スクールデイズ

2006年8月12日 映画
DVD ポニーキャニオン 2006/07/05 ¥4,935

(ネタバレ注意)

売れっ子天才子役として名をはせた主人公は、
「普通の子供に戻りたい」
と言う理由で惜しまれつつ芸能界を引退。
しかし普通の子供に戻った彼を待っていたのは、
イジメなど、全然いいことのない日常だった。
再び芸能界に戻ることを決意した主人公は、
人気学園ドラマのオーディションを受け、合格したのだが……。

主人公は先生役の俳優に尊敬と憧れの念を抱き始め、
ドラマにのめり込んでいく。
主人公のドラマの役はいじめられっ子。
実際の惨めな自分とほとんど変わらない役柄を与えられた彼は、
次第に現実とドラマの世界が強く結びつき始める……。

とにかく、ドラッグムービーでもないのにトリップ具合が凄まじい。
映像表現がぶっ飛んでいる。
なんだこれは。これはなんだ。と言う感じ。
漢字がぺろぺろと立ち上がって歩き出すところには笑った。

こういった通常の実写映画とは一線を画す独特の、
サイケデリックでコミック調な表現を前面に出すのは当然、
作品自体の性質もあるが、主人公の錯乱っぷりが大きい。
それを表現するのに必要なものなのだが、
じゃあなんで主人公はそんな状態になってしまったのだろうか。
母親の言葉を借りるならば、
「作品にのめり込みやすい。ノイローゼになった過去がある」
ということだろう。
しかし、この作品の最後、主人公の呪縛から解き放たれたような、
普通の、全く清々しい笑顔を見てほしい。
彼の顔があの綻びを発揮する前には、決定的な場面が描かれている。
そこを経ての、あの笑顔である。
つまり、彼をそういう性質にしてしまったのは、彼の身の回りの環境、
特に、家庭環境が大きな要因だったのです。

子供の頃も仕事が忙しく学校へはろくに行けず、両親の仲はあまり良くなかった。
学校生活においても家庭においても心の逃げ場が全然無い。
彼はドラマに没入するしかないのです。
そして学園ドラマと現実の学校生活がダブってしまったことによって、
より、そういった部分を助長してしまった。

両親がどうしてああいう状態になったのかは、
自分の低い読解力ではわかりませんでした。
もしかしたらみんな、逃げ場がなかったのかもしれない。

前半から中盤にかけてテンションの高い演出が続くが
話自体は(個人的に)ずいぶん重たくて参りそうになりました。
でも後半からは、ある意味吹っ切れて、そこそこ楽しめました。

と言うことで、全体的にはまあ結構面白かったです。

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