母なる証明 の感想。
2010年11月13日 映画
10年2月19日に見た「母なる証明」の感想。
ネタバレがあるので注意。
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・筋
親子2人で暮らす息子トジュンとその母。
トジュンはもう大人に差し掛かっている年齢なのだが、母は幼い子供のように接し、可愛がっている。それには幾らかの理由があるのだが、その一つに、彼が知的に問題を抱えているということがあった。
ある日、同じ町で女子高生が殺害される。状況証拠からトジュンが容疑者として逮捕されるが、警察は他の容疑者を捜そうとはせず、トジュンも言動が曖昧。弁護士も妥協案しか提示しない。
母は無実と信じ、息子を助けるために一人真実を見つけ出そうとする……。
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・切り口
純粋というと一見良い物のような気がする。
子供のように純粋な心、と言うと、尊い物のように思える。しかし必ずしもそうではない。純粋と言うことは、ただ物事を知らなかったり、洗練されていなかったりすると言うことでもある。
子供の頃に認められていたことでも、大人になって同じ事をした場合には必ずしも認められなかったりする。
その年齢や、身を置く状況に応じて人間というのは色々なことを覚え、物事を処理しなければいけない。自分を律しなければいけない。
それが不純物になるということでも、そういう成長が求められるのだ。
この映画では主人公が知的に問題を抱え、子供のような幼さを残す言動をする。そして殺害される女子高生の祖母は認知症にかかっている。
彼らの言動は、少なくとも映画内で描写される姿を見ると、やはり違和感を覚えるし、不気味さすら感じる。それは一般的に求められる、あるいは一般的な常識を逸した事をするからであり、思考が読めないからである。何をしでかすのかわからないのだ。
監督が意図しているのかどうかはわからないが、この映画からは、知的に問題を抱える人達に対しての、不気味な者を見る眼差しを感じる。
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・趣向
映画のジャンルとしてはミステリーなのだろう。
本にしても映像作品にしても、自分はあまりミステリーを見ないので、そのジャンルの中でどの程度の作品なのかはいまいちわからない。ただ映画を見終わったときに振り返ってみると、うんまあ、良くできているな、とは感じた。
最初に全て推理の条件が提示されているというわけではなく、どちらかというとだんだん推理の材料が示されていくという感じだが、もしかしたらとても勘のいい人なら、途中でわかってしまうかも知れない。
実際にはなかなか難しいかも知れないが、そう思えるほど、一応作品全体としてみると、伏線や条件が回収されているように思える。
もう半年以上前に見た物なのでぼんやりとした記憶しかないが、ミステリーとしての話の組み立ては良かったし、役者の演技も、演出も、完成度は割と高かったように思う。
シリアスに、時にユーモアを交え、脚本としては良かったのではないか。
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・個人的感想
今思い返して感想を書いてみると、結構良い作品だったのかな、と言う気がするが、見た当初はそれほど楽しめた印象がない。不思議なことに。
ただしきりに誰が犯人か推理はしていた気がするし、のめり込めていたような気はするから、悪い作品ではないと思う。
ユーモアを交えてはいるが、明るい話ではない。まあ、ミステリーという時点でそうなのかもしれないが。
この話の核の一つとして貧困がある。ストーリーとして主人公にも女子高生にも大きく関わっているし、生活描写にも貧困が描かれている。苦しい生活感が、そのまま映画の暗く重たい雰囲気にも寄与している。
↓一応伏せておきます。反転で出ます。ネタバレ要素大有りです。
ところで題名が母なる証明なのだが、その通りに彼女は子供のために奔走する。ただそれは、母としてと言うことだけではなく、自らが息子に犯した過ちに突き動かされていた面もあるだろう。そして、真実を知るにつけ、自分が息子を犯罪者にしてしまったという罪の意識にさいなまれるわけだ。知的な問題を生んでしまった点、やられたらやり返せという教え。母として息子を守りたい、だから忘れる、と言うことと同時に、自分自身の過ちも忘れたいのだろう 以上。
どうでもいいことだけど、濡れ場で(母の濡れ場じゃないよ笑)、しりとりをしながら行為をしている場面があって、印象に残っている。
