観た後このブログに詳細な感想を書いていない映画の簡易感想。
 括弧内のアルファベットは映画館。e^raは「シネマイ~ラ」のこと。tohoは「TOHOシネマズ」のこと。tvはテレビ放映。

・「海角七号~君想う、国境の南~」10/4/15(e^ra)(台湾)
→第二次大戦終戦前後の日台男女の交流と、現在の両国の男女の交流を音楽を交えて描いたエンターテインメント映画。ポップでユーモアが効いていて、でもちょっとした隙間にセンチメンタルが見え隠れして。台湾で大ヒットしたらしく、確かに面白いが、ずば抜けているようには思わない。

・「誰がため」10/4/16(e^ra)(デンマーク・チェコ・ドイツ)
→ナチスに対抗するレジスタンスたちの活躍と苦悩。盲信の危うさと、それを利用する人間の腹黒さ。戦時下(占領下)の悲劇。

・「地下鉄のザジ」10/4/26(e^ra)(フランス)
→少女・ザジがパリであっちへ行ったりこっちへ来たり。抽象的でスラップスティック的な、意味があるのか無いのかわからない映画。難解なサイレント映画というか。

・「300」10/5/9(tv)(アメリカ)
→300人の精鋭スパルタ兵が圧倒的大軍のペルシャとドンパチ。様式美に特化。

・「マイマイ新子と千年の魔法」10/5/13(e^ra)(日本)
→原作を書いた高樹のぶ子の自伝的作品。アニメーション。空想好きの新子が転校してきた少女や学校の仲間達と交流し、それぞれに大切な物を見つけていく。
 ややまとまりに欠ける気もするが丁寧に作られた映画で、見終わった後は心地良さが残る。

・「タイタンの戦い」10/5/14(toho)(アメリカ)
→ギリシャ神話のペルセウスのエピソードを基にした映画。完全なるエンターテインメント作品。ワクワクドキドキして見終わったらスッキリ。

・「ウディ・アレンの夢と犯罪」10/6/11(e^ra)(イギリス)
→イギリスの兄弟の悲劇。まとまりが良い、まとまりが良すぎて逆にどうなの? と感じてしまうほどにうまくまとまった小品。

・「告白」10/6/14(toho)(日本)
→娘を殺された教師と殺した犯人と彼らにまつわる人々の告白。映像表現、構成力、と世間一般の価値観をしらっと覆す言動でインパクトのある内容。悲しみだけを置き去りにしていって、見終わった後あたふたさせられる映画。

・「アウト・レイジ」10/6/14(toho)(日本)
→北野武のバイオレンス映画。ヤクザ内のいざこざで裏切ったり裏切られたり。従来の北野映画を観ている人には目新しいことはないと思う。

・「アイガー北壁」10/7/20(e^ra)(ドイツ)
→未踏の難所、アイガー北壁に挑む登山家の凄絶なる挑戦。丁寧でメリハリが利いていて、サスペンスとドラマに満ちている。素晴らしい。

・「クロッシング」10/7/23(e^ra)(韓国)
→北朝鮮で暮らす一家の辿る道。作品としてもしっかり作られていてのめり込めるし、メッセージ性や啓発的意義だけではない。

・「借りぐらしのアリエッティ」10/8/1(toho)(日本)
→人間と小人の交流。作品世界の雰囲気や演出には好感が持てるが、脚本に疑問。

・「インセプション」10/8/14(toho)(アメリカ)
→夢の中に入り込んでアイデアを盗む男たちの大仕事。話(メッセージ)自体は単純。あとは世界観と大がかりなVFXを楽しむ映画。最初から最後までサスペンスとテンションを維持していくので、飽きずに観られた。

・「密約~外務省機密漏洩事件~」10/8/20(e^ra)(日本)
→かつて外務省の機密が毎日新聞にすっぱ抜かれた(漏洩した)事件を取り扱ったノンフィクション的ドラマ映画。問題提起をしてこういったことを観客に考えさせるという意義は大いにあるが、論点がずれている臭いので残念。

