DVD ハピネット・ピクチャーズ 2006/01/27 ¥3,990

(ネタバレ注意)

自殺をテーマにした、四つのストーリー。
自殺の名所である富士の樹海を主な舞台としている。

同じ時間軸の日本で、四つのストーリーが展開される、
オムニバスなのかな、これ?
それぞれの話の繋がりはあまりない。
各話の象徴的な部分が少しだけ交差するのみ。

主な役者さんはAmazonに載ってたこの方達。

萩原聖人
井川 遥
池内博之
津田寛治
塩見三省

小嶺麗奈
小山田サユリ
田村泰二郎
中村麻美

以前テレビ番組でちょこっとだけ取り上げられていた。
制作者が、自殺の多い現代日本において、何とか自殺を減らしたい、
自殺願望のある人へ訴えたいと言う思いで作った、と語っていた。
その言葉を事前に知っていたからだろうか、
自分には、この映画は生きるという事への希望とか、
可能性、素晴らしさを描いているように見えた。
というより、
元々そういう作りだったのを、より強く意識して観ることが出来た。
と言った方が語弊が少ないのかな。

うろ覚えですがそのテレビで言っていたことなのだけど、
自殺願望の人は、本当は死にたくなかったり、止めていれば助かったのでは、
と言うケースが多いらしい。
また、自殺未遂に終わった人が後々、「あの時死ななくて良かった」と感じているケースが多い事などを挙げている。
それが映画に反映されていて、
自殺をするために樹海に入った人の、生への未練というか、迷いという物が表現されている。
張られたロープや、貼られた紙などに。
また、自殺失敗したときの井川遥によぎる過去の記憶。と、微笑。

会話や一人語りがメインになるから、全体的にとにかく喋る。
もうちょっとうまくセリフを減らせると思うんだけどなぁ。
その部分が若干、説明的というか、そんな感じがしました。
ほとんど二時間ちょうどですけど、もう少し時間を減らして視聴者の負担を減らせたはず。

ただまあ、物語としては、個人的には最後まで結構楽しめました。

さんまさんの座右の銘「生きてるだけで丸儲け」というのは、
自分も結構そう思っている部分がありまして。
生きてるってのはそれだけで価値がある。
死んだらそこでお終い。
生前に何を遺言しても、本人が死ねば結局生きている者の意志が最後には強い。
「モーヴァン」という映画でも、主人公の恋人が小説を書いた後に自殺して、遺言で原稿を出版社に送ってくれと頼んだ。
しかし、執筆者の名前を書き換えられて送られてしまう。

死者はたちまち消えてしまうのです。

生きると言うことは辛く苦しいかもしれないが、しかし諸行無常という言葉が示す通り、世の中は移り変わる。辛さも苦しみも永遠ではない。それは、自分で世界を変え得るということである。
死の後に何が待つかわからないが、簡単に生を手放して良いのだろうか?
140億年の歴史の宇宙の、広大な片隅の、ほんの一瞬である生命の連鎖。 
今この希少な命、意識を、自分は出来れば、取られるまで手放したくはないと思っています。

井川遥の時のネクタイは、自分はこんな役目ではない、と言っていたのかもしれません。
まだ生きろ、と。

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切腹という物が昔あった。
それは、恥や責任からくるものです。
逃げではない。
だからといってむやみやたらに切腹されても困るし、
推奨しているわけではありません。

時代が変わって考え方も変わり、
生き恥を晒すならとか、責任を取って、と言う理由で自らの命を絶つ時から、生き続けてなんとかやりなおそうよ、生きてこれからを彩っていこうよ、と言う方向へ転換されてきている。
それは(安易な)死を周りが許さないという形で、
ある種、死を選ぶのに匹敵する辛さかもしれない。
けど、生きると言うことは強いのです。
逃げで死を選ぶのではなく、生きて死ぬ。

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