アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~ の感想。
2010年2月12日 映画 2月5日に観た「アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~」の感想をば。
(ネタバレ注意)
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・筋
80年代半ば、その後に名を馳せる数々のバンドと共演し評価された「アンヴィル」というバンドがあった。しかし他のバンドは次々売れていく中、アンヴィルだけが売れなかった。
それから30年近くの歳月が経ち、まだ「アンヴィル」は存在していた。
働いて収入を得ながら、細々と、しかし確実に彼らは活動を続けていたのだ。
彼らの日常、トラブルだらけのツアーやレコーディング風景、家族や本人達へのインタビューを交えながら、彼らの過去と今を描き、未来を見据えた作りのドキュメンタリー映画となっている。
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・切り口
~幸福の見える角度~
あらゆる出来事は多面的なのだと思う。
自分の前に起こった出来事は単なる出来事として、それ以上でもそれ以下でもないのだろうけど、それを見る角度、つまり考え方や、どういった感情を持つかで、その出来事の価値が決まってくる。
例えば楽しみにしていた行事があり、出かけようとしたのだけど雨が降って行けなくなってしまった、と言う場合。
確かにそれは残念なことだし悲しいことだけど、別の見方をすれば、誰かが(神様が)行くのは止めておけと言っているのかもしれない、と受け止めることも出来る。悪いことが起こるから、と。
あるいは、家でやり残したことを消化できるいい機会だとも考えられる。
周囲がどう見るか、どう評価するかは一つの評価基準だけれど、少なくとも自分自身が納得できる見方、と言う物があるはずだ。
それは場合によっては逃避として見られてしまうかも知れない。確かに表裏一体とも言える。しかし、納得できないことだらけの人生なんて、楽しいだろうか?
物事の考え方一つで、自分の今置かれている状況や目の前で起こった出来事に対する価値が変わってくるのだ。
アンヴィルのボーカル・ギターであるリップスは、悪いこと、望まないことが起こる度に、物事をプラスに転換して見ている。
彼にも辛いことはあるだろうし、悲観したくなることもあるだろうが、基本的には楽観している。一種の諦観に近い物がある。その表情は明るく子供のように無邪気で、彼の内面が滲み出ているようにも見える。
そんな彼だからこそ売れないバンドを30年も続けられるのだろうし、彼に付いてくる友人や家族がいるのだろう。
周りから見れば彼らは一種の負け犬なのかも知れないが、彼ら(と言うかリップス)はどこかにささやかな満足感を秘めている。
そして、現状以上の状況が訪れる期待を諦めてはいないのだ。
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・趣向
ドキュメンタリーと言うことで、彼らの略歴や周囲の人間、そして本人達へのインタビューを交えながら、基本的には取材期間中の彼らの活動を追った物となっている。
全体の構成は見ていて非常にわかりやすく作られているし、また飽きられないようにとユーモア溢れる見せ方や、シリアスな見せ方など、場面場面に応じてきっちりメリハリをつけている。ちょっとドキュメントとしては演出過多かなと思える部分もなきにしもあらずだが……(^^;
そもそもの彼らの境遇も相まって、全体的に笑えて泣けて考えさせられる、起伏に富んだ映画となっている。
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・個人的感想
アンヴィルの中心であるリップスとロブはカナダ出身らしい。と言うことは彼らの家族もカナダと言うことになるのだけど、確かに何か、アメリカとは違うのだ。
カナダに対する勝手なイメージなのだけど、どこか優しさや愛情が感じられる。情感に繊細さが織り込まれているというか。
元々リップス自体、メタルをやっていると言っても育ちは良かったようで、人間的に節度を持っている。
家計は決して楽ではないはずだが、彼らの家族の目は温かい。何というか、みんなウェットな感じだ。
彼らの周囲だけそうなのか、はたまた社会全体の傾向がそうなのかはわからないが、そんな感じがした。
見ていて辛い描写もあるのだけど、それでも、今何か将来に対する不安を抱えている人が見てみれば、元気を貰えるような、そんな映画だと思う。
