バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 の感想。
2010年11月16日 映画
10年3月6日に見た「バグダッド・カフェ(ニュー・ディレクターズ・カット版)」の感想。
ネタバレ注意。
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・筋
ドイツからの旅行でアメリカにやってきたジャスミンは旅の途中、融通のきかない夫に愛想を尽かして車から降り、一人で歩き出す。
荒野の幹線道路にポツンとある、モーテル兼ガソリンスタンド兼カフェの「バグダッド・カフェ」に辿り着くと、そこには全てに苛立つ女主人のブレンダがいた。
どうしようもない夫、家を手伝わない子供達、個性的な宿泊客……。
寂れたそのカフェにジャスミンが泊まり始めてから、少しずつ変化が起こり始めて……。
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・切り口~整理・清算~
この映画で使用された「calling you」の歌詞は、この映画のほぼ全てを語ってていると言える。
人の関係とは誠に不可思議な物なのである。
どこに行っても弾かれて当てはまらなかったのに、ある場所ではそれまでが嘘のようにうまく馴染んでしまうことがある。それは極端な例だとしても、日常において、多かれ少なかれ、何かしらそういった相性という物があるような気がする。
それはその時のその人達の状況や内面がうまく補完し合う形になっているか否かによって生まれるのだろう。
だから一時は気が合っても、いつまでもそうとは限らない。というのも、この世界は常に変動していて、多くの人間は時間が経つにつれて変化するからだ。
かつて自分にとって重要だった関係も、必ずしもその後重要であり続けるとは限らない。そういった時にどうするべきかはその状況にもよる。
修復を望むのであれば試みればいい。2割3割の不満があっても、大方満足いくまでに改善されるかも知れない。しかし修復ではどうにもならないこともある。
関係の修復によって、自分の求める重要な要素を手放さなければいけなかったら?
それは自由であるかも知れないし、楽しい生活であるかも知れない、あるいは金銭かも知れない。
それらを放棄してもなお、その関係を継続することに堪えられるのか? 意味を見いだせるのか?
思い切って関係を清算して、新しい道を探し出すことも一つのやり方なのだろうと思う。移り変わる世の中で、自分の身を置ける場所を探し出す決断は、あなた自身を幸福にするかも知れないし、同時に、欠けていたピースを探し求めている、知らない誰かをも幸福にすることなのかも知れない。
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・趣向
1987年に西ドイツで製作され、日本でも平成元年に公開されてヒットをしたという本作。その後完全版が上映され、2008年に再び監督が手を入れて調整した本作が公開された。
自分は今回が初見。
衣装など、時代を感じさせる部分もあるが特に海外と縁のない自分からするとあまり気にならなかった(娘の衣装にはさすがに違和感を感じるが笑)。
色調も調整されていると言うことで、良いあんばいでした。
ストーリーに関しては、最初インディーズ系の作家チックな作りかと思わせるシーンで始まり、少々不安を抱いたが、その後は順調に親しみやすいドラマとして展開していく。
派手な映画ではないし、どちらかというとゆったりした部類の作品で、一部セクシャルな描写が入ったりもするけれど、独特の間とユーモアと優しさが、何とも言えない心地良い空気を生みだし、作品全体を包んでいる。
脚本やカット割り、撮影などが効果的だったのではないだろうか。
出演俳優が良かった。言葉はわからないので、演技の出来についてはいまいちわからないが、それぞれがそれぞれの個性的なキャラクターを演出できていたのではないだろうか。
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・個人的感想
最初、この作品のことを知らなかった自分は、見る前に不安を感じていた。一体どんな映画なのだろうか? 面白いのか? 作家性の強い、難解な作品ではないのか?