・「Box 袴田事件~命とは~」10/8/27(e^ra)(日本)
→実際に起こった出来事を基に作られた映画。合理性に欠く取り調べと裁判で有罪にされた袴田死刑囚。彼と一人の裁判官の苦悩を描き、日本の司法や警察の問題点を浮き彫りにする。素晴らしい映画。啓発的な意義が大いにある。「それでもボクはやってない」やこの映画などを観ていたせいか、大阪地検特捜部の例の改竄事件を聞いても驚かなかった。世の中をフラットに、慎重に見ることが出来るようになる映画。

・「息もできない」10/8/27(e^ra)(韓国)
→孤独なヤクザと少女の交流。孤独と温もり。バイオレンスと触れ合い。怒りと優しさ。対比が美しく、悲しい。良い作品。

・「踊る大捜査線THE MOVIE3~奴らを解放せよ~」10/9/1(toho)(日本)
→人気シリーズ最新作。新湾岸所へ引っ越してドタバタ。これは明らかに脚本に問題があるような気がする。

・「カラフル」10/9/1(toho)(日本)
→原恵一監督のアニメ作品。森絵都の原作小説を映画化。人を活かす映画。

・「ビルマVJ~消された革命~」10/9/10(e^ra)(デンマーク)
→ビルマ(ミャンマー)の民主化を望む活動家達が、逮捕の危険を負いながら、世界に発信するための映像を現地で撮影している。その映像を基に作り上げたドキュメンタリー映画。希望と限界が映っている。

・「BECK」10/9/14(toho)(日本)
→人気漫画の映画化。地味で平凡な男子学生がRock musicと出会ったことによって変化していく話。原作のエピソードを時間内でうまくまとめてはいるが、話の軸を考えると、中途半端に思えた。また音楽映画的カタルシスも少々欠く。

・「キャタピラー」10/9/20(e^ra)(日本)
→戦争で四肢を亡くした夫を世話する女性の話。単館系の映画にしては珍しく大ヒットした模様だが、理解出来ない。俺も観たわけだけど。寺島しのぶ効果?

・「月に囚われた男」10/9/22(e^ra)(イギリス)
→月でたった一人、資源を採掘する男の話。難解な展開かと思いきや明快で、まとまりも良く、面白かった。

・「川の底からこんにちは」10/9/22(e^ra)(日本)
→自分なんてこんなもん、と言う諦めきった女性が開き直り、駄目人生を肯定する映画。地味で退屈しそうという事前のイメージが覆され、ユーモアも効いていて思いの外楽しめたが、でも一般的に受けるかというと微妙。脚本も書いていたようだが、別の人が書いた脚本を撮ったときにどうなるのか観てみたい。

・「13人の刺客」10/10/1(toho)(日本)
→暴君を13人の刺客が襲っちゃう映画。慎んでしまうような部分を気にすることなく踏み込んで表現している点には快哉。最後の殺陣がただ斬りまくっているだけという点が個人的に残念だった。

・「オーケストラ!」10/10/6(e^ra)(フランス)
→ロシアの演奏家がかつての楽団を呼び集めて、フランスで曰く付きの女性と共演する話。日本でもありそうな、ちょっと無茶な展開のエンタメ作品。シリアスなテーマを内包しているが、作りが雑に思える。

・「モダン・ライフ」10/10/6(e^ra)(フランス)
→フランスの寂れた農家で働く人々と対話する様を微動だにしないカメラでひたすらじっと撮り収めた作品。現代農家の一場面を切り取ってはいるのだろうけど、観ている人のことは少しも考えられていないと思えるほどに退屈な映画だった。

・「小さな命が呼ぶとき」10/10/22(e^ra)(アメリカ)
→難病の子供を救うために独立して会社を設立した男の実話に基づいた話。手際よく作られているが、ドラマとして少々疑問。どの程度実話に沿っているのか、それによる制限などもあろうが。

・「ねこタクシー」10/10/29(e^ra)(日本)
→コミュニケーション不全の男が、ひょんな事から出会った猫を通して再生していく話。カンニング竹山が内気な主人公を好演。全体的に優しい雰囲気の作品で、スムーズで、良い映画だった。

