キャピタリズム~マネーは踊る~
2010年1月25日 映画「キャピタリズム~マネーは踊る~」を1月14日に鑑賞してきましたので、感想を書きたいと思います。
(ネタバレ注意)
-----------------------------------------------------------------
・筋
企業、あるいは一部の特権階級者達による、従業員、もっと言えば平民達からの搾取の実態を、合衆国の歴史や個人レベルへのインタビュー、そしてあのリーマンショックの中心となった金融関係への取材など、様々な角度から捉えていく。
-----------------------------------------------------------------
・切り口
キャピタリズムとは資本主義のことだ。
この映画のテーマは資本主義というシステムその物。今手元の辞書で調べたところによると、資本主義とは曰く「資本家が利益追求のために労働者を使用し生産を行う経済組織」とのこと。
学がないので細かいことはわからないが、資本主義というのは一部の人間に富が集中しやすく、それ以外の多数の人間と格差が生まれやすい構造なのだろう。
もちろん、文明国として、国民を生活の困窮から救い、皆が並みの生活を送れるように政治が調整するのだろうけど、では政治の舵取りが間違ったらどうなるのか?
それが今回のサブプライムローンに関連する大不況に繋がることになる。
政治家とウォール街の人間が親しくなり、あるいは政治にウォール街の人間が入り込むことで、金融関係の規制緩和が進んだ。
そこでは暴利を得るために複雑な金融商品が作られ、売られ、泡が弾けると税金の投入で勝ち逃げする。
片やダシにされた多くの労働者や一般消費者は給料を減らされ、解雇され、住む家を終われるという事態に陥る。
日本はどちらかというと社会主義的な資本主義を戦後の長い間行っていたのではないだろうか。アメリカはイメージとしてはより資本主義に特化しているように思う。それでも昔は中間層がいた。
ところが今は中間層がいない。富める者と、貧する者の二極化だという。日本もまた、似たような状況に、近年なってきたように報道されている。
マイケル・ムーアは、実際のところわからないが、別に今更共産主義、社会主義にすべきだと言っているわけではないのだろう。
そうではなく、資本主義とはそういった危険性の伴うものであり、うまく監視し、操縦しなければいけないのだと考えているのではないか。
金や権力を持った人間達に言われるままになるのではなく、一部の人間の搾取に多くの人民で声を上げ対抗していく必要があるのだと。
その大きな一つが、最後に希望のように映し出された、オバマ大統領の映像だろう。
選挙という手段で、国民が自らの手で政治を変えられるのだというメッセージだ。
-----------------------------------------------------------------
・趣向
マイケル・ムーアらしく随所にユーモアが散りばめられている。そこは面白く見られるようになっているが、扱われている問題が問題なだけに、少々難しさはある。
もちろん、理解しやすいように工夫はされていると思うが、情報量も多いため、人によっては字幕を追うので精一杯と言うこともあるだろう(自分がそうだった)。
作りとしてはドキュメンタリーなのだけど、果たしてこれを全部そのまま鵜呑みにして良いかと言えば少し違う気がする。
ドキュメンタリーの形態にも色々あると思うが、彼のドキュメンタリーというのは極めてメッセージ性や、主張が強い。
もちろん色々彼自身調べているとは思うが、最終的に辿り着いた彼の結論がありきで、その主張を強化するために様々な要素を映画の中に継ぎ接ぎで入れていく。
どんなドキュメンタリーでもほとんどは最初の時点でどういった物を撮るのかということが考えられ、構成されて作られていく。現実を映してはいるが、一種の作られた物語でもあるのだ。
この映画の場合はそのストーリー性が非常に強いように思える。何というか、理科の実験で使う漏斗(ろうと)のようなのだ。多くの客観的な立場や視点から捉えるという感じではない。あくまで、搾取する側の悪を暴こうとした内容だ。
(最も、本当に弁解の余地がないくらい悪が悪であるならば致し方ないことなのだが)
終盤に金融関係の建物周辺にkeep outのテープを巻いていくが、ユーモア半分、パフォーマンスと演出半分と言った感じだった。
テンポは良いからどんどん前へ進んでいく。
どんな人でも、とりあえず見終わった後、ある程度の「何か凄い物を観た」という感じを味わえるのではないかと思う。
-----------------------------------------------------------------
・個人的感想
正直本当に、思い返しても映画の内容の細部を思い出せない。それくらい字幕を読むことに必死だった記憶がある。
ただ漠然と全体としての印象は残っている。見終わった後、興奮は胸の内にあった。ドキュメンタリーだけど、エンターテインメントとして充分楽しめる作品であることに間違いはないと思う。
ただ自分のおつむでは、2,3度見ないとハッキリとはわからないのだ。テンポが良いから、考えてる暇がなかった。
……とは言え、今回書いたことは必ずしも間違ってはいないと思うのだけど。
この映画を観ていると、確かに、金融の仕事をしている人達が、自分の(あるいは一般市民にとって)生活にとってどんな利益をもたらしてくれるのかいまいちわからなくなってくる。
一部の間で金がぐるぐる回っているような。もちろん、うまく制御されれば充分市民の利益に貢献するのだろうけど。
バイアスがあったとしても、強く意識を刺激するような、そんな効果はあると思う。
日本のテレビにも質の良いドキュメンタリー番組はあるが、マイケル・ムーアの手腕には賛辞を惜しまない。
(ネタバレ注意)
-----------------------------------------------------------------
・筋
企業、あるいは一部の特権階級者達による、従業員、もっと言えば平民達からの搾取の実態を、合衆国の歴史や個人レベルへのインタビュー、そしてあのリーマンショックの中心となった金融関係への取材など、様々な角度から捉えていく。
-----------------------------------------------------------------
・切り口
キャピタリズムとは資本主義のことだ。
この映画のテーマは資本主義というシステムその物。今手元の辞書で調べたところによると、資本主義とは曰く「資本家が利益追求のために労働者を使用し生産を行う経済組織」とのこと。
学がないので細かいことはわからないが、資本主義というのは一部の人間に富が集中しやすく、それ以外の多数の人間と格差が生まれやすい構造なのだろう。
もちろん、文明国として、国民を生活の困窮から救い、皆が並みの生活を送れるように政治が調整するのだろうけど、では政治の舵取りが間違ったらどうなるのか?
