「おくりびと」と「グエムル-漢江の怪物-」がテレビでやっていたので、簡単な個人的感想を。

「おくりびと」に関しては、騒がれているほどずば抜けて良い作品だったかと言うと、自分としてはそこまでの印象は抱かなかった。いや、語弊があるかな。良作だったことは間違いない。
 テンポも良いし、緩急も効いていた。ユーモアがある一方でしっとりさせるところはさせる。全体的に優しさがあり、愛情に溢れ、考えさせるところは考えさせる。でも「死」というテーマを扱いながら、全体的に軽妙なタッチで深刻すぎず、とても観やすかったと言える。
 そう、観やすかった、のだ。
 なぜこの映画にそれほど強い印象を抱かなかったかというと、この見やすさが影響しているのかもしれない。つまり、お腹一杯になるような映画ではない。へとへとになる映画ではない。腹八分目で舌鼓を打つような、心地良い余韻を残して終わる映画だったからなのかな、と考えた。
 ただそれにしても、劇中に主人公が職業のことで偏見というか、侮蔑的な言葉を散々浴びていたり、見下げられたりしていたのだけど、これが個人的にはさっぱりわからなかった。
 それほど死者を扱う仕事というのは軽蔑されるような物なのだろうか?
 確かに3Kだし、体面や空気的に言うことがはばかられるのもわからなくはない。神道的な穢れの意識も潜在的には多少はあるのだろうし、地方の田舎でならそう言ったことが特別視されることもあるだろう。また、あの仕事自体あまりメジャーではないだろうし。
 ただそれにしたってあの言われようはないんじゃないかという気はした。
 主人公はそこに葛藤を抱く。「死」や自分の人生という物を考えることになる大きな問題なのだ。だが、観ていて、周囲の人間の反応と自分の意識にやや温度差があり、違和感を覚えてしまったため、なぜこんなことになるんだという思いばかりが先立ってしまった。
 あるいはあえてそうすることによって、観客に「ここを考えてください」と言っているのかもしれない。そう、見せているのかもしれない。

「グエムル」については途中からの視聴。
 プロモーションやタイトルからは、もっとこう、ゴジラのようなエンターテインメント性の高いものかと思っていた。しかし実際はそういう感じではなく、どちらかというと在韓米軍(あるいは米軍その物の)批判や人間ドラマ(?)を中心とした作品だった。
 怪物はあくまでも作品を動かす要素に過ぎず、魅力があるかと言われるとそれほど感じなかった。
 韓国では大ヒットしたそうだが、そう言った米軍への不満があることもヒットの要因の一つにあるのではないか。
 作品全体としてみたときには、コミカルな要素があったり、グエムルを探し出すために行動しているときの緊迫した感じなど、惹きつけられる要素は大いにあったが、一方でアンバランスさも感じた。
 冗長と取れるカットが散見される一方で、淡泊且つ説明が省かれすぎているんじゃないかと思えるシーンもあり。また、不必要な展開じゃないかと思える部分もある。脚本の問題もあるし、監督自身の問題もあるのだと思う。
 アクション重視の作品と思ってみると肩すかしを食うのではないだろうか。
 プロモーションも難しかったかもしれない。(最も、客を呼ぶためだけだったら怪獣のシーンを使えば楽なんだろうけど)
 細かいところで損をしているような映画だと感じた。

 この2つの作品はテレビで観たのであり、合間合間にCMを挟んでいる。
 また、冒頭などを見逃したりもしているし、そういう意味では、参考記録程度に留めたい。

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