・「THE cove」10/11/19(e^ra)(アメリカ)
→日本の太地町のイルカ漁を批判したプロパガンダ映画。ちょっと客観的に観ることが出来なかった。感情に訴えかける作りだが、そんなの、どんな動物だってそうだろ。

・「アルゼンチンタンゴ~伝説のマエストロたち~10/11/24(e^ra)(アルゼンチン)
→往年のタンゴの名手達を集めて録音する風景を収めた映像を、映画用に編集したもの(?)。ステージでの演奏も含まれていて、皆誇りや郷愁が滲み出ているところに感銘を受けた。CDを欲しくなる。

・「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」10/12/1(toho)(日本)
→宇宙戦艦ヤマトを大金掛けて実写映画化した作品。日本の大型エンターテインメント作品にしてはアクションもドラマもうまくまとまっている。が、それ以上でもそれ以下でもない。戦闘機の動きが軽すぎて重厚さが感じられなかったのが残念。

・「パラノーマルアクティビティ第2章~Tokyo Night~」10/12/1(toho)(日本)
→アメリカで怪我をして帰国した姉と、彼女を世話する弟の身の回りに起こる異変。いわゆるモキュメンタリー。1作目とほとんど筋は一緒だが、うまく日本風にアレンジできている。前作を知っていると怖さは多少減じるが、それでも良いホラー映画だ。

・「闇の列車、光の旅」10/12/3(e^ra)(アメリカ・メキシコ)
→メキシコ経由でアメリカへ逃げようとする少女と、メキシコギャングの一員である少年の逃亡記。因果と再生産。寺島進似のギャング。
 話としては面白く見られたが、テーマが弱い気がする。

・「ハーツ・アンド・マインズ~ベトナム戦争の真実~」10/12/9(e^ra)(アメリカ)
→現地で撮影された映像や、帰還兵のインタビューなどで構成された作品。作られたのはずいぶん前で、基本的には当時の戦争を告発する内容。肯定派も出て来るが、彼らの意見に違和感をもたせるように作られている。この作品を見ていると、イラク戦争を思い浮かべてしまう。しかし映像の力というのは凄まじい。

・「ゾンビランド」10/12/9(e^ra)(アメリカ)
→ゾンビが溢れかえった世の中で出会った孤独な人間達の繋がり。ゾンビ映画らしくとてもグロテスクで下品な映画だが、そこさえ我慢できれば非常に素晴らしい映画。ただのゾンビ映画と思う無かれ。笑えて感動できる。

・「武士の家計簿」10/12/14(toho)(日本)
→算術に長けた武士の人生。キャスティングが絶妙。ただ構成がどうなんだろうか?

・「ネコを探して」10/12/15(e^ra)(フランス)
→飼い猫を探して世界のあちこちを旅する。猫を通して人間社会の歪さを指摘する。意外と社会派映画。ドキュメンタリーだね。日本での取材が多め。

・「セラフィーヌの庭」10/12/15(e^ra)(フランス・ベルギー・ドイツ)
→実在のセラフィーヌ・ルイという変わった女性が画家として見いだされ、その後辿る人生を描く。動機付けや伏線、人物描写、作品の雰囲気やカットの繋ぎなど、とても丁寧に作られている。好感の持てる作品。個人的にとても好きな作品。

・「樺太1945夏 氷雪の門」10/12/16(e^ra)(日本)
→終戦前後、樺太をロシア(ソ連)に蹂躙され、散っていく人々の物語。映画として啓発の意義はあるが、面白いかどうかは別。

・「あの夏の子供たち」10/12/17(e^ra)(フランス)
→映画製作会社を経営する男とその家族の辿る道。中盤で大きく展開と作風が変わる。やろうとしてることはなんとなくわかるが、動機付けや感情の積み上げが淡泊で、全体的に平坦な印象。

・「ウィンター・ソルジャー~ベトナム帰還兵の告白~」10/12/17(e^ra)(アメリカ)
→ベトナム帰還兵へのインタビュー映像で構成された作品。基本的に最初から最後までずっと現地での行為や見聞きした事を話しているので、盛り上がるとかそういうことはない。ほぼずっと同じトーンなので、そこがやや疲れるが、話している内容は非常に凄絶。

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