思わぬ形で(知っている人は知っているんだろうけど)日本が関わっていることには驚いた。と同時に、興奮した。
良い映画でした。
(ネタバレ注意)
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・筋
80年代半ば、その後に名を馳せる数々のバンドと共演し評価された「アンヴィル」というバンドがあった。しかし他のバンドは次々売れていく中、アンヴィルだけが売れなかった。
それから30年近くの歳月が経ち、まだ「アンヴィル」は存在していた。
働いて収入を得ながら、細々と、しかし確実に彼らは活動を続けていたのだ。
彼らの日常、トラブルだらけのツアーやレコーディング風景、家族や本人達へのインタビューを交えながら、彼らの過去と今を描き、未来を見据えた作りのドキュメンタリー映画となっている。
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・切り口
~幸福の見える角度~
あらゆる出来事は多面的なのだと思う。
自分の前に起こった出来事は単なる出来事として、それ以上でもそれ以下でもないのだろうけど、それを見る角度、つまり考え方や、どういった感情を持つかで、その出来事の価値が決まってくる。
例えば楽しみにしていた行事があり、出かけようとしたのだけど雨が降って行けなくなってしまった、と言う場合。
確かにそれは残念なことだし悲しいことだけど、別の見方をすれば、誰かが(神様が)行くのは止めておけと言っているのかもしれない、と受け止めることも出来る。悪いことが起こるから、と。
あるいは、家でやり残したことを消化できるいい機会だとも考えられる。
周囲がどう見るか、どう評価するかは一つの評価基準だけれど、少なくとも自分自身が納得できる見方、と言う物があるはずだ。
それは場合によっては逃避として見られてしまうかも知れない。確かに表裏一体とも言える。しかし、納得できないことだらけの人生なんて、楽しいだろうか?
物事の考え方一つで、自分の今置かれている状況や目の前で起こった出来事に対する価値が変わってくるのだ。
アンヴィルのボーカル・ギターであるリップスは、悪いこと、望まないことが起こる度に、物事をプラスに転換して見ている。
彼にも辛いことはあるだろうし、悲観したくなることもあるだろうが、基本的には楽観している。一種の諦観に近い物がある。その表情は明るく子供のように無邪気で、彼の内面が滲み出ているようにも見える。
そんな彼だからこそ売れないバンドを30年も続けられるのだろうし、彼に付いてくる友人や家族がいるのだろう。
周りから見れば彼らは一種の負け犬なのかも知れないが、彼ら(と言うかリップス)はどこかにささやかな満足感を秘めている。
そして、現状以上の状況が訪れる期待を諦めてはいないのだ。
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・趣向
ドキュメンタリーと言うことで、彼らの略歴や周囲の人間、そして本人達へのインタビューを交えながら、基本的には取材期間中の彼らの活動を追った物となっている。
全体の構成は見ていて非常にわかりやすく作られているし、また飽きられないようにとユーモア溢れる見せ方や、シリアスな見せ方など、場面場面に応じてきっちりメリハリをつけている。ちょっとドキュメントとしては演出過多かなと思える部分もなきにしもあらずだが……(^^;
そもそもの彼らの境遇も相まって、全体的に笑えて泣けて考えさせられる、起伏に富んだ映画となっている。
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・個人的感想
アンヴィルの中心であるリップスとロブはカナダ出身らしい。と言うことは彼らの家族もカナダと言うことになるのだけど、確かに何か、アメリカとは違うのだ。
カナダに対する勝手なイメージなのだけど、どこか優しさや愛情が感じられる。情感に繊細さが織り込まれているというか。
元々リップス自体、メタルをやっていると言っても育ちは良かったようで、人間的に節度を持っている。
家計は決して楽ではないはずだが、彼らの家族の目は温かい。何というか、みんなウェットな感じだ。
彼らの周囲だけそうなのか、はたまた社会全体の傾向がそうなのかはわからないが、そんな感じがした。
見ていて辛い描写もあるのだけど、それでも、今何か将来に対する不安を抱えている人が見てみれば、元気を貰えるような、そんな映画だと思う。
思わぬ形で(知っている人は知っているんだろうけど)日本が関わっていることには驚いた。と同時に、興奮した。
良い映画でした。
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