の別名をもつマッカーサー・フェロー賞を受賞し、その賞金を基に新たな舞台に取りかかる。
それは、ニューヨークの中に実際に自分の経験したもう一つのニューヨークを作り出すという仕事だった。
やがて人間関係は複雑に折り重なっていき……。
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・趣向
チラシが原色を多用した色遣いで非常にポップだった上、あらすじなどもわかりやすく、面白そうだと思って見に行った映画。
しかし実際の所、チラシのポップさとはかけ離れた、かなり作家性の強い難解な作品で、見終わったときには頭がこんがらがっていた記憶がある。
もうこれは詐欺じゃないのかと思うくらいかけ離れていたが、配給会社からすればうまく客を呼ぶために必死になって考えた結果なのだろう。チャーリー・カウフマンという時点で警戒しとけ、と言うことか。
監督は過去に「マルコヴィッチの穴」や「アダプテーション」など、突飛な発想による癖のある脚本を書いてきたチャーリー・カウフマン。自分も「アダプテーション」を当時見たことがあるが、変な映画だなあという感想を抱いた。
今回は初監督作品となるが、相当に変な映画だ。
映画は一貫してダウナーというか、滅入りそうになるようなトーンで展開される。淡々としていて、抽象的でわかりにくく、時に不気味で奇妙。
しかし、それでいて全く意味がわからないかというとそうでもない。雰囲気はある映画だし、しっかり探れば意味を見いだせそうで、引き込まれる面もある。
チャーリー・カウフマンという評価されている人が監督しているからか、それともアメリカ映画の体力なのか、それなりに金もかけられているように見えるし、チープな作りには見えない。
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・個人的な感想
この映画を見終わった後も、この映画の感想をまとめようとしていたときも、結構色々考えた。一体何を言いたいんだろうこの映画は、と。
色々頭の中に、ああじゃないだろうか、こうじゃないだろうかと浮かびはした物の、結局の所完全にまとまることはなかった。本当に意味がわからない。
しかし先にも描いたとおり、俺の知識が足りないだけで、あるいは俺がしっかり考えていないだけであって、ちゃんと注意深く読み取ればそこには何か意味のある物が含まれているのではないか、と思わせてしまうような作りにはなっているため、何度も何度も再び考え込んでしまうのだ。
実際の所本当にそうなのかもしれない。作品のあちこちにはそれらしいようなヒントめいたセリフや、詩の引用や、抽象的な表現が散りばめられている。作品タイトルも原題はもっと意味深なのだ。
しかし、しかしである。これはあくまで個人的なポリシーというか価値観でしかないのだが、伝わらなければ意味がない、と思うのだ。
知識や見識のある人にはとても豊かな埋蔵物のある映画だとしても、その他大勢の人には掘り進められないほど難解で、全く伝わらないのであれば、それはあまり意味がないと考えるのだ。
そういう観点からは、自分はこの映画を評価できない。
ただ、なんでも、どの分野でもそうだが、振り幅というのは大切だと思う。
とてもわかりやすい作品がある一方で、こういった難しい作品があるというのは、バランスという意味でも意義があるのだと思う。
わかりやすければいいのかというと必ずしもそうではない。難しいことにぶつかって考えることで、新たな発想が生まれることもある。難易の両極が広がれば平均からの振り幅も大きいし、そういった幅は多様な物を受け入れ、生み出す土台ともなり得る。
そういう観点からは、一定の評価が出来る。
ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ の感想。
2010年12月9日 映画
10年3月14日に観た「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」の感想。
ネタバレ注意。
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・筋
女子大生・神崎直の元に届いた手紙とテープ。それは巨額のマネーを奪い合うことが出来るライアーゲームへの招待状であった。
自分の意志とは無関係にそのゲームに参加することとなった彼女だが、根が正直であり、人の善意を信頼する性分のため、たちまち窮地に立たされる。そこで頼ったのが天才詐欺師と呼ばれた秋山深一だった。
二人は勝ち上がり、このゲームの真の目的を明かし、大会を潰そうと決意する。紆曲の過程を経てついに決勝戦へと到達したその舞台には、エデンの園を模した会場とゲームが用意されていた。
全ての人間が利益を得るためには信頼と思いやりが要求されるこのゲームだが、のっけから参加者の利己的な行動に振り回される神崎直。
決勝まで到達した猛者達の駆け引きは果たして……?
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・切り口
人間というのは、経験で作り上げられる生き物である。
経験せずとも推測したり想像したりすることである程度のことは理解したり共感したりすることは出来る。しかし、身に迫る物を得るにはやはりその物を体験しなければ、実感とはなりにくい。
経験することで初めてわかることがあるわけだ。
食べ物の本当の美味しさは、お腹が減っているときにこそ味わえるもの。
防寒具の有り難みは、凍える季節にこそわかる。
人の優しさも、自分が傷ついているときにこそ身に染みて感じられるのだ。
この作品に登場する人物達は、皆最初は醜い利己的な思惑によって動いている。欲を実現するために権謀術数を巡らし行動する。神崎直が、損をする者を生まずに、皆平等に利益を得られる案を説いて回るが、なかなか受け入れられない。
それは他人を信頼できないと言うこともあるが、一つには自分達の欲を実現しようとする意志があるからでもある。
彼らはここまで勝ち上がってきた強者達だ。多少の失敗もあったかも知れないが、最終的に勝ち上がればそれらは全てひっくるめて自分の功績となる。自尊心と自信を膨張させる。
そういった時に、人への優しさなどは意味を成さない。自分の能力で勝ち取った成功、それが世界の全てとなるからだ。目の前にチャンスがある。欲も、実現させる自信もある。むざむざそれを捨てるのか? いや、叶える、自分の手で。
しかしだ。人間というのはやはり失敗する。多くの人間は負けを味わう。その時こそが問題なのだ。
