2本映画を立て続けに観ました。一本目。
「空気人形」。(ネタバレ注意)
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・あらすじ
ダッチワイフとして、夜な夜な持ち主に愛される空気人形。彼女はある日突然、心を持ってしまった。
持ち主に隠れて毎日朝から自らの意志で動き、外へ出て言葉や知識を吸収し始める。その中で、一人の男に恋をしてしまった。
彼の働くレンタルビデオ店でアルバイトをしながら日々を過ごす。その過程で、自分の存在意義や、周囲の人々との関係、心の動きを目の当たりにしていく。
そうして、大切な物を見つけていくのだが……。
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・切り口
この作品はつまり「関係」を主題とした物なのだろう。
人間というのはどうしても完璧な存在などいない。全ての人には何かしらの欠落があり、それを他ならぬ「人」で補っている。
しかし、そういった人との関係が希薄になってしまっているところに、現代の人間の不幸がある。
この作品に登場する主立った人間達もやはり人間関係に不全がある。
レンタルビデオ店の店長は家族との断絶があり、自分と関わりのない事件なのに警察に自首する老婆も社会との関わりが切れている。ビデオ店の常連男性は明らかに人間関係を不得手としているし、若さを求める中年OLは自分の携帯から自宅の留守電に自前で励ましの言葉を贈り、それと会話をしている。
空気人形の愛する男もまた、昔付き合っていた女性を引きずっていた。
人は誰しも空虚を抱えて生きている。生まれたときから、生きる意味を見いだすために生きている。空虚を満たすために人生を送っている。
人は人との関わりの中で互いに少しずつ影響を与えあって生きている。それが結果的に良くても悪くても、人生を変えてゆけるのはそれしかないのだ。
なぜ人形の彼女は心をもってしまったのか、それはわからない。しかしそれはこの世界に生きる全ての人間達も同じだろう。
空気人形もまた、心を持ったときには言葉も知識もほとんど持ち合わせていない、赤ん坊のようだった。そして心を持って生きる中で彼女が見つけたのは人との関係だった。
持ち主にとっての空気人形はただの代用品であり、自分の思うようになる、都合の良い持ち物だった。彼は彼女のことを少しも見ていなかった。
愛する人から息を吹き込まれたときの満たされた感覚が、持ち主から離れる決意を促す。
彼女はあと一歩で幸せを手に入れかけるが、ただ一つ問題があったのは、彼女は人間ではなかったことだった。
行き場を失った彼女は、自らの意志か、はたまた役割を終えた人形の宿命か、ゴミ捨て場に体を横たえていた。
しかし彼女が歩き、コミットして過ごした日々は確実に、そしてささやかに、人々に影響を与えていた。
それこそが彼女がこの世に生まれた意味であり、関係の中の一員となれた証しだった。だから、ハッピーバースデーが歌われたのだ。
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・個人的な感想
正直なところ自分としてはあまりこの映画は評価していない。
ちゃんと説明してくれてわかりやすい部分もあるが、それでも全体的に曖昧模糊とした表現、描写が多く、どうしてこういう事なのかハッキリとわからないことも多い。
派手な映画ではない。作家性の強い単館系映画という感じなのだが、こういう映画はともすると作り手の観念や意図が一人歩きをして、観客との間に乖離を引き起こすことにもなる。
主人公がダッチワイフだという点は奇抜だが、基本的には日常の何気ない事柄を扱っているし、特別綺麗な風景が続くというわけでもない。地味で、どちらかというと陰鬱な映画なのだ。
地味な(野暮ったい)上にわかりにくい、と言うのが自分としては一番見ていて辛くなってくるわけで、だから個人的にはそれほど評価は出来ない。
と散々書いたが、それでもまあ、決して最悪だったというわけではない。あくまで個人的にあまり気に入らなかっただけ、と言うことだ。
逆に言えば、そういう物を意図して作って、観客に感じて貰おうとしていたのならば、その構成力は素晴らしい物がある。
ペ・ドゥナは度々役柄上裸体を晒すが、むちゃくちゃ綺麗。素晴らしい肉体美でした。
片言の言葉も人形が心を持ったという設定には生きていると思います。
板尾さんも、ARATAも、オダギリジョー(出ていて驚いた)も、岩松了さんも良かった。
ペ・ドゥナは、韓国ではあまり映画に出ていないようで。日本でもっと起用されないかな。
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・気になったセリフ
「お前、俺のblog読んだんか!?」
「空気人形」。(ネタバレ注意)
