学校。
学校の中にいる。
制服を着て、階段を上っていた。一段一段。
何を目指しているのかわからない。何のために上り続けているのか。
縦に続いている階段を一つずつ、心持軽やかに。
足を段に掛けるたび校舎の中に自分の革靴が響いた。
普通の階段のように踊り場もあるし、またフロアもある。
左右に教室へ続く廊下が伸びていて、目の前にはトイレがある。
行こうと思えば行けるのだろうけど、その気がまったく起こらなかった。
ただひたすら、その風景を横目に流しながら階段を上っていた。
青く綿雲がぽつぽつ浮かぶ空。校舎全体は爽やかな陽光によって心地良いような明るさに包まれていた。
うきうきする、今すぐにでも駆け出したいような自分好みの風景だ。
足が軽いのはだからかもしれない。
そのうち、人の声が聞こえだした。
ランドセルを背負ったり、あるいは手持ちの黒鞄を持った女学生、男女、年齢を問わずに学生と思える人たちが自分と同じく上りだしていた。
足並みはそれぞれ。追い越したり、追い越されたり、離されたり、離したり。
春の花の様に、わいわい色鮮やかな話し声が聞こえる。
自分はと言うと、我関せず。そんな周りの雑多には一切かまわない。変わらず足をあげて上を目指す。それだけだ。
そして、いつの間にか自分は一人でまた階段を歩いていた。
全てを追い越したのか、消え去ったのか。
途中、階段に座り込む少女を見た。
どうしたのか、と心の中で問いかけると、彼女は何も言わず、眠たそうな目で見上げてきた。
そして、先に行っていて、と言ったきり、またそこで足を抱え込んだ。
階を進むにつれ、何か眩しい光が強くなりだした。
例えるなら、テレビ画面。画面上部に黄色くきらびやかな光が照ったまま離れないのだ。どこから差し込んでいるのかわからない。踊り場で向きを変えて上りだしても、その光は変わらず自分の目の上、階段の向こうにある。
自分はそれを見上げたまま、一歩一歩足を踏みしめた。
教室。
黒板の反対側にあるドアに自分は立っていた。
どうやら最上階らしい。下は見ていないが、どうやらそこは地上から遥かに離れた上空にあるようだった。何か証拠があるわけじゃなく、ただそんな気がする。感覚で。
やっぱり窓からは相変わらず気持ちの良い青空が広がっている。
教室に足を踏み入れた自分は窓側手前の席へ足を向けた。
そして、いくつもある席の一つへ腰を下ろす。
カーテンが波打って揺れている。涼しく気の休まる風が優しく吹いてきていた。
自分は机の上に肘を付いて、両手で口元を覆う。
ゆったり時間が流れている。
誰もいない静かな世界で、ふつふつと気持ちが高まっていくのを感じていた。
何をしてやろうか――。
何かをしてやろう。
そんなことを思っていた。
学校の中にいる。
制服を着て、階段を上っていた。一段一段。
何を目指しているのかわからない。何のために上り続けているのか。
縦に続いている階段を一つずつ、心持軽やかに。
足を段に掛けるたび校舎の中に自分の革靴が響いた。
普通の階段のように踊り場もあるし、またフロアもある。
左右に教室へ続く廊下が伸びていて、目の前にはトイレがある。
行こうと思えば行けるのだろうけど、その気がまったく起こらなかった。
ただひたすら、その風景を横目に流しながら階段を上っていた。
青く綿雲がぽつぽつ浮かぶ空。校舎全体は爽やかな陽光によって心地良いような明るさに包まれていた。
うきうきする、今すぐにでも駆け出したいような自分好みの風景だ。
足が軽いのはだからかもしれない。
そのうち、人の声が聞こえだした。
ランドセルを背負ったり、あるいは手持ちの黒鞄を持った女学生、男女、年齢を問わずに学生と思える人たちが自分と同じく上りだしていた。
足並みはそれぞれ。追い越したり、追い越されたり、離されたり、離したり。
春の花の様に、わいわい色鮮やかな話し声が聞こえる。
自分はと言うと、我関せず。そんな周りの雑多には一切かまわない。変わらず足をあげて上を目指す。それだけだ。
そして、いつの間にか自分は一人でまた階段を歩いていた。
全てを追い越したのか、消え去ったのか。
途中、階段に座り込む少女を見た。
どうしたのか、と心の中で問いかけると、彼女は何も言わず、眠たそうな目で見上げてきた。
そして、先に行っていて、と言ったきり、またそこで足を抱え込んだ。
階を進むにつれ、何か眩しい光が強くなりだした。
例えるなら、テレビ画面。画面上部に黄色くきらびやかな光が照ったまま離れないのだ。どこから差し込んでいるのかわからない。踊り場で向きを変えて上りだしても、その光は変わらず自分の目の上、階段の向こうにある。
自分はそれを見上げたまま、一歩一歩足を踏みしめた。
教室。
黒板の反対側にあるドアに自分は立っていた。
どうやら最上階らしい。下は見ていないが、どうやらそこは地上から遥かに離れた上空にあるようだった。何か証拠があるわけじゃなく、ただそんな気がする。感覚で。
やっぱり窓からは相変わらず気持ちの良い青空が広がっている。
教室に足を踏み入れた自分は窓側手前の席へ足を向けた。
そして、いくつもある席の一つへ腰を下ろす。
カーテンが波打って揺れている。涼しく気の休まる風が優しく吹いてきていた。
自分は机の上に肘を付いて、両手で口元を覆う。
ゆったり時間が流れている。
誰もいない静かな世界で、ふつふつと気持ちが高まっていくのを感じていた。
何をしてやろうか――。
何かをしてやろう。
そんなことを思っていた。
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