勝っているときはいい。勝てば全てが正当化されるのだから。多少の非難があっても、実際的な成功と、自己評価の上昇で振り払える。それが本当の意味の幸せかはわからない。人間として価値があることなのかはわからない。ただ自分の欲求を満たすことは出来る。
しかし負けたときには逆に、大切な物を失うことになるのだ。
それは賭け事の程度にもよるが、自信、プライド、財産、社会的信用、正当性、地位、名誉、友人、あるいは家族、つまり人間関係、そういった諸々の物が自分から逃げていく。
喪失感と共に、暴露された自分の醜さに打ちひしがれ、自棄に陥る。
その時に、手を差し伸べられたら。
神崎直に関わった人は、なぜか心を入れ替える。不思議なほどに。
彼女は馬鹿正直で、すぐ人に騙される。しかしそれでも人を信頼することを止めない。そういった彼女の一貫したスタンスが安心させると言うこともあるのかもしれない。しかしそれとは別に、敗れて落ちぶれた惨めな境遇の時にも、笑顔で手を差し出してくれるからこそ、ささくれた気持ちが潤い、気持ちを改めるのだろう。
敗れたときは、回りの全てが敵に見えるものだ。諦めたり、打ちのめされたり、自己評価の下がった自分を守ろうともする。
そんな時こそ、本当に大切な物がなんであるのか、一番理解出来るのかも知れない。それを教えてくれる人が傍にいれば、その体験はその後の人生を変える何よりも大切なものとなるのかも知れない。
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・趣向
原作はマンガで、その後テレビドラマ化された本作(確かそうだよね?)。
自分はマンガは未読。テレビドラマはファーストシーズン、セカンドシーズンの両方を見た。
基本的にはテレビシリーズのスタイルをそのまま踏襲している作り。作品自体が嘘、裏切り、駆け引きの応酬を見せ物としているため、その世界観を各分野で演出している。
映像は映画的というよりテレビのようなすっきりした感じの印象。話自体の展開が早いため、それに合わせるようにカット割りが多く、素早いテンポで切り替わる。バラエティ番組でよくあるように、同じセリフを繰り返し再生するなど、とにかく見せ方を工夫していて、そこは従来のドラマとはっきり違う。
美術は、どこか現実離れしたような妖しさと華やかさを合わせたように飾られている。照明も様々な色を使って場面に応じて照らしているが、基本的な色調は妖しさを醸すためか暗め。使われている音楽は中田ヤスタカによる電子サウンドで、ポップ且つ刺激的に扇情している。
全体的にスタイリッシュであり、ポップであり、妖しい。
ストーリーは先に書いたようにとにかく展開が早い。そのため、ゲームのルール説明も矢継ぎ早。自分のように頭の回転の遅い人間には、はっきりと理解出来なかったり、理解出来たとしても応用まで考えている暇がない。
なので、誰かが策略を披露したり、それが覆されたりしても、確かめられない。とにかく起こった出来事に対して、そうなんだ、そうなんだと追っていくだけになってしまう。
そこは好みが分かれるかも知れないが、この作品の良いところはそういったテンポの速さと、状況が刻々と変化する所にあるので、割り切ってしまって良いのかもしれない。
テレビドラマを見ていない人間がこれを見て楽しめるかどうか、理解出来るかどうかについては何とも言えないが、一応キャラクターもわかりやすいし、入り組んだ人間関係というわけでもないので、問題はないのでは。
役者の皆さんは数が多いので、出番の少ない方は本当に少ない、モブキャラのような感じになってしまっていた。
また、皆さん無難にこなしていたように感じるが、どうにも迫力不足に感じてしまう面もある。本当に全国から勝ち上がってきた人達なのか? と思えてしまった。それはもちろん脚本での人物の描き方もあるのだろうが、キャスティングにも一因があると思う。二時間ちょっとでまとめなければいけないわけで、全部が全部やり手というわけにはもちろんいかないだろう。翻弄されたり、秋山が比較優位に立つような相手でなければいけない部分もある。コミカルさを描く意図もある。
しかし、決勝戦にもかかわらず、主体性が無く、知性があまり感じられない人が多いのは、本作の内容からするといかがなものかと思えるのだが。
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・個人手な感想
面白かったかと聞かれれば、まあまあそれなりに楽しめたと答えられるが、それ以上でもそれ以下でもない感じ。
元々大きなストーリーがあるというよりは、各ゲームでの駆け引きを楽しむための作品なんで、それで良いのかもしれない。神崎直の成長物語として見られれば。
最後にしてはあまりライバル達が強くないなと思えたり、展開の都合が良いなと思えたりもするが。
いずれにしても、日本のドラマの中ではこれほどエンタテインメント色が強くてスタイリッシュな作品も珍しいのでは。それだけでも価値があるのかも知れない。
濱田マリと鈴木浩介さんの掛け合いが面白かった。間が絶妙だったなあ。
関めぐみさんは以前はただ単に綺麗な人だなあと思っていたのだが、最近時々見るにつけ、その特徴的な顔付きが目に付くようになってきた。確かに正統派のヒロインと言うよりは、ダーティな役も似合いそうな顔ではある。
でも、「ハチミツとクローバー」の時は素直に可愛かったなあ。
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・うろ覚え気になったセリフ
「いいんじゃないですか。人を助ける、優しい嘘なら」
ネタバレ注意。
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・筋
女子大生・神崎直の元に届いた手紙とテープ。それは巨額のマネーを奪い合うことが出来るライアーゲームへの招待状であった。
自分の意志とは無関係にそのゲームに参加することとなった彼女だが、根が正直であり、人の善意を信頼する性分のため、たちまち窮地に立たされる。そこで頼ったのが天才詐欺師と呼ばれた秋山深一だった。
二人は勝ち上がり、このゲームの真の目的を明かし、大会を潰そうと決意する。紆曲の過程を経てついに決勝戦へと到達したその舞台には、エデンの園を模した会場とゲームが用意されていた。
全ての人間が利益を得るためには信頼と思いやりが要求されるこのゲームだが、のっけから参加者の利己的な行動に振り回される神崎直。
決勝まで到達した猛者達の駆け引きは果たして……?