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・あらすじ
ダッチワイフとして、夜な夜な持ち主に愛される空気人形。彼女はある日突然、心を持ってしまった。
持ち主に隠れて毎日朝から自らの意志で動き、外へ出て言葉や知識を吸収し始める。その中で、一人の男に恋をしてしまった。
彼の働くレンタルビデオ店でアルバイトをしながら日々を過ごす。その過程で、自分の存在意義や、周囲の人々との関係、心の動きを目の当たりにしていく。
そうして、大切な物を見つけていくのだが……。
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・切り口
この作品はつまり「関係」を主題とした物なのだろう。
人間というのはどうしても完璧な存在などいない。全ての人には何かしらの欠落があり、それを他ならぬ「人」で補っている。
しかし、そういった人との関係が希薄になってしまっているところに、現代の人間の不幸がある。
この作品に登場する主立った人間達もやはり人間関係に不全がある。
レンタルビデオ店の店長は家族との断絶があり、自分と関わりのない事件なのに警察に自首する老婆も社会との関わりが切れている。ビデオ店の常連男性は明らかに人間関係を不得手としているし、若さを求める中年OLは自分の携帯から自宅の留守電に自前で励ましの言葉を贈り、それと会話をしている。
空気人形の愛する男もまた、昔付き合っていた女性を引きずっていた。
人は誰しも空虚を抱えて生きている。生まれたときから、生きる意味を見いだすために生きている。空虚を満たすために人生を送っている。
人は人との関わりの中で互いに少しずつ影響を与えあって生きている。それが結果的に良くても悪くても、人生を変えてゆけるのはそれしかないのだ。
なぜ人形の彼女は心をもってしまったのか、それはわからない。しかしそれはこの世界に生きる全ての人間達も同じだろう。
空気人形もまた、心を持ったときには言葉も知識もほとんど持ち合わせていない、赤ん坊のようだった。そして心を持って生きる中で彼女が見つけたのは人との関係だった。
持ち主にとっての空気人形はただの代用品であり、自分の思うようになる、都合の良い持ち物だった。彼は彼女のことを少しも見ていなかった。
愛する人から息を吹き込まれたときの満たされた感覚が、持ち主から離れる決意を促す。
彼女はあと一歩で幸せを手に入れかけるが、ただ一つ問題があったのは、彼女は人間ではなかったことだった。
行き場を失った彼女は、自らの意志か、はたまた役割を終えた人形の宿命か、ゴミ捨て場に体を横たえていた。
しかし彼女が歩き、コミットして過ごした日々は確実に、そしてささやかに、人々に影響を与えていた。
それこそが彼女がこの世に生まれた意味であり、関係の中の一員となれた証しだった。だから、ハッピーバースデーが歌われたのだ。
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・個人的な感想
正直なところ自分としてはあまりこの映画は評価していない。
ちゃんと説明してくれてわかりやすい部分もあるが、それでも全体的に曖昧模糊とした表現、描写が多く、どうしてこういう事なのかハッキリとわからないことも多い。
派手な映画ではない。作家性の強い単館系映画という感じなのだが、こういう映画はともすると作り手の観念や意図が一人歩きをして、観客との間に乖離を引き起こすことにもなる。
主人公がダッチワイフだという点は奇抜だが、基本的には日常の何気ない事柄を扱っているし、特別綺麗な風景が続くというわけでもない。地味で、どちらかというと陰鬱な映画なのだ。
地味な(野暮ったい)上にわかりにくい、と言うのが自分としては一番見ていて辛くなってくるわけで、だから個人的にはそれほど評価は出来ない。
と散々書いたが、それでもまあ、決して最悪だったというわけではない。あくまで個人的にあまり気に入らなかっただけ、と言うことだ。
逆に言えば、そういう物を意図して作って、観客に感じて貰おうとしていたのならば、その構成力は素晴らしい物がある。
ペ・ドゥナは度々役柄上裸体を晒すが、むちゃくちゃ綺麗。素晴らしい肉体美でした。
片言の言葉も人形が心を持ったという設定には生きていると思います。
板尾さんも、ARATAも、オダギリジョー(出ていて驚いた)も、岩松了さんも良かった。
ペ・ドゥナは、韓国ではあまり映画に出ていないようで。日本でもっと起用されないかな。
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・気になったセリフ
「お前、俺のblog読んだんか!?」
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