ところが蓋を開けてみれば、非常にわかりやすい映画で、最後までとても楽しめた。
新しい道を歩み始めた女性が、新たな場所で人間関係を築き(カフェの一家や、宿泊する個性的な客達)、人も商売も立て直していくそのストーリーは、見事なほどハッピーな展開だった。
若干癖はあるが、是非万人に勧めたい映画だった。
所で自分の考えの一つとして「内面は外面に現れる」という物がある。
切り口のところでも書いたけれど、この作品は「整理」が一つのキーワード。うまくいかず苛つくブレンダ、彼女の経営するカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンドは荒れ放題なのだが、これはもちろんうまくいっていないことや彼女の心の状態を表す演出である。しかし同時に真理でもある。
これらが整理され、ブレンダやその一家の着る服、表情が変化していくのは、彼女らの内面が変化していくことの表れでもある。外側が整理されたから内面も整理された、とも言えるし、その逆も言える。
いずれにしても、外側と内側は繋がっているのである。
よく外見で人を判断するなと言う人がいるが、そんなことはない。外見は重要な判断材料なのである。
ネタバレ注意。
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・筋
ドイツからの旅行でアメリカにやってきたジャスミンは旅の途中、融通のきかない夫に愛想を尽かして車から降り、一人で歩き出す。
荒野の幹線道路にポツンとある、モーテル兼ガソリンスタンド兼カフェの「バグダッド・カフェ」に辿り着くと、そこには全てに苛立つ女主人のブレンダがいた。
どうしようもない夫、家を手伝わない子供達、個性的な宿泊客……。
寂れたそのカフェにジャスミンが泊まり始めてから、少しずつ変化が起こり始めて……。
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・切り口~整理・清算~
この映画で使用された「calling you」の歌詞は、この映画のほぼ全てを語ってていると言える。
人の関係とは誠に不可思議な物なのである。
どこに行っても弾かれて当てはまらなかったのに、ある場所ではそれまでが嘘のようにうまく馴染んでしまうことがある。それは極端な例だとしても、日常において、多かれ少なかれ、何かしらそういった相性という物があるような気がする。
それはその時のその人達の状況や内面がうまく補完し合う形になっているか否かによって生まれるのだろう。
だから一時は気が合っても、いつまでもそうとは限らない。というのも、この世界は常に変動していて、多くの人間は時間が経つにつれて変化するからだ。
かつて自分にとって重要だった関係も、必ずしもその後重要であり続けるとは限らない。そういった時にどうするべきかはその状況にもよる。
修復を望むのであれば試みればいい。2割3割の不満があっても、大方満足いくまでに改善されるかも知れない。しかし修復ではどうにもならないこともある。
関係の修復によって、自分の求める重要な要素を手放さなければいけなかったら?
それは自由であるかも知れないし、楽しい生活であるかも知れない、あるいは金銭かも知れない。
それらを放棄してもなお、その関係を継続することに堪えられるのか? 意味を見いだせるのか?
思い切って関係を清算して、新しい道を探し出すことも一つのやり方なのだろうと思う。移り変わる世の中で、自分の身を置ける場所を探し出す決断は、あなた自身を幸福にするかも知れないし、同時に、欠けていたピースを探し求めている、知らない誰かをも幸福にすることなのかも知れない。
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・趣向
1987年に西ドイツで製作され、日本でも平成元年に公開されてヒットをしたという本作。その後完全版が上映され、2008年に再び監督が手を入れて調整した本作が公開された。
自分は今回が初見。
衣装など、時代を感じさせる部分もあるが特に海外と縁のない自分からするとあまり気にならなかった(娘の衣装にはさすがに違和感を感じるが笑)。
色調も調整されていると言うことで、良いあんばいでした。
ストーリーに関しては、最初インディーズ系の作家チックな作りかと思わせるシーンで始まり、少々不安を抱いたが、その後は順調に親しみやすいドラマとして展開していく。
派手な映画ではないし、どちらかというとゆったりした部類の作品で、一部セクシャルな描写が入ったりもするけれど、独特の間とユーモアと優しさが、何とも言えない心地良い空気を生みだし、作品全体を包んでいる。
脚本やカット割り、撮影などが効果的だったのではないだろうか。
出演俳優が良かった。言葉はわからないので、演技の出来についてはいまいちわからないが、それぞれがそれぞれの個性的なキャラクターを演出できていたのではないだろうか。
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・個人的感想
最初、この作品のことを知らなかった自分は、見る前に不安を感じていた。一体どんな映画なのだろうか? 面白いのか? 作家性の強い、難解な作品ではないのか?
ところが蓋を開けてみれば、非常にわかりやすい映画で、最後までとても楽しめた。
新しい道を歩み始めた女性が、新たな場所で人間関係を築き(カフェの一家や、宿泊する個性的な客達)、人も商売も立て直していくそのストーリーは、見事なほどハッピーな展開だった。
若干癖はあるが、是非万人に勧めたい映画だった。
所で自分の考えの一つとして「内面は外面に現れる」という物がある。
切り口のところでも書いたけれど、この作品は「整理」が一つのキーワード。うまくいかず苛つくブレンダ、彼女の経営するカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンドは荒れ放題なのだが、これはもちろんうまくいっていないことや彼女の心の状態を表す演出である。しかし同時に真理でもある。
これらが整理され、ブレンダやその一家の着る服、表情が変化していくのは、彼女らの内面が変化していくことの表れでもある。外側が整理されたから内面も整理された、とも言えるし、その逆も言える。
いずれにしても、外側と内側は繋がっているのである。
よく外見で人を判断するなと言う人がいるが、そんなことはない。外見は重要な判断材料なのである。
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