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・切り口
人間というのは、経験で作り上げられる生き物である。
経験せずとも推測したり想像したりすることである程度のことは理解したり共感したりすることは出来る。しかし、身に迫る物を得るにはやはりその物を体験しなければ、実感とはなりにくい。
経験することで初めてわかることがあるわけだ。
食べ物の本当の美味しさは、お腹が減っているときにこそ味わえるもの。
防寒具の有り難みは、凍える季節にこそわかる。
人の優しさも、自分が傷ついているときにこそ身に染みて感じられるのだ。
この作品に登場する人物達は、皆最初は醜い利己的な思惑によって動いている。欲を実現するために権謀術数を巡らし行動する。神崎直が、損をする者を生まずに、皆平等に利益を得られる案を説いて回るが、なかなか受け入れられない。
それは他人を信頼できないと言うこともあるが、一つには自分達の欲を実現しようとする意志があるからでもある。
彼らはここまで勝ち上がってきた強者達だ。多少の失敗もあったかも知れないが、最終的に勝ち上がればそれらは全てひっくるめて自分の功績となる。自尊心と自信を膨張させる。
そういった時に、人への優しさなどは意味を成さない。自分の能力で勝ち取った成功、それが世界の全てとなるからだ。目の前にチャンスがある。欲も、実現させる自信もある。むざむざそれを捨てるのか? いや、叶える、自分の手で。
しかしだ。人間というのはやはり失敗する。多くの人間は負けを味わう。その時こそが問題なのだ。
勝っているときはいい。勝てば全てが正当化されるのだから。多少の非難があっても、実際的な成功と、自己評価の上昇で振り払える。それが本当の意味の幸せかはわからない。人間として価値があることなのかはわからない。ただ自分の欲求を満たすことは出来る。
しかし負けたときには逆に、大切な物を失うことになるのだ。
それは賭け事の程度にもよるが、自信、プライド、財産、社会的信用、正当性、地位、名誉、友人、あるいは家族、つまり人間関係、そういった諸々の物が自分から逃げていく。
喪失感と共に、暴露された自分の醜さに打ちひしがれ、自棄に陥る。
その時に、手を差し伸べられたら。
神崎直に関わった人は、なぜか心を入れ替える。不思議なほどに。
彼女は馬鹿正直で、すぐ人に騙される。しかしそれでも人を信頼することを止めない。そういった彼女の一貫したスタンスが安心させると言うこともあるのかもしれない。しかしそれとは別に、敗れて落ちぶれた惨めな境遇の時にも、笑顔で手を差し出してくれるからこそ、ささくれた気持ちが潤い、気持ちを改めるのだろう。
敗れたときは、回りの全てが敵に見えるものだ。諦めたり、打ちのめされたり、自己評価の下がった自分を守ろうともする。
そんな時こそ、本当に大切な物がなんであるのか、一番理解出来るのかも知れない。それを教えてくれる人が傍にいれば、その体験はその後の人生を変える何よりも大切なものとなるのかも知れない。
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・趣向
原作はマンガで、その後テレビドラマ化された本作(確かそうだよね?)。
自分はマンガは未読。テレビドラマはファーストシーズン、セカンドシーズンの両方を見た。
基本的にはテレビシリーズのスタイルをそのまま踏襲している作り。作品自体が嘘、裏切り、駆け引きの応酬を見せ物としているため、その世界観を各分野で演出している。
映像は映画的というよりテレビのようなすっきりした感じの印象。話自体の展開が早いため、それに合わせるようにカット割りが多く、素早いテンポで切り替わる。バラエティ番組でよくあるように、同じセリフを繰り返し再生するなど、とにかく見せ方を工夫していて、そこは従来のドラマとはっきり違う。
美術は、どこか現実離れしたような妖しさと華やかさを合わせたように飾られている。照明も様々な色を使って場面に応じて照らしているが、基本的な色調は妖しさを醸すためか暗め。使われている音楽は中田ヤスタカによる電子サウンドで、ポップ且つ刺激的に扇情している。
全体的にスタイリッシュであり、ポップであり、妖しい。
ストーリーは先に書いたようにとにかく展開が早い。そのため、ゲームのルール説明も矢継ぎ早。自分のように頭の回転の遅い人間には、はっきりと理解出来なかったり、理解出来たとしても応用まで考えている暇がない。
なので、誰かが策略を披露したり、それが覆されたりしても、確かめられない。とにかく起こった出来事に対して、そうなんだ、そうなんだと追っていくだけになってしまう。
そこは好みが分かれるかも知れないが、この作品の良いところはそういったテンポの速さと、状況が刻々と変化する所にあるので、割り切ってしまって良いのかもしれない。
テレビドラマを見ていない人間がこれを見て楽しめるかどうか、理解出来るかどうかについては何とも言えないが、一応キャラクターもわかりやすいし、入り組んだ人間関係というわけでもないので、問題はないのでは。
役者の皆さんは数が多いので、出番の少ない方は本当に少ない、モブキャラのような感じになってしまっていた。
また、皆さん無難にこなしていたように感じるが、どうにも迫力不足に感じてしまう面もある。本当に全国から勝ち上がってきた人達なのか? と思えてしまった。それはもちろん脚本での人物の描き方もあるのだろうが、キャスティングにも一因があると思う。二時間ちょっとでまとめなければいけないわけで、全部が全部やり手というわけにはもちろんいかないだろう。翻弄されたり、秋山が比較優位に立つような相手でなければいけない部分もある。コミカルさを描く意図もある。
しかし、決勝戦にもかかわらず、主体性が無く、知性があまり感じられない人が多いのは、本作の内容からするといかがなものかと思えるのだが。
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・個人手な感想
面白かったかと聞かれれば、まあまあそれなりに楽しめたと答えられるが、それ以上でもそれ以下でもない感じ。
元々大きなストーリーがあるというよりは、各ゲームでの駆け引きを楽しむための作品なんで、それで良いのかもしれない。神崎直の成長物語として見られれば。
最後にしてはあまりライバル達が強くないなと思えたり、展開の都合が良いなと思えたりもするが。
いずれにしても、日本のドラマの中ではこれほどエンタテインメント色が強くてスタイリッシュな作品も珍しいのでは。それだけでも価値があるのかも知れない。
濱田マリと鈴木浩介さんの掛け合いが面白かった。間が絶妙だったなあ。
関めぐみさんは以前はただ単に綺麗な人だなあと思っていたのだが、最近時々見るにつけ、その特徴的な顔付きが目に付くようになってきた。確かに正統派のヒロインと言うよりは、ダーティな役も似合いそうな顔ではある。
でも、「ハチミツとクローバー」の時は素直に可愛かったなあ。
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・うろ覚え気になったセリフ
「いいんじゃないですか。人を助ける、優しい嘘なら」
ハート・ロッカー の感想。
2010年12月8日 映画
10年3月14日に見た「ハート・ロッカー」の感想。
ネタバレ注意。
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・筋
イラク。アメリカが多数の兵士を送り込み治安維持に努める地で、ある日、一人の兵士が爆弾によって殉職した。
後日、ブラボー中隊爆発物処理班に、新たなリーダーが配属されることになる。ジェームズ二等軍曹率いる3人の爆発物処理班は次々と仕事をこなしていくが、ジェームズの死を恐れていないかのような行動に、サンボーン軍曹とエルドリッジ技術兵は不安を募らせていく……。
緊張の続く日々の中、ジェームズは現地の少年と親しくなるが……。
-----------------------------------------------------------------
・切り口
この映画はイラクに派兵されたアメリカ兵の視点で描かれている。そして、彼らのことを綴った映画である。
それはつまり、イラクの人間を描いてはいないと言うことである。この映画において彼の地の人間達は全くもって異質な存在として登場している。