ネタバレがあるので注意。
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・筋
親子2人で暮らす息子トジュンとその母。
トジュンはもう大人に差し掛かっている年齢なのだが、母は幼い子供のように接し、可愛がっている。それには幾らかの理由があるのだが、その一つに、彼が知的に問題を抱えているということがあった。
ある日、同じ町で女子高生が殺害される。状況証拠からトジュンが容疑者として逮捕されるが、警察は他の容疑者を捜そうとはせず、トジュンも言動が曖昧。弁護士も妥協案しか提示しない。
母は無実と信じ、息子を助けるために一人真実を見つけ出そうとする……。
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・切り口
純粋というと一見良い物のような気がする。
子供のように純粋な心、と言うと、尊い物のように思える。しかし必ずしもそうではない。純粋と言うことは、ただ物事を知らなかったり、洗練されていなかったりすると言うことでもある。
子供の頃に認められていたことでも、大人になって同じ事をした場合には必ずしも認められなかったりする。
その年齢や、身を置く状況に応じて人間というのは色々なことを覚え、物事を処理しなければいけない。自分を律しなければいけない。
それが不純物になるということでも、そういう成長が求められるのだ。
この映画では主人公が知的に問題を抱え、子供のような幼さを残す言動をする。そして殺害される女子高生の祖母は認知症にかかっている。
彼らの言動は、少なくとも映画内で描写される姿を見ると、やはり違和感を覚えるし、不気味さすら感じる。それは一般的に求められる、あるいは一般的な常識を逸した事をするからであり、思考が読めないからである。何をしでかすのかわからないのだ。
監督が意図しているのかどうかはわからないが、この映画からは、知的に問題を抱える人達に対しての、不気味な者を見る眼差しを感じる。
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・趣向
映画のジャンルとしてはミステリーなのだろう。
本にしても映像作品にしても、自分はあまりミステリーを見ないので、そのジャンルの中でどの程度の作品なのかはいまいちわからない。ただ映画を見終わったときに振り返ってみると、うんまあ、良くできているな、とは感じた。
最初に全て推理の条件が提示されているというわけではなく、どちらかというとだんだん推理の材料が示されていくという感じだが、もしかしたらとても勘のいい人なら、途中でわかってしまうかも知れない。
実際にはなかなか難しいかも知れないが、そう思えるほど、一応作品全体としてみると、伏線や条件が回収されているように思える。
もう半年以上前に見た物なのでぼんやりとした記憶しかないが、ミステリーとしての話の組み立ては良かったし、役者の演技も、演出も、完成度は割と高かったように思う。
シリアスに、時にユーモアを交え、脚本としては良かったのではないか。
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・個人的感想
今思い返して感想を書いてみると、結構良い作品だったのかな、と言う気がするが、見た当初はそれほど楽しめた印象がない。不思議なことに。
ただしきりに誰が犯人か推理はしていた気がするし、のめり込めていたような気はするから、悪い作品ではないと思う。
ユーモアを交えてはいるが、明るい話ではない。まあ、ミステリーという時点でそうなのかもしれないが。
この話の核の一つとして貧困がある。ストーリーとして主人公にも女子高生にも大きく関わっているし、生活描写にも貧困が描かれている。苦しい生活感が、そのまま映画の暗く重たい雰囲気にも寄与している。
↓一応伏せておきます。反転で出ます。ネタバレ要素大有りです。
ところで題名が母なる証明なのだが、その通りに彼女は子供のために奔走する。ただそれは、母としてと言うことだけではなく、自らが息子に犯した過ちに突き動かされていた面もあるだろう。そして、真実を知るにつけ、自分が息子を犯罪者にしてしまったという罪の意識にさいなまれるわけだ。知的な問題を生んでしまった点、やられたらやり返せという教え。母として息子を守りたい、だから忘れる、と言うことと同時に、自分自身の過ちも忘れたいのだろう 以上。
どうでもいいことだけど、濡れ場で(母の濡れ場じゃないよ笑)、しりとりをしながら行為をしている場面があって、印象に残っている。
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