DVD ジェネオン エンタテインメント 2003/08/22

(ネタ、バレ雄)

ただ淡々と刑務所の生活を描写する、その中での主人公の心理や思い考えが表白されていく映画。
原作者の体験記らしいね。
刑務所の過酷さを描くというよりは、どこかコミカルな雰囲気を描いていて、
人によっては刑務所に行ってみても良いかも、などと思ってしまいそう。
それというのも、主人公の飄々(ひょうひょう)としていて、
じっと冷静に物事を観察している視点がそうさせるのだろう。
刑務所の中の人間も、個性的で面白い。
シャバの世界でそんなこと言ったら普通に怖い人だろう、
というのが、刑務所の中ではなんだか滑稽と言うか、可笑しくなってしまう。

この映画の中では、ご飯を食べる、というシーンが結構ある。戦場のピアニストも飯ばっか食ってる映画だったけど、この映画も食事にありつくシーンが印象に残る。
しかも、出てくる食べ物は安物ばっかなんだけど、それがまたおいしそうなんだ。
たまに出て来る小豆餡とかバターのなんとおいしそうなことか。囚人さんもみんな凄くおいしそうに食べていて。
色々なものが制限され、当然食事も制限される中で、豪華さやおいしさの基準が低まっていくわけです。舌がそれに慣れてくれば、ちょっとしたものでも、人間満足できるのです。

さてまあ、自分は結局これを観ていて、やっぱり務所暮らしは嫌だな、と思いました。
ただでさえ集団生活が嫌だし、体育会系の規律に縛られた生活とか無理っぽいのに、
これを数ヶ月、数年(慣れればわからんけどね)続けるということを考えると、滅入る。
これを観て、なるべく入らないように気をつけようと思いました。

ただし、この生活が合う人や、この生活よりもひどい環境にいた人なんかには、天国だろうね。
毎日質素とはいえ、おいしいご飯が食べられて、気が合うかどうかはわからんけど、
コミュニケーションできる相手がいて、それなりに労働、運動して。
お布団で寝られるし、二日置きとはいえ、お風呂にも入れる。

役者さんは、野郎ばっかですが、もうみんな素晴らしいです。
山崎努さん大好きです。
(出てないけど)緒方拳さんも好きで、緒方さんが陽なら、山崎さんは陰という感じがします。
笑顔とか、内面から闇が滲み出るような、ただの笑顔じゃあない。
香川照之さんやら大杉漣さん、木下ほうかさんとか、長江さんとか、好きだなぁ。
椎名桔平さんの件も面白かった。
ただ、みんな坊主で同じ服着てるので、自分の場合、一部見分け辛かったです。

楽しめることは楽しめるけれども、そんな、物凄い傑作、というわけではない。と思います。
ストーリー性を求めている方からしたら、なんか拍子抜けするというか、
時には退屈もしてしまうでしょう。

コメント