言葉が通じない、文化も違う、表情も読めない。ディスコミュニケーションの状態で、お互いに相手を警戒し、緊張し、溝の反対側に置いているのである。
そうなってしまう最大の要因という物が、イラク国内で起こっている紛争である。
アメリカ兵はイラクの治安維持のためにそこにいるわけだが、すでに知られているように、関係のない民間人を誤射、誤爆したり、戦闘に巻き込んでしまったりしている。また、アブグレイブ刑務所での一件のように、横暴な振る舞いをイラクの人間に対して行っている面もある。
イラクにいる人間達はそういったことからアメリカ兵に対して恐怖を抱くと同時に、憎しみも芽生えさせている。一向に改善されない治安や、生活、そして殺される家族達を見てそうなるのだ。
一方のアメリカ兵達も、いつ死ぬともわからない戦地に身を置くことで大きなストレスを溜め込んでいる。
異質な人種、文化の中でコミュニケーションが取れず、テロリストやゲリラ達と生死を賭けた戦いを行わなければならない。特に、自爆テロや爆弾テロと言った物は、どこに、誰に仕掛けられていて、いつ爆破されるかわからないという性質の物であり、常に緊張を余儀なくされる。
この恐怖は、彼の地の人間を全て敵に見えさせるのに充分である。
お互いがお互いを恐怖し、憎しみ合うことで溝が深まっていく。本来ならばうまく付き合うことが出来たかも知れない関係は、不安定な情勢の中で大きな隔たりを生み出して、全く理解の出来ない存在となってしまう。
相手と付き合うことで疑いや、対立や、悲しみを生み出してしまうのならば、もはや関係を断って、没個性の異質な存在として遠巻きに見ていた方が楽なのである。
-----------------------------------------------------------------
・趣向
映画は基本的に、戦闘や爆弾処理のシーンが多い。登場人物が語り合うような静かな場面というのは割合少ない。
主人公達は爆弾処理班と言うことで、爆弾と絡むことが多いのだが、その緊張感たるや、見ていてかなり身構えてしまった。きちんと爆破のシーンもあるので、その時の衝撃の凄まじさを見ると尚更だ。
そういった、現場での戦闘や解体処理の場面を多くすることには幾つかメリットがあるのだろう。
一つには単純に、映画として客を引きつけるための効果だろう。アクション、スリル、サスペンス、そういったもので飽きさせないようにしているのだ。
一方で、強烈な緊張感を強いる場面が続くため、見ていてへとへとに、少なくとも自分はなった。これはアメリカ兵達の過酷さを演出するのに十分な効果があると思う。
こういう、誰が敵でもおかしくないような状況、いつ死ぬかわからない状況に身を置いたときのストレスを、身をもって感じられる作りにはなっている。
恋愛だとかユーモアだとか、そういった要素はほとんど無い。かなりシリアスでヘヴィーな映画だ。
-----------------------------------------------------------------
・個人的な感想
正直、これがアカデミー賞作品賞か? と、観た当時は思った。
他の候補作や、候補外の映画など、ほとんど見ていないので、比較は出来ない。ただ単純にそう感じたのだ。
確かにサスペンスとして凄まじい映画だとは思うが、それほどの物だろうか? と。
しかし、映画が賞を受賞したり、観客動員が伸びるなど支持を受けるには、何かしらの理由があるのだと思う。
この映画の場合は、その当時のアメリカにおいて、イラク派兵に対する問題意識が、やはり少なからずあったのだろうと思う。そして、アメリカ国民の意識か無意識の中にあったそれに触れたのだ。
アカデミー賞受賞作とは言え、長い歴史の中で淘汰されずに生き残っていけるかはわからないが、少なくともこの映画には、アメリカの映画賞であるアカデミー賞で受賞する、大きな理由があったのだ。
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・うろ覚え気になったセリフ
「俺が死んでも両親は泣いてくれる。でも、それ以外で俺のために泣いてくれる奴が一体何人いる?」
ネタバレ注意。
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・筋
イラク。アメリカが多数の兵士を送り込み治安維持に努める地で、ある日、一人の兵士が爆弾によって殉職した。
後日、ブラボー中隊爆発物処理班に、新たなリーダーが配属されることになる。ジェームズ二等軍曹率いる3人の爆発物処理班は次々と仕事をこなしていくが、ジェームズの死を恐れていないかのような行動に、サンボーン軍曹とエルドリッジ技術兵は不安を募らせていく……。
緊張の続く日々の中、ジェームズは現地の少年と親しくなるが……。
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・切り口
この映画はイラクに派兵されたアメリカ兵の視点で描かれている。そして、彼らのことを綴った映画である。
それはつまり、イラクの人間を描いてはいないと言うことである。この映画において彼の地の人間達は全くもって異質な存在として登場している。
言葉が通じない、文化も違う、表情も読めない。ディスコミュニケーションの状態で、お互いに相手を警戒し、緊張し、溝の反対側に置いているのである。
そうなってしまう最大の要因という物が、イラク国内で起こっている紛争である。
アメリカ兵はイラクの治安維持のためにそこにいるわけだが、すでに知られているように、関係のない民間人を誤射、誤爆したり、戦闘に巻き込んでしまったりしている。また、アブグレイブ刑務所での一件のように、横暴な振る舞いをイラクの人間に対して行っている面もある。
イラクにいる人間達はそういったことからアメリカ兵に対して恐怖を抱くと同時に、憎しみも芽生えさせている。一向に改善されない治安や、生活、そして殺される家族達を見てそうなるのだ。
一方のアメリカ兵達も、いつ死ぬともわからない戦地に身を置くことで大きなストレスを溜め込んでいる。
異質な人種、文化の中でコミュニケーションが取れず、テロリストやゲリラ達と生死を賭けた戦いを行わなければならない。特に、自爆テロや爆弾テロと言った物は、どこに、誰に仕掛けられていて、いつ爆破されるかわからないという性質の物であり、常に緊張を余儀なくされる。
この恐怖は、彼の地の人間を全て敵に見えさせるのに充分である。
お互いがお互いを恐怖し、憎しみ合うことで溝が深まっていく。本来ならばうまく付き合うことが出来たかも知れない関係は、不安定な情勢の中で大きな隔たりを生み出して、全く理解の出来ない存在となってしまう。
相手と付き合うことで疑いや、対立や、悲しみを生み出してしまうのならば、もはや関係を断って、没個性の異質な存在として遠巻きに見ていた方が楽なのである。
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・趣向
映画は基本的に、戦闘や爆弾処理のシーンが多い。登場人物が語り合うような静かな場面というのは割合少ない。
主人公達は爆弾処理班と言うことで、爆弾と絡むことが多いのだが、その緊張感たるや、見ていてかなり身構えてしまった。きちんと爆破のシーンもあるので、その時の衝撃の凄まじさを見ると尚更だ。
そういった、現場での戦闘や解体処理の場面を多くすることには幾つかメリットがあるのだろう。
一つには単純に、映画として客を引きつけるための効果だろう。アクション、スリル、サスペンス、そういったもので飽きさせないようにしているのだ。
一方で、強烈な緊張感を強いる場面が続くため、見ていてへとへとに、少なくとも自分はなった。これはアメリカ兵達の過酷さを演出するのに十分な効果があると思う。
こういう、誰が敵でもおかしくないような状況、いつ死ぬかわからない状況に身を置いたときのストレスを、身をもって感じられる作りにはなっている。
恋愛だとかユーモアだとか、そういった要素はほとんど無い。かなりシリアスでヘヴィーな映画だ。
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・個人的な感想
正直、これがアカデミー賞作品賞か? と、観た当時は思った。
他の候補作や、候補外の映画など、ほとんど見ていないので、比較は出来ない。ただ単純にそう感じたのだ。
