映画には大きく分けて二種類ある。娯楽性を重視した作品と、考えさせることを重視した作品である。
 映画に限ったことではないと思うが、両者を同じ基準で比較することは難しい。と言うのも面白さの質や基準、作品としての意義が大きく違っているからである。共通に計れる部分もあると思うが、そうでない部分もまた多い。そうすると、単純に比較は出来ない。
 娯楽作品は、「時間を忘れる楽しみ」と言う部分に大きな意義がある一方、シリアスな作品は見終わった後に考えさせ、「価値観を揺さぶる」ことに意義があったりする。娯楽作品を、「ただ楽しいだけで中身が無い」という理由のみで評価を下げることは出来ないのだ(もちろん、楽しくて中身があればそれに越したことはない)。

 両者を公正に評価するには、それぞれの面白さの質や意義の違いを理解した上で、それぞれの基準に照らして判断する必要がある。
 ただしそれぞれの基準がすなわちイコールになるかと言えばそれもまた何とも言えない。為替相場のように価値がはっきりしないかもしれない。また、娯楽作品と考えさせる作品の明確な違いもわからない。
 明確な線引きは出来ないが、楽しませることと、考えさせることの、二つの意義があり、単純に両者の優劣があるわけではないということを考慮する必要がある。

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