DVD ポニーキャニオン 2006/01/27 ¥3,990

(ネタをバラしますよー)

救いがない。
これを見終わると、自殺をしたくなる事請け合いです。

まず政治的な色合いは全然ありません。
とにかく、この孤独で、理念はあるが周りが見えていなくて、精神的に成熟していない男が、その自身の融通の利かなさによって破滅していく人生。

客に嘘をついて金儲けをするのが嫌だ、もっとフェアに商売をしたい。
と言う考えの主人公は、当然ながら仕事の成績も良くなく、職についてもすぐに辞め、また別の職についてすぐ辞めるという生活を送っていた。
妻子と別居をしていて、彼は家庭を何とか再生したい。
しかし自我が強く、自己主張ばかりで、口だけ。不用意な言葉で相手を不快にさせたりして、家族の心は離れていく。
親友ともやはり同じ要領で上手くいかない。
経済的に上手くいかない状況を何とか打破しようとしても、空回り。
親類さえも遠くに行ってしまい、いよいよ孤独は極まっていく。

彼の主張はある意味では正しいのかもしれない。
でも結局、丸い穴に四角いネジが入らないように、その世界で生きていくならば、その仕組みの中で生きていくしかないわけです。
勝手に自分ひとりだけで生きていくならばまだしも、他人と関係しているのなら、尚更です。生活のためにも。
最後に賭けた事業への融資が降りず、彼は国民を裏切った大統領に恨みを向けていく。

でも、でもでもでも。
彼は嘘や欺きを嫌いますが、彼自身、人に対して嘘をつきます。何回も。
結局は、彼自身の資質の問題なのです。

いやー、しかし、これはずしりと心に重く落ちる映画だ。

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