確かにサスペンスとして凄まじい映画だとは思うが、それほどの物だろうか? と。
しかし、映画が賞を受賞したり、観客動員が伸びるなど支持を受けるには、何かしらの理由があるのだと思う。
この映画の場合は、その当時のアメリカにおいて、イラク派兵に対する問題意識が、やはり少なからずあったのだろうと思う。そして、アメリカ国民の意識か無意識の中にあったそれに触れたのだ。
アカデミー賞受賞作とは言え、長い歴史の中で淘汰されずに生き残っていけるかはわからないが、少なくともこの映画には、アメリカの映画賞であるアカデミー賞で受賞する、大きな理由があったのだ。
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・うろ覚え気になったセリフ
「俺が死んでも両親は泣いてくれる。でも、それ以外で俺のために泣いてくれる奴が一体何人いる?」
バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 の感想。
2010年11月16日 映画
10年3月6日に見た「バグダッド・カフェ(ニュー・ディレクターズ・カット版)」の感想。
ネタバレ注意。
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・筋
ドイツからの旅行でアメリカにやってきたジャスミンは旅の途中、融通のきかない夫に愛想を尽かして車から降り、一人で歩き出す。
荒野の幹線道路にポツンとある、モーテル兼ガソリンスタンド兼カフェの「バグダッド・カフェ」に辿り着くと、そこには全てに苛立つ女主人のブレンダがいた。
どうしようもない夫、家を手伝わない子供達、個性的な宿泊客……。
寂れたそのカフェにジャスミンが泊まり始めてから、少しずつ変化が起こり始めて……。
-----------------------------------------------------------------
・切り口~整理・清算~
この映画で使用された「calling you」の歌詞は、この映画のほぼ全てを語ってていると言える。
人の関係とは誠に不可思議な物なのである。
どこに行っても弾かれて当てはまらなかったのに、ある場所ではそれまでが嘘のようにうまく馴染んでしまうことがある。それは極端な例だとしても、日常において、多かれ少なかれ、何かしらそういった相性という物があるような気がする。
それはその時のその人達の状況や内面がうまく補完し合う形になっているか否かによって生まれるのだろう。
だから一時は気が合っても、いつまでもそうとは限らない。というのも、この世界は常に変動していて、多くの人間は時間が経つにつれて変化するからだ。
かつて自分にとって重要だった関係も、必ずしもその後重要であり続けるとは限らない。そういった時にどうするべきかはその状況にもよる。
修復を望むのであれば試みればいい。2割3割の不満があっても、大方満足いくまでに改善されるかも知れない。しかし修復ではどうにもならないこともある。
関係の修復によって、自分の求める重要な要素を手放さなければいけなかったら?
それは自由であるかも知れないし、楽しい生活であるかも知れない、あるいは金銭かも知れない。
それらを放棄してもなお、その関係を継続することに堪えられるのか? 意味を見いだせるのか?
思い切って関係を清算して、新しい道を探し出すことも一つのやり方なのだろうと思う。移り変わる世の中で、自分の身を置ける場所を探し出す決断は、あなた自身を幸福にするかも知れないし、同時に、欠けていたピースを探し求めている、知らない誰かをも幸福にすることなのかも知れない。
-----------------------------------------------------------------
・趣向
1987年に西ドイツで製作され、日本でも平成元年に公開されてヒットをしたという本作。その後完全版が上映され、2008年に再び監督が手を入れて調整した本作が公開された。
自分は今回が初見。
衣装など、時代を感じさせる部分もあるが特に海外と縁のない自分からするとあまり気にならなかった(娘の衣装にはさすがに違和感を感じるが笑)。
色調も調整されていると言うことで、良いあんばいでした。
ストーリーに関しては、最初インディーズ系の作家チックな作りかと思わせるシーンで始まり、少々不安を抱いたが、その後は順調に親しみやすいドラマとして展開していく。
派手な映画ではないし、どちらかというとゆったりした部類の作品で、一部セクシャルな描写が入ったりもするけれど、独特の間とユーモアと優しさが、何とも言えない心地良い空気を生みだし、作品全体を包んでいる。
脚本やカット割り、撮影などが効果的だったのではないだろうか。
出演俳優が良かった。言葉はわからないので、演技の出来についてはいまいちわからないが、それぞれがそれぞれの個性的なキャラクターを演出できていたのではないだろうか。
-----------------------------------------------------------------
・個人的感想
最初、この作品のことを知らなかった自分は、見る前に不安を感じていた。一体どんな映画なのだろうか? 面白いのか? 作家性の強い、難解な作品ではないのか?
ところが蓋を開けてみれば、非常にわかりやすい映画で、最後までとても楽しめた。
新しい道を歩み始めた女性が、新たな場所で人間関係を築き(カフェの一家や、宿泊する個性的な客達)、人も商売も立て直していくそのストーリーは、見事なほどハッピーな展開だった。
若干癖はあるが、是非万人に勧めたい映画だった。
所で自分の考えの一つとして「内面は外面に現れる」という物がある。
切り口のところでも書いたけれど、この作品は「整理」が一つのキーワード。うまくいかず苛つくブレンダ、彼女の経営するカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンドは荒れ放題なのだが、これはもちろんうまくいっていないことや彼女の心の状態を表す演出である。しかし同時に真理でもある。
これらが整理され、ブレンダやその一家の着る服、表情が変化していくのは、彼女らの内面が変化していくことの表れでもある。外側が整理されたから内面も整理された、とも言えるし、その逆も言える。
いずれにしても、外側と内側は繋がっているのである。
よく外見で人を判断するなと言う人がいるが、そんなことはない。外見は重要な判断材料なのである。
ネタバレ注意。
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・筋
ドイツからの旅行でアメリカにやってきたジャスミンは旅の途中、融通のきかない夫に愛想を尽かして車から降り、一人で歩き出す。
荒野の幹線道路にポツンとある、モーテル兼ガソリンスタンド兼カフェの「バグダッド・カフェ」に辿り着くと、そこには全てに苛立つ女主人のブレンダがいた。
どうしようもない夫、家を手伝わない子供達、個性的な宿泊客……。
寂れたそのカフェにジャスミンが泊まり始めてから、少しずつ変化が起こり始めて……。
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・切り口~整理・清算~
この映画で使用された「calling you」の歌詞は、この映画のほぼ全てを語ってていると言える。
人の関係とは誠に不可思議な物なのである。
どこに行っても弾かれて当てはまらなかったのに、ある場所ではそれまでが嘘のようにうまく馴染んでしまうことがある。それは極端な例だとしても、日常において、多かれ少なかれ、何かしらそういった相性という物があるような気がする。
それはその時のその人達の状況や内面がうまく補完し合う形になっているか否かによって生まれるのだろう。
だから一時は気が合っても、いつまでもそうとは限らない。というのも、この世界は常に変動していて、多くの人間は時間が経つにつれて変化するからだ。
かつて自分にとって重要だった関係も、必ずしもその後重要であり続けるとは限らない。そういった時にどうするべきかはその状況にもよる。
修復を望むのであれば試みればいい。2割3割の不満があっても、大方満足いくまでに改善されるかも知れない。しかし修復ではどうにもならないこともある。
関係の修復によって、自分の求める重要な要素を手放さなければいけなかったら?
