宇宙戦争 [DVD]

2009年4月11日 映画
 テレビでやっていたので観ました。ノーカットかどうかはわかりません。ネタバレ的な物もあるかもしれませんので注意してください。


 この映画は一言で言ってしまえば、ロードムービーなのだと思う。問題を抱えた人間が、旅を経て成長していく物語だ。

 最初の方少し見逃してしまったのでハッキリとはわからないのですが、主人公の正確には難があり、子供や配偶者との間に溝があるらしい。妻とは離れて暮らし(別れている?)、息子は自分に対抗心を持ち(帽子がそれぞれヤンキースとレッドソックスという点で表れている)、娘は情緒不安定。
 家族という絆が捻れ、断ち切れ、綻びているところから話は始まる。
 そこにエイリアンの巨大兵器が現れ、主人公は子供を連れて逃げまどう。行き先は母の待つ町だ。しかしその道中、命の危機に見舞われた人々との争いがあり、圧倒的な戦力の前に無力な人間の姿を見せつけられる。息子との別れやエイリアンからの逃避、戦いがあり、主人公は妻のいる町へとたどり着く。そこでひょんな事からエイリアンは倒れ、人間は助かるのだということがわかる。
 ラストシーンでは、綺麗な町並みに妻、息子、娘、皆が集まり、笑顔で終わる。

 主人公はこの映画に於いてヒーローではない。ただの一般市民だ。突如現れた謎の巨大兵器が街を破壊し、人を殺していく。彼はその中で子供を連れて逃げまどう、多くの人間の一人でしかない。普通のヒーロー映画で言えば、無慈悲に殺されていく大勢のエキストラの役回りだ。
  エイリアンから人間を守る戦いはまったく主人公と関係のないところで行われている。彼らはただ無様にも逃げまどうだけなのだ。

 しかしそんな中で、主人公は子供達との間に絆を見いだしていく。子供達は自我を確立し始め、皆自分自身の意識に変化が生じていくのだ。

 世界中が阿鼻叫喚の破壊と殺戮に見舞われた中で、最後の場面をご都合主義だと言えばまさにその通りだと言える。しかし、この映画に於いてそんな批判をすることはナンセンスなのだ。 
 この映画はロードムービーだ。成長の物語なのだ。成長の帰結、強まった家族の絆、その有様である最後の場面がまさにこの映画のゴールと言えるのではないか。

 エイリアンの侵攻という大がかりな題材を用いた、人間の成長ドラマ。一種のメタファー。それがこの映画の本質だろう。

(余談だが、息子のエピソードはイニシエーションなのだろうなぁ)

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