大した見識はないですが、映画を幾つも観ていると、自分なりに、
「これは面白い、これはつまらない」
 と評価するようになっているわけです。
 で、じゃあ顧みたときに、一体何を基準にその良し悪しを判断しているのか、と言うと、よくわからないのです。
 よくはわからないけど、おおよそこんな感じで評価しているのだろう、というものだったらあります。
 しかしそれは、やはり主観が強いわけです。何かを評価すると言うことは、自分のフィルターを通すわけで、どうしても主観が交じります。
 厳格な基準を設けた評価法、あるいは数字にこだわった客観的な評価法、と言うものがあれば、ある程度万人に通じる評価になるのかもしれないですが、そんなものを作るのは非常に面倒なので、しません。

 で、評価のキーワードとなっているのは、
「丁寧さ」
 のような気がします。
 例えば必要なカットがあるかどうか、編集の仕方で上手い具合に繋がっているか、印象的な見せ方が出来ているか、とか、脚本だったら、伝えたいことが明確か、軸がしっかりしているか、話がまとまっているか、とか。
 なので、自分が「良い」と思う作品は、人からすると地味だったり、何が面白いのかと思うような、インパクトのない作品も多々あるのではないかと思います。
 しかし、自分からすると、こういう丁寧な作品は、見ていて心地が良かったりします。

「テンポの良さ」
 も重要です。これは上記の丁寧さと繋がってくるんですが、無駄が無く、ポンポンと小気味良く展開していく作品というのは、見ていて心地がいいのです。
 丁寧でも、丁寧すぎるとテンポを損なったりしますし、丁寧さを無視してただ早いと言うだけだと、粗さが気になります。
 元々スローな作品があります。ゆったりした日常を描くような作品です。それはじゃあテンポが悪いのかというと、そうでもないのです。要は見せ方でしょうね。長回しがあっても、それが必要なカットであり、なおかつ効果的であり、それらが上手く組み合わされていれば、スローな作品でもテンポが良くなるのです。

 人が2時間前後も椅子に座って鑑賞する、と言うことは、意外に体力がいります。だから、上記の「テンポの良さ」と繋がってくるのですが、「無駄がない」ということも重要です。
 必要なことを必要な範囲で表現してみせる、そして上映時間を無駄に延ばさない。
 もちろん無駄で遊んで、それが面白かったりもするわけですが、それをいかにスマートに出来るかどうかですね。

 「楽しめるかどうか」
 これは、要するに感動できるかどうか、と言うことでもあると思います。金を払った上に、2時間拘束されるわけです。観客は。金と時間を支払ったのに、全然楽しめなければ、地獄以外の何者でもないわけです。
 哲学的、抽象的、文学的な作品を見たときに、あまりに作家性に偏りすぎていて、見ている人間のことを考えているのか? と思うようなものもあります。
 そう言うのが好きな人もいるでしょうし、見ている側が考えたり、理解する努力も必要だとは思います。しかし、作る側の寄り添う努力も必要だとは思います。

 自分は作品を現在A~Eで評価しています。大雑把ですが、上記のように、ある程度話としてまとまっていて、可もなく不可もない作品はC、多少粗くても強いテーマがあったり、丁寧だったり、感動できる(楽しめる)要素があればB、Aは更にそれらがまとまっている作品、と言うことだと思います。
 実際、明確な基準がないので、最後は自分が満足できたかどうかで決めるわけですが。

 まあでも最初にも書いたように、結局は主観ですから。
 例えば上記のキーワードと全く同じ考えで見ている別の人間がいたとしても、作品に対する評価は違ってきたりすると思います。

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