それが今回のサブプライムローンに関連する大不況に繋がることになる。
政治家とウォール街の人間が親しくなり、あるいは政治にウォール街の人間が入り込むことで、金融関係の規制緩和が進んだ。
そこでは暴利を得るために複雑な金融商品が作られ、売られ、泡が弾けると税金の投入で勝ち逃げする。
片やダシにされた多くの労働者や一般消費者は給料を減らされ、解雇され、住む家を終われるという事態に陥る。
日本はどちらかというと社会主義的な資本主義を戦後の長い間行っていたのではないだろうか。アメリカはイメージとしてはより資本主義に特化しているように思う。それでも昔は中間層がいた。
ところが今は中間層がいない。富める者と、貧する者の二極化だという。日本もまた、似たような状況に、近年なってきたように報道されている。
マイケル・ムーアは、実際のところわからないが、別に今更共産主義、社会主義にすべきだと言っているわけではないのだろう。
そうではなく、資本主義とはそういった危険性の伴うものであり、うまく監視し、操縦しなければいけないのだと考えているのではないか。
金や権力を持った人間達に言われるままになるのではなく、一部の人間の搾取に多くの人民で声を上げ対抗していく必要があるのだと。
その大きな一つが、最後に希望のように映し出された、オバマ大統領の映像だろう。
選挙という手段で、国民が自らの手で政治を変えられるのだというメッセージだ。
-----------------------------------------------------------------
・趣向
マイケル・ムーアらしく随所にユーモアが散りばめられている。そこは面白く見られるようになっているが、扱われている問題が問題なだけに、少々難しさはある。
もちろん、理解しやすいように工夫はされていると思うが、情報量も多いため、人によっては字幕を追うので精一杯と言うこともあるだろう(自分がそうだった)。
作りとしてはドキュメンタリーなのだけど、果たしてこれを全部そのまま鵜呑みにして良いかと言えば少し違う気がする。
ドキュメンタリーの形態にも色々あると思うが、彼のドキュメンタリーというのは極めてメッセージ性や、主張が強い。
もちろん色々彼自身調べているとは思うが、最終的に辿り着いた彼の結論がありきで、その主張を強化するために様々な要素を映画の中に継ぎ接ぎで入れていく。
どんなドキュメンタリーでもほとんどは最初の時点でどういった物を撮るのかということが考えられ、構成されて作られていく。現実を映してはいるが、一種の作られた物語でもあるのだ。
この映画の場合はそのストーリー性が非常に強いように思える。何というか、理科の実験で使う漏斗(ろうと)のようなのだ。多くの客観的な立場や視点から捉えるという感じではない。あくまで、搾取する側の悪を暴こうとした内容だ。
(最も、本当に弁解の余地がないくらい悪が悪であるならば致し方ないことなのだが)
終盤に金融関係の建物周辺にkeep outのテープを巻いていくが、ユーモア半分、パフォーマンスと演出半分と言った感じだった。
テンポは良いからどんどん前へ進んでいく。
どんな人でも、とりあえず見終わった後、ある程度の「何か凄い物を観た」という感じを味わえるのではないかと思う。
-----------------------------------------------------------------
・個人的感想
正直本当に、思い返しても映画の内容の細部を思い出せない。それくらい字幕を読むことに必死だった記憶がある。
ただ漠然と全体としての印象は残っている。見終わった後、興奮は胸の内にあった。ドキュメンタリーだけど、エンターテインメントとして充分楽しめる作品であることに間違いはないと思う。
ただ自分のおつむでは、2,3度見ないとハッキリとはわからないのだ。テンポが良いから、考えてる暇がなかった。
……とは言え、今回書いたことは必ずしも間違ってはいないと思うのだけど。
この映画を観ていると、確かに、金融の仕事をしている人達が、自分の(あるいは一般市民にとって)生活にとってどんな利益をもたらしてくれるのかいまいちわからなくなってくる。
一部の間で金がぐるぐる回っているような。もちろん、うまく制御されれば充分市民の利益に貢献するのだろうけど。
バイアスがあったとしても、強く意識を刺激するような、そんな効果はあると思う。
日本のテレビにも質の良いドキュメンタリー番組はあるが、マイケル・ムーアの手腕には賛辞を惜しまない。
コメント