それは自由であるかも知れないし、楽しい生活であるかも知れない、あるいは金銭かも知れない。
それらを放棄してもなお、その関係を継続することに堪えられるのか? 意味を見いだせるのか?
思い切って関係を清算して、新しい道を探し出すことも一つのやり方なのだろうと思う。移り変わる世の中で、自分の身を置ける場所を探し出す決断は、あなた自身を幸福にするかも知れないし、同時に、欠けていたピースを探し求めている、知らない誰かをも幸福にすることなのかも知れない。
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・趣向
1987年に西ドイツで製作され、日本でも平成元年に公開されてヒットをしたという本作。その後完全版が上映され、2008年に再び監督が手を入れて調整した本作が公開された。
自分は今回が初見。
衣装など、時代を感じさせる部分もあるが特に海外と縁のない自分からするとあまり気にならなかった(娘の衣装にはさすがに違和感を感じるが笑)。
色調も調整されていると言うことで、良いあんばいでした。
ストーリーに関しては、最初インディーズ系の作家チックな作りかと思わせるシーンで始まり、少々不安を抱いたが、その後は順調に親しみやすいドラマとして展開していく。
派手な映画ではないし、どちらかというとゆったりした部類の作品で、一部セクシャルな描写が入ったりもするけれど、独特の間とユーモアと優しさが、何とも言えない心地良い空気を生みだし、作品全体を包んでいる。
脚本やカット割り、撮影などが効果的だったのではないだろうか。
出演俳優が良かった。言葉はわからないので、演技の出来についてはいまいちわからないが、それぞれがそれぞれの個性的なキャラクターを演出できていたのではないだろうか。
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・個人的感想
最初、この作品のことを知らなかった自分は、見る前に不安を感じていた。一体どんな映画なのだろうか? 面白いのか? 作家性の強い、難解な作品ではないのか?
ところが蓋を開けてみれば、非常にわかりやすい映画で、最後までとても楽しめた。
新しい道を歩み始めた女性が、新たな場所で人間関係を築き(カフェの一家や、宿泊する個性的な客達)、人も商売も立て直していくそのストーリーは、見事なほどハッピーな展開だった。
若干癖はあるが、是非万人に勧めたい映画だった。
所で自分の考えの一つとして「内面は外面に現れる」という物がある。
切り口のところでも書いたけれど、この作品は「整理」が一つのキーワード。うまくいかず苛つくブレンダ、彼女の経営するカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンドは荒れ放題なのだが、これはもちろんうまくいっていないことや彼女の心の状態を表す演出である。しかし同時に真理でもある。
これらが整理され、ブレンダやその一家の着る服、表情が変化していくのは、彼女らの内面が変化していくことの表れでもある。外側が整理されたから内面も整理された、とも言えるし、その逆も言える。
いずれにしても、外側と内側は繋がっているのである。
よく外見で人を判断するなと言う人がいるが、そんなことはない。外見は重要な判断材料なのである。
母なる証明 の感想。
2010年11月13日 映画
10年2月19日に見た「母なる証明」の感想。
ネタバレがあるので注意。
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・筋
親子2人で暮らす息子トジュンとその母。
トジュンはもう大人に差し掛かっている年齢なのだが、母は幼い子供のように接し、可愛がっている。それには幾らかの理由があるのだが、その一つに、彼が知的に問題を抱えているということがあった。
ある日、同じ町で女子高生が殺害される。状況証拠からトジュンが容疑者として逮捕されるが、警察は他の容疑者を捜そうとはせず、トジュンも言動が曖昧。弁護士も妥協案しか提示しない。
母は無実と信じ、息子を助けるために一人真実を見つけ出そうとする……。
-----------------------------------------------------------------
・切り口
純粋というと一見良い物のような気がする。
子供のように純粋な心、と言うと、尊い物のように思える。しかし必ずしもそうではない。純粋と言うことは、ただ物事を知らなかったり、洗練されていなかったりすると言うことでもある。
子供の頃に認められていたことでも、大人になって同じ事をした場合には必ずしも認められなかったりする。
その年齢や、身を置く状況に応じて人間というのは色々なことを覚え、物事を処理しなければいけない。自分を律しなければいけない。
それが不純物になるということでも、そういう成長が求められるのだ。
この映画では主人公が知的に問題を抱え、子供のような幼さを残す言動をする。そして殺害される女子高生の祖母は認知症にかかっている。
彼らの言動は、少なくとも映画内で描写される姿を見ると、やはり違和感を覚えるし、不気味さすら感じる。それは一般的に求められる、あるいは一般的な常識を逸した事をするからであり、思考が読めないからである。何をしでかすのかわからないのだ。
監督が意図しているのかどうかはわからないが、この映画からは、知的に問題を抱える人達に対しての、不気味な者を見る眼差しを感じる。
-----------------------------------------------------------------
・趣向
映画のジャンルとしてはミステリーなのだろう。
本にしても映像作品にしても、自分はあまりミステリーを見ないので、そのジャンルの中でどの程度の作品なのかはいまいちわからない。ただ映画を見終わったときに振り返ってみると、うんまあ、良くできているな、とは感じた。
最初に全て推理の条件が提示されているというわけではなく、どちらかというとだんだん推理の材料が示されていくという感じだが、もしかしたらとても勘のいい人なら、途中でわかってしまうかも知れない。
実際にはなかなか難しいかも知れないが、そう思えるほど、一応作品全体としてみると、伏線や条件が回収されているように思える。
もう半年以上前に見た物なのでぼんやりとした記憶しかないが、ミステリーとしての話の組み立ては良かったし、役者の演技も、演出も、完成度は割と高かったように思う。
シリアスに、時にユーモアを交え、脚本としては良かったのではないか。
-----------------------------------------------------------------
・個人的感想
今思い返して感想を書いてみると、結構良い作品だったのかな、と言う気がするが、見た当初はそれほど楽しめた印象がない。不思議なことに。
ただしきりに誰が犯人か推理はしていた気がするし、のめり込めていたような気はするから、悪い作品ではないと思う。
ユーモアを交えてはいるが、明るい話ではない。まあ、ミステリーという時点でそうなのかもしれないが。
この話の核の一つとして貧困がある。ストーリーとして主人公にも女子高生にも大きく関わっているし、生活描写にも貧困が描かれている。苦しい生活感が、そのまま映画の暗く重たい雰囲気にも寄与している。
↓一応伏せておきます。反転で出ます。ネタバレ要素大有りです。
ところで題名が母なる証明なのだが、その通りに彼女は子供のために奔走する。ただそれは、母としてと言うことだけではなく、自らが息子に犯した過ちに突き動かされていた面もあるだろう。そして、真実を知るにつけ、自分が息子を犯罪者にしてしまったという罪の意識にさいなまれるわけだ。知的な問題を生んでしまった点、やられたらやり返せという教え。母として息子を守りたい、だから忘れる、と言うことと同時に、自分自身の過ちも忘れたいのだろう 以上。
どうでもいいことだけど、濡れ場で(母の濡れ場じゃないよ笑)、しりとりをしながら行為をしている場面があって、印象に残っている。
ネタバレがあるので注意。
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・筋
親子2人で暮らす息子トジュンとその母。
トジュンはもう大人に差し掛かっている年齢なのだが、母は幼い子供のように接し、可愛がっている。それには幾らかの理由があるのだが、その一つに、彼が知的に問題を抱えているということがあった。
ある日、同じ町で女子高生が殺害される。状況証拠からトジュンが容疑者として逮捕されるが、警察は他の容疑者を捜そうとはせず、トジュンも言動が曖昧。弁護士も妥協案しか提示しない。
母は無実と信じ、息子を助けるために一人真実を見つけ出そうとする……。
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・切り口
純粋というと一見良い物のような気がする。
子供のように純粋な心、と言うと、尊い物のように思える。しかし必ずしもそうではない。純粋と言うことは、ただ物事を知らなかったり、洗練されていなかったりすると言うことでもある。
子供の頃に認められていたことでも、大人になって同じ事をした場合には必ずしも認められなかったりする。
その年齢や、身を置く状況に応じて人間というのは色々なことを覚え、物事を処理しなければいけない。自分を律しなければいけない。
それが不純物になるということでも、そういう成長が求められるのだ。
この映画では主人公が知的に問題を抱え、子供のような幼さを残す言動をする。そして殺害される女子高生の祖母は認知症にかかっている。
彼らの言動は、少なくとも映画内で描写される姿を見ると、やはり違和感を覚えるし、不気味さすら感じる。それは一般的に求められる、あるいは一般的な常識を逸した事をするからであり、思考が読めないからである。何をしでかすのかわからないのだ。
監督が意図しているのかどうかはわからないが、この映画からは、知的に問題を抱える人達に対しての、不気味な者を見る眼差しを感じる。
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・趣向
映画のジャンルとしてはミステリーなのだろう。
本にしても映像作品にしても、自分はあまりミステリーを見ないので、そのジャンルの中でどの程度の作品なのかはいまいちわからない。ただ映画を見終わったときに振り返ってみると、うんまあ、良くできているな、とは感じた。
最初に全て推理の条件が提示されているというわけではなく、どちらかというとだんだん推理の材料が示されていくという感じだが、もしかしたらとても勘のいい人なら、途中でわかってしまうかも知れない。
実際にはなかなか難しいかも知れないが、そう思えるほど、一応作品全体としてみると、伏線や条件が回収されているように思える。
もう半年以上前に見た物なのでぼんやりとした記憶しかないが、ミステリーとしての話の組み立ては良かったし、役者の演技も、演出も、完成度は割と高かったように思う。
シリアスに、時にユーモアを交え、脚本としては良かったのではないか。
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・個人的感想
今思い返して感想を書いてみると、結構良い作品だったのかな、と言う気がするが、見た当初はそれほど楽しめた印象がない。不思議なことに。
ただしきりに誰が犯人か推理はしていた気がするし、のめり込めていたような気はするから、悪い作品ではないと思う。
ユーモアを交えてはいるが、明るい話ではない。まあ、ミステリーという時点でそうなのかもしれないが。
この話の核の一つとして貧困がある。ストーリーとして主人公にも女子高生にも大きく関わっているし、生活描写にも貧困が描かれている。苦しい生活感が、そのまま映画の暗く重たい雰囲気にも寄与している。
↓一応伏せておきます。反転で出ます。ネタバレ要素大有りです。
ところで題名が母なる証明なのだが、その通りに彼女は子供のために奔走する。ただそれは、母としてと言うことだけではなく、自らが息子に犯した過ちに突き動かされていた面もあるだろう。そして、真実を知るにつけ、自分が息子を犯罪者にしてしまったという罪の意識にさいなまれるわけだ。知的な問題を生んでしまった点、やられたらやり返せという教え。母として息子を守りたい、だから忘れる、と言うことと同時に、自分自身の過ちも忘れたいのだろう 以上。
どうでもいいことだけど、濡れ場で(母の濡れ場じゃないよ笑)、しりとりをしながら行為をしている場面があって、印象に残っている。
つむじ風食堂の夜 の感想。
2010年11月7日 映画
10年2月18日に観た「つむじ風食堂の夜」の感想を書きます。
ネタバレがあるかも知れませんので注意。
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・筋
雪の積もった夜、主人公の「私」がとある食堂に入ると、そこは個性的な常連客達の暖かな空気で満ちていた。二重空間移動装置を売りつけようとする桜田さん、舞台女優の奈々津さん、果物屋や本屋……。
彼らと接する内に、自分自身を見つめるようになる私は、マジシャンだった父や、父と通ったカフェのタブラさんを思い出す……。
そんな折、私が昔お話を書いていたということを知った奈々津さんに、一人芝居を書いて欲しいと頼まれたのだが……。
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・切り口
主人公は人工降雨(?)の研究をしているが、それが一体どういう成果を出しているのか、その研究で何を成そうとしているのかははっきりしない。ただ、”人工的に”事を為そうとしていることは覗える。
桜田さんの二重空間移動装置というはただの万歩計であって、何気なく日常で歩いた距離の分だけ、遠くに思いを馳せる慰めの物だ。奈々津さんは女優なのだが、女優というのは架空の物語に生きる架空の人物である。仮にノンフィクションを演じたとしても、演じているにすぎない。父はマジシャンだったが、マジックは種も仕掛けもあり、嘘っぱちである。
このように、この話には虚実が入り交じっている。
実体が幻像を作り上げる。いや、作るのは人の心である。実体はそこにしかない。そして現象が起こるだけなのだ。
物事はただありのままにある。それをどう捉えるのか、それによってただの無意味なことも意味を持ち、影響を与えるまでに膨らむ。
想像、イマジネーションは時に人に恐怖や焦りや不安を呼び起こし増幅させるが、一方で無味乾燥な日常を豊かにするのも、それなのである。
最後のシーン、父の形見の手袋が風に吹かれて消え去った。
それをただ風で舞っていっただけと考えるか、父の最後のマジックだと見るのか。
「私」が満面に溢れさせた笑みは、全てを物語っている。
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・趣向
原作小説があるらしいが、自分はそれを読んでいないので、どの程度原作通りに作られているのかはわからない。
内容は割と抽象的だと思う。テーマをストレートには伝えていないように思える。言葉の裏に隠して散りばめ、それとなく感じとらせるような作りだ。まあ、哲学的問答もあるのでそうとも言えないかもしれないが。
また、決して派手な映画ではない。話に起伏のある映画ではなく、日常の中のちょっとした出来事に主人公が悩んだり右往左往したりする様を、淡々と見ていたり、ゆったりじっくりと描いて見せたりする感じ。テンポはスロー。だったような気がする。
そういう意味では率直さに欠けるため、何が言いたいんだろうというモヤモヤが続き、間延びしている感さえある。なので、刺激的な楽しさは薄いのかも知れない。
一方で、美術や照明、あるいはロケ地が、ファンタジックな雰囲気の世界観を作り上げていて、それは見ていて愉しい。
宮沢賢治っぽいというか。あまり宮沢賢治を読まないのだけど、一言で言うとそんな感じ。
内容が今一よくわからなくても、雰囲気は味わえるような映画だろう。この映画の雰囲気に浸れる人は楽しめるのかも知れない。
俳優に関しては大旨違和感なく見られたが、ヒロインの奈々津役の月船さららさんには引っかかった。演技が大仰なのだ。舞台俳優的な。と思っていたら、宝塚歌劇団にて役者をやっていたようだ。通りで。
舞台女優役なので、ある意味では適役なのかもしれない。が、どうにも自分は、合わなかった。
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・個人的感想
正直、自分の足りない脳味噌では1回見ただけでは、この映画の趣旨がさっぱりわかりませんでした。だから感想を書くのが非常に億劫だった。
もういまいち覚えてないのではっきりしたことは言えませんが、テーマがはっきりしていない、どういう話の流れなのか、主人公が何に悩み、どうしたいのかがはっきりしないから、のめり込めないのです。
そういう話の軸がはっきりしていれば、個々のエピソードにおいて何かを抽出しやすいのだけど、軸がわからないから、個々のエピソードで何を言いたいのか、何をしたいのかもよくわからない。そうやって漫然と進み、こちらが手探りで見つけ出そうとしている間に終わってしまったという感じだった。
ゆったりしたテンポの作品であり、シーンの演出も淡々としていたりアンニュイだったり。意味があるのか無いのかわからない描写を見せられ続けるのは、個人的には若干苦痛でもあった。
ただ先に書いたように、雰囲気は非常にある映画なので、全く気に入らないというわけでもなかった。
でも、個人的にはいまいち。もう一回見れば何か変わるかも?
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・気になったセリフ
「種も仕掛けもありません」
ネタバレがあるかも知れませんので注意。
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・筋
雪の積もった夜、主人公の「私」がとある食堂に入ると、そこは個性的な常連客達の暖かな空気で満ちていた。二重空間移動装置を売りつけようとする桜田さん、舞台女優の奈々津さん、果物屋や本屋……。
彼らと接する内に、自分自身を見つめるようになる私は、マジシャンだった父や、父と通ったカフェのタブラさんを思い出す……。
そんな折、私が昔お話を書いていたということを知った奈々津さんに、一人芝居を書いて欲しいと頼まれたのだが……。
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・切り口
主人公は人工降雨(?)の研究をしているが、それが一体どういう成果を出しているのか、その研究で何を成そうとしているのかははっきりしない。ただ、”人工的に”事を為そうとしていることは覗える。
桜田さんの二重空間移動装置というはただの万歩計であって、何気なく日常で歩いた距離の分だけ、遠くに思いを馳せる慰めの物だ。奈々津さんは女優なのだが、女優というのは架空の物語に生きる架空の人物である。仮にノンフィクションを演じたとしても、演じているにすぎない。父はマジシャンだったが、マジックは種も仕掛けもあり、嘘っぱちである。
このように、この話には虚実が入り交じっている。
実体が幻像を作り上げる。いや、作るのは人の心である。実体はそこにしかない。そして現象が起こるだけなのだ。
物事はただありのままにある。それをどう捉えるのか、それによってただの無意味なことも意味を持ち、影響を与えるまでに膨らむ。
想像、イマジネーションは時に人に恐怖や焦りや不安を呼び起こし増幅させるが、一方で無味乾燥な日常を豊かにするのも、それなのである。
最後のシーン、父の形見の手袋が風に吹かれて消え去った。
それをただ風で舞っていっただけと考えるか、父の最後のマジックだと見るのか。
「私」が満面に溢れさせた笑みは、全てを物語っている。
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・趣向
原作小説があるらしいが、自分はそれを読んでいないので、どの程度原作通りに作られているのかはわからない。
内容は割と抽象的だと思う。テーマをストレートには伝えていないように思える。言葉の裏に隠して散りばめ、それとなく感じとらせるような作りだ。まあ、哲学的問答もあるのでそうとも言えないかもしれないが。
また、決して派手な映画ではない。話に起伏のある映画ではなく、日常の中のちょっとした出来事に主人公が悩んだり右往左往したりする様を、淡々と見ていたり、ゆったりじっくりと描いて見せたりする感じ。テンポはスロー。だったような気がする。
そういう意味では率直さに欠けるため、何が言いたいんだろうというモヤモヤが続き、間延びしている感さえある。なので、刺激的な楽しさは薄いのかも知れない。
一方で、美術や照明、あるいはロケ地が、ファンタジックな雰囲気の世界観を作り上げていて、それは見ていて愉しい。
宮沢賢治っぽいというか。あまり宮沢賢治を読まないのだけど、一言で言うとそんな感じ。
内容が今一よくわからなくても、雰囲気は味わえるような映画だろう。この映画の雰囲気に浸れる人は楽しめるのかも知れない。
俳優に関しては大旨違和感なく見られたが、ヒロインの奈々津役の月船さららさんには引っかかった。演技が大仰なのだ。舞台俳優的な。と思っていたら、宝塚歌劇団にて役者をやっていたようだ。通りで。
舞台女優役なので、ある意味では適役なのかもしれない。が、どうにも自分は、合わなかった。
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・個人的感想
正直、自分の足りない脳味噌では1回見ただけでは、この映画の趣旨がさっぱりわかりませんでした。だから感想を書くのが非常に億劫だった。
もういまいち覚えてないのではっきりしたことは言えませんが、テーマがはっきりしていない、どういう話の流れなのか、主人公が何に悩み、どうしたいのかがはっきりしないから、のめり込めないのです。
そういう話の軸がはっきりしていれば、個々のエピソードにおいて何かを抽出しやすいのだけど、軸がわからないから、個々のエピソードで何を言いたいのか、何をしたいのかもよくわからない。そうやって漫然と進み、こちらが手探りで見つけ出そうとしている間に終わってしまったという感じだった。
ゆったりしたテンポの作品であり、シーンの演出も淡々としていたりアンニュイだったり。意味があるのか無いのかわからない描写を見せられ続けるのは、個人的には若干苦痛でもあった。
ただ先に書いたように、雰囲気は非常にある映画なので、全く気に入らないというわけでもなかった。
でも、個人的にはいまいち。もう一回見れば何か変わるかも?
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・気になったセリフ
「種も